2016夏ドラマ寸評

恋がしたくなる〝月9〟復活!
5話完結の「ときかけ」は濃厚

 
 
当コラムは、HUSTLE PRESS編集長個人が感じた夏ドラマの寸評になります。少しでも皆さまの参考になれば幸いです。
 
 
◎=絶対に最終回まで見る
○=なんとか最終回まで見る
▲=とりあえず見る
△=余裕があれば見る
-=タイミングが合えば見る

 

「好きな人がいること」(フジテレビ・毎週月曜日21:00~)
〝月9〟はやっぱりこうでなくちゃ。月曜日の夜から重たい空気は要らない。今回の作品はそういう意味では〝月9〟らしい王道モード。桐谷美玲を中心に、山﨑賢人、三浦翔平、野村周平、大原櫻子を巻き込んで、心から夏に恋がしたくなる作品。舞台ももちろん湘南で決まり。とにかく、山﨑賢人演じる柴崎夏向の超ドSっぷりが凄い。普通にいたら完全に超スカンモード間違いなしなのだが、山﨑賢人が演じていると許せてしまう。女性キャストも佐野ひなこ、飯豊まりえ、菜々緒となかなかの粒ぞろい。これは観ない理由がない。
 
 
 
「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」(フジテレビ・毎週火曜日22:00~)
波瑠連ドラ主演の猟奇犯罪ミステリー。波瑠が演じる新人刑事・藤堂比奈子は初々しくも、七味を何にでもかける変人っぷりなど狙っているとしか思えないチープな演出が鼻につく。また猟奇犯罪がテーマになっているのでスリル満点のはずなのだが、そこはテレビドラマ。グロテスクなエグさが上手く描かれ切れていない。波瑠以外の美少女系キャストもいないので、狙いは波瑠一本の作品。
 
 
 
「せいせいするほど、愛してる」(TBS・毎週火曜日22:00~)
原作は同名コミック。意外にも武井咲はTBSドラマ初主演だそうで、その点に驚いた。原作コミックでは化粧品会社が舞台だったが、今回は世界的ジュエリーブランドの〝ティファニー〟とコラボレーション。舞台がティファニーのため、やたらと華やか。武井咲も滝沢秀明も、このラグジュアリーさにぴったり。ラグジュアリーなシェアハウスで暮らす女子3人(武井咲&水沢エレナ&トリンドル玲奈)が凄すぎて残念ながら、世の中の女子が共感できるとは思えない……。ドラマ自体は、勝組の中で巻き起こる恋物語といった様相。武井咲の美貌が目の保養になるのは間違いありません。話の本筋とは離れるが、ドラマオリジナルグッズはボールペンやパスケースと安価なものが多く、このギャップにちょっぴり驚く。
 
 
 
「家売るオンナ」(日本テレビ・毎週水曜日22:00~)
結婚後初となる主演を務める北川景子のドラマ。〝私に売れない家はない〟と強気キャラ全開の三軒家万智を演じる北川景子が、そのイメージに合わずどうもしっくりこない。1話ごとに家を買い求める客としてゲストが登場する形をとっているので、どこから観ても問題ないのが唯一の救い。大石静が脚本で期待していたのだが……。
 
 
 
「はじめまして、愛しています。」(テレビ朝日・毎週木曜日21:00~)
主演・尾野真千子、脚本・遊川和彦。親に捨てられた見ず知らずの5歳の男の子を自分たちの子どもにしようと決断し、本当の家族になろうと奮闘する6カ月の物語。テーマがテーマだけに非常に考えさせられることが多いドラマ。しかしながら、あまりにも特殊な環境のため、全くもって共感などがしづらい一面もあり、賛否の分かれる作品だと感じる。僕的にはちょっと重たいのでパス。
 
 
 
「営業部長 吉良奈津子」(フジテレビ・毎週木曜日22:00~)
かつての敏腕CMディレクター吉良奈津子(松嶋菜々子)も3年の産休を経て「東邦広告」に復職。しかしながら3年のブランクは大きかった……。ってな感じのストーリー。しかしながら、この吉良奈津子が強い。営業開発部の部長という慣れない〝お飾りポスト〟を不本意にも拝命するもここで負けず嫌いの性格が爆発。数々の困難に立ち向かっていく。働いている者からすると、元気をもらえる作品です。舞台がほぼほぼ職場のため、美少女出演者も限られている。営業開発部で働く社員役で、中村アンと足立梨花。落ち込んだときは、吉良奈津子の多少無神経でも前向きな働き方をみて気合を入れましょう。
 
 
 
「遺産相続弁護士 柿崎真一」(日本テレビ・毎週木曜日23:59~)
遺産相続を専門に扱う法律事務所〝ラストリクエスト〟の弁護士・柿崎真一(三上博史)と丸井華(森川葵)がタッグを組みながら、様々なケースの遺産相続にまつわる依頼を引き受け、問題を解決していくストーリー。毎回、ゲスト出演者(依頼主)が登場するパターンのためどこから観ても追いつけるのだが、如何せん中途半端。真面目に観ていいのか、おちゃらけた気持ちで観ていいのか判断に苦しむ。
 
