PICK UP ACTRESS 君島光輝

PICK UP ACTRESS 君島光輝

PHOTO=古賀良郎 INTERVIEW=斉藤貴志

人気の2.5次元の舞台に主演
剣を使うアクションにも挑戦

――車の教習所に通っているそうで。

「そうなんです。21歳でちょっと遅めですけど」。

――順調なんですか?

「それが……入所するとき、安心定額コースというのがあって『1万円余計に払えば追加料金はかからない』と言われたんですけど、12時間の実習でOKをもらえれば大丈夫だから、余裕だと思って入らなかったんです。そしたら、初っ端の実技から落とされまくり(笑)」。

――初っ端というと……。

「エンジンかけて、ちょっと直進したぐらいで『ふらつきがある』と言われてダメで。たちまち1万5000円加算され、『定額に入っておけば……』と思いました。この先、怖いですね~(笑)」。

――さらに難関が待ち受けてるわけで。

「S字やクランクをやっても、どうも乗り上げちゃう(笑)。教習所の先生に『ちょっとどんくさいのかな』と言われました。でも、東京にそんな狭い道はないし、S字とかクランクとか、練習する必要ないと思うんです」。


――いやいや(笑)。

「狭い道があったら、そこは通らず遠回りして行くので(笑)」。

――教習で「性格が出る」とも、ツイッターに書いてました。

「そうなんです。急なカーブを回る練習をしていたとき、先生に『あなたは夏休みの宿題を8月30日までやらないタイプでしょう?』と言われました。ギリギリまで減速しないで、いきなりブレーキを踏んでギューン、ゴツッと止まっちゃうので」。

――paletの頃は真面目な性格に見えました。

「年下が多かったので『しっかりしなきゃ』というのがあったので、真面目になっちゃいますよね(笑)。でも、普段はこんな感じです(笑)」。

――8月の舞台「遙かなる時空の中で5 風花記」で演じる主人公の蓮水ゆきは天然な女の子ですよね。

「天然でフワッとした子ですけど、戦うときは真剣。フェンシングをやっていて、『あれぇ? わかんなぁい』というより、ちゃんとひとつのことを真面目に考える部分もあるのかなと思いました」。

――世界を救おうとするわけですから。この役をやることになった経緯は?

「いきなりマネージャーさんに『こういう案件があるけど、どう?』と言われて、『やりたいです。ぜひ!』という。去年『遙かなる』の舞台を観に行ったんです。事務所の先輩が出ていたので。プロデューサーさんがpaletを知ってくださっていて、あいさつに行って『すごく面白かったです』と感想を伝えたので、その流れでキャスティングしてくださったのではないかと」。

――定番の人気作品ですが。

「知ってはいました。2.5次元が流行っていて、有名なものは乙女ゲームの原作が多くて、『遙かなる』はその代表なので」。


――これから始まる稽古では剣を使ったアクションもあると思いますが、光輝さんは運動のほうは?

「いやもう、本当に運動音痴ですね。中学では3年間、卓球をやっていて、部の副キャプテンでしたけど、後輩よりもうまくない(笑)。人柄で選ばれた副キャプテンだったので」。

――でも、試合には出ていたんですよね?

「出ました。でも、ダメでした(笑)。私たちの先輩は県で一番強かったんですけど、私たちが最上級生になった途端、『どうした?』というぐらい落ちました(笑)。大会では先輩の記録でシードになって2回戦から出て、普通は1回戦から上がってきた子は当たると嫌がるのに、私がシードだと余裕を持たれるくらい、めっちゃ弱くて(笑)。そのくせ『ネットです』とか『タイム』とかやたら言ってました(笑)」。

――そもそも運動音痴で、なぜ卓球部に?

「私、足がものすごく遅いんです。当時で50m10秒台、100m23秒とかで、今なら倍ぐらいかかりそう。必死で走るのに何かダメなんです。それで、陸上部に入ろうかなと思いました」。

――「それで」で話が繋がりません(笑)。

「陸上部は足の速い子しか集まらないから、そこに入れば体が馴染んで、私も自然と速くなるかなと。速い子を追い掛けて走れば速くなると、よく言うじゃないですか。そういう感覚。でも、うちの中学の陸上部がガチで、大会でも上に行く感じだったので、これはダメだとなって。それで、仲いい子に『何部に入るの?』と聞かれて『パソコン部に入ろうかな』と言ったら、その子が卓球部で『一緒にやろう』という流れになりました」。

――パソコン部も選択肢だったんですか?

「パソコンはめっちゃ得意なんです。意外とそっちタイプの人間なので。フォトショップとかペンタブで絵を描くのが好きです。あと、会話があまり得意じゃなかったので(笑)」。


――「会話が得意じゃない」って……。光輝さんの話はツッコミどころ満載ですが(笑)、とりあえず今回のアクションは大丈夫ですか?

「大丈夫です! 根拠はないけど、不思議と自信はあるので」。

Nマネ「努力はしますね」。

「どっちかというとウサギにはなれない、カメのタイプです。フィットネスジムにも通っています。シェイプアップのためと、8月にすごく体力を使うと思うので、今からトレーニングも兼ねて」。

――ポスター撮りで、ゆきの衣裳は着たんですよね?

「気持ちが盛り上がりました! それに、思いのほかタイトで、シェイプアップをしておいて良かったと思いました」。

――共演者はイケメンばかり。

「男の人ばかりです。ずーっとしゃべっている人もいれば、ずーっと鏡を見ている人もいたり、本当にゲームみたいに、キャラクターはそれぞれでした」。

――紅一点でモテる役で、居心地はいいですか?

「私、この仕事を始めてから、男の子だと恥ずかしいとか女の子だとイヤとかなくて、人が苦手じゃなくなったので(笑)、誰とでもけっこう話せます。せっかくの役だから、舞台ではモテまくろうかなと思います(笑)」。

――お客さんも女性が多くなりそうで。

「そうですね。まず蓮水ゆきとして見てもらって、舞台が終わったときに『君島光輝っていいよね』と思ってもらえるように演じていけたら。私は原作のある2.5次元は初めてで、どんなファン層なのかも楽しみ」。

――光輝さんは女性ウケも良さそうだし。

「そうなんですかね? あまり男性ウケは良くないと(笑)?」。


――いやいや。でも、特技が“煮物料理を作ること”なのは、男性ウケ狙いで?

「ではないです。お菓子みたいな、見た目からおいしそうに模るものが作れないんです。煮物ならビヤーッと煮ちゃえば、見た目は関係ないので(笑)」。

――そんな理由でしたか(笑)。

「言わなきゃ良かった(笑)? でも、味はおいしいですよ。豚の角煮も得意です」。

――蒸したり焼いたりする料理は?

「焼きだったら、かろうじて行けるかもしれません。ビヤーッと焼けるものだったらいいんですけど、じっくり待てないんです。焼肉屋さんでも、自分の前の鉄板に肉を敷き詰めて、次々と焼いていたり。せっかちなんです。だから、車のブレーキもなかなか踏まないんですよね(笑)」。

少量の洗剤でもあんなに泡立てられる
スポンジみたいな人間になりたいです

――舞台はこれまでも出ていますが、良い思い出ばかりですか?

「そうですね。苦いのも良い思い出。ビターチョコレートみたいな感じで」。

――趣味の“チョコレートを365日食べること”に絡めてブッ込みました(笑)?

「カカオ90%くらいのこともあります(笑)。苦かったのは、地方公演の大変さですね。自分で『大阪でやりたい』とか言っていて、行ったら行ったで時間がタイトだったり。あと、いつものように家に帰って次の日の本番に行くのでなく、ホテルに戻ってまた行くのに体が付いていかなくて。でも、キャストはいい方ばかりだったし、達成感しかありませんでした」。

――本番でしくじったこともなく?

「一度大きくしくじったことがあります。制服を着ていて、ワンピースに着替えて出るシーンを勘違いしていて。次も制服で出なきゃいけないのに、ワンピースに着替えちゃったんです。出るきっかけ台詞が聞こえたときに『違う!』と気づいて、初めて3秒で制服に着替え直しました。セーラー服で脇のチャックがベローンと開いたまま『お待たせ~』とか言って出ちゃって」。

――お客さんに笑われたり?

「それはゲネプロだったので、ギリギリ良かったんですけど、焦りましたね。これが生モノなんだなと」。

――女優は小さい頃から目指していたそうで。

「ずっとやりたかったんです」。

――人生に影響を与えた作品とかあったんですか?

「『(美少女戦士)セーラームーン』です。アニメですけど『こういう子になりたい!』と思いました。みんなに好かれて、堂々としていて。小さかったからアニメのキャラクターも人間みたいな感覚で、『私も画面の向こうに出たい』と思ったのがきっかけで、女優に憧れました。あと、お母さんが女優になりたかったのを諦めた人で、私にやってほしいというのもあったので、小さい頃からオーディションを受けていました」。

――今も映画鑑賞が趣味のひとつなんですよね?

「よく観ます。最近は映画館よりDVDを借りて。ホラーが好きで、『インシディアス』という洋画がもうすぐ第4弾が製作されるらしいんですけど、第3弾を観てハラハラ、ドキドキしたので、楽しみにしています」。

――どういう系のホラーが好みですか?

「ジワジワくるのがいいです。グロテスクなのは得意じゃなくて。洋画のホラーは日本と比べてバーンとくるのが多いけど、そっち系でないのばかり観ます。『ヴィジット』とか。『REC/レック』という手持ちカメラで撮った映画がありましたけど、『ヴィジット』もそうで、観客の目線で本当にあったことのようで、すごく面白かったです」。


――「パラノーマル・アクティビティ」も観ました?

「シリーズ全部観ました。映画館でも観たし」。

――あれは怖くなかったですか?

「そうですか? 私はもっと怖いかと思っていたので(笑)」。

――マジですか!? ガチのホラー好きは違いますねぇ。普段も怖がりではなく?

「めっちゃ怖がりです(笑)。帰りの夜道とか、絶対おばけが出ると思うので」。

――背後で物音とかしたら……。

「もうダメ! 夜道ではいつも、警官が持ってるような下まで光るライトセーバーみたいなのを振って歩いてます」。

――そっちのほうが怪しいのでは(笑)? 以前は目標に沢尻エリカさんを挙げてました。

「今も変わりません。芝居に一直線で、いろいろな役ができるじゃないですか。辛いシーンや悲しいシーンでこらえる表情が、すごく上手だなーと思います。あと、アン・ハサウェイさんが好きです。『レ・ミゼ(ラブル)』は5回ぐらい観ました」。

――paletを卒業してから、ちょうど1年になりますが、ここまで順調に来てますか?

「思い通りというほどではないですけど、少しずつやりたいことをやらせていただけるようになった感じですね」。


――1人だと大変なこともありました?

「1人になるとメディアに出るきっかけが少なくて。アイドル時代は『新曲が出ました』とか『PVが公開されました』とかあったんですが、個人でやっていると、舞台が決まっても公演まで期間が空く。次に何か決まると、また準備期間が……となるので。それにグループだと、自分がソロ活動して、他のメンバーも別のところで活動していたら、1日に三つぐらい発信できたけど、今は1人でひとつしかできないので、まだまだだなと思います」。

――と言いつつ、自分でYou Tubeで始めた「ほぼ月刊君島光輝」が「ほぼ年刊」になりかけていましたが(笑)。

「そこは触れないでください(笑)。32GBのSDカードをamazonで注文したら、パスワードがわからなくて買えなくて。この前ちゃんと買ったので、これからはほぼ週刊に……なるといいですね(笑)」。

――アイドル時代と自分自身が変わったところも?

「自分の発言に自由度が増えましたね(笑)。前は私が思っていることを発言したら、グループ全員がそう考えていると取られないかとか、いろいろ気にして堅苦しくなっちゃって。今は1人だし、思ったことを思ったようにツイートできるようになりました」。

――今日のお話でちょいちょい、昔は人見知りな発言も出ましたが、この世界に入って変わったんですか?

「私、転校ばかりしていたので。友だちを作るのが苦手で『1人でいるほうが楽』という考えでした。それで引っ込み思案になったんですけど、人に見られることは嫌いじゃない。むしろ好きなので『もっとしゃべりたい。発信したい』と思うようになりました。そしたらプライベートでも自然と、誰とでも仲良くなれました」。

――今後さらに変わっていきたいとも思います?

「ただ発信しっぱなしでなく、人を引き付ける発信の仕方を身に付けられたらいいなと思ってます。いつもマネージャーさんに言われるんですけど、真面目は堅いことだけではないと、最近やっとわかってきて。もっと柔軟性のある、スポンジみたいな人間になりたいです。スポンジってすごくないですか? 水を吸収して、少量の洗剤であんなに泡立ってくれるんですよ? 私も小さな仕事をポッといただいても、パッと大きくできる人間になりたいです」。
 


 
 

君島光輝(きみじま・みつき)

生年月日:1994年8月10日(21歳)
出身地:東京都
血液型:AB型

 
 

【CHECK IT】
アイドルユニット「palet」を2015年6月21日に卒業。映画「デスフォレスト3」「デスフォレスト4」、舞台「~西原理恵子演劇祭2016~女の子ものがたり」「奈落へヴン」「AKIRA」、 「キスマイBUSAIKU!?」(フジテレビ系)などに出演。主演する舞台「遙かなる時空の中で5 風花記」は8月11日(木)~21日(日)全労済ホール/スペース・ゼロにて上演。
 

詳しい情報は公式HPへ

 
 

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