 
 
「神の舌を持つ男」(TBS・毎週金曜日22:00~)
堤幸彦演出だとすぐわかる作品。〝コミカルミステリー〟と銘打ってはいるだけあり、軽妙な駆け引きや、台詞の使い方などはいつもの通り。蘭丸(向井理)、光(木村文乃)、寛治(佐藤二朗)の3人による温泉場の珍道中劇。なぜか〝三助〟の向井理だけに裸が拝めますが今更感。唯一の楽しみは、佐藤二朗のツッコミ台詞。これにはふっと笑わせられるが基本的にはいつもの堤節炸裂なので「TRICK」や「SPEC」が嫌いな人はダメ。評価が真っ二つに割れる作品か。そもそも、神の舌(口にものを入れただけで、ものの成分が分かる)というスペックが、この作品に必要なのかが謎。美少女も特筆すべき出演者はおらず見送り。
 
 
 
「グ・ラ・メ!~総理の料理番~」(テレビ朝日・毎週金曜日23:15~)
原作・西村ミツル、作画・大崎充のコミック「グ・ラ・メ!~大宰相の料理人~」の実写ドラマ。25歳にしてパリのグラン・メゾンで腕をふるっていた女性シェフ・一木くるみ(剛力彩芽)に70年ぶりに復活させる総理任命の〝官邸料理人〟に就かないかとオファーが舞い込む。仕事を引き受けることになったくるみ。国を動かす面々の食欲を満たすための料理人の闘いが始まる。数年前に観た映画「大統領の料理人」を思いだす内容だが、分かりやすくて入りやすい。剛力彩芽もはまり役。いい。これはマークする一本。テレビ局の政治記者役で新川優愛。すごく似合ってます。やっぱり、新川優愛はインテリジェンスが満ち溢れている。
 
 
 
「時をかける少女」(日本テレビ・毎週土曜日21:00~)
原作はもちろん筒井康隆の同名小説。幾度となく時代に合わせてリメイクされる同作品。大林宣彦監督の映画がセンセーショナルだったため、なかなか比較しても勝てないのも事実ではあるが、今回の作品は原作にも忠実な部分も多く、うまいこと現代版として蘇らせることに成功している。いわずもがな、この作品の肝は〝タイムリープ〟な訳だが、1話目からとんでもない数のタイムリープを使用。今回は全5話なので凝縮された格好か。この先、どう物語を展開させていくのか多少心配にもなるが、白い温室や、理科準備室。そしてラベンダーまで登場する演出には大満足。シーンにおいても、火事のシーンや、お祭りの提灯が落ちてくるシーン(映画だと瓦屋根)などオマージュが多い部分も共感。そして、この作品にどうしても必要不可欠なファクターが、ショートカット美少女の存在である。原田知世が鮮烈なイメージを与えてくれたように、今回の作品では、黒島結菜がそれをみごとに演じ切っている。処女性をまとった女子高生。存在感もピカイチ。この点は何も言う事がない。ほかの美少女たちも映える。吉本実憂、古畑星夏、八木莉可子。自分には文句のつけようのない一本!
 
 
 
「仰げば尊し」(TBS・毎週日曜日21:00~)
日曜劇場の枠である種の挑戦。「ROOKIES」のノリで吹奏楽。熱血教師の樋熊迎一を演じる寺尾聰はいい。吹奏楽部部員役のE-girlsの石井杏奈もいい。個々の演者は光るものの、演出が軽いノリのため作品として中途半端。パス。
 
 
 
「HOPE~期待ゼロの新入社員~」(フジテレビ・毎週日曜日21:00~)
フジテレビ鬼門の同時間帯ドラマ。今回もそこそこか……と思いきや、超面白いじゃないか! 原作は韓国で社会現象を起こした感動のヒューマンドラマだそうです。主演は中島裕翔(Hey!Say!JUMP)。インターンシップ役がとっても似合っていて、清々しい気持ちになる。これはナイスキャスティング。与一物産の営業3課で働くことになった一ノ瀬歩(中島裕翔)はコネ採用のため、他のインターンシップの同期からイジメにあうも、ひたむきに働く姿が泣けてくる。同期の中でも、香月あかね(山本美月)や桐明真司(瀬戸康史)は偏見なく接してくれる。一ノ瀬歩の所属する部署・営業三課の課長・織田勇仁(遠藤憲一)も最高。オススメの一本です。山本美月のスーツ姿が可愛すぎて、それだけでも観る価値あり。
 
 
 
「そして、誰もいなくなった」(日本テレビ・毎週日曜日22:30~)
普通の生活を営んでいた藤堂新一(藤原竜也)の身に、同姓同名の犯罪者が現れる。システムエンジニアだった新一の身にどんどんと災難が降りかかっていく。マイナンバー制で個人データがコンピューター管理される時代の〝ありそうな語〟。美少女出演者としては婚約者役で二階堂ふみ。おのののかと桜井日奈子もいるので押さえてはおきたい作品だが、話数が進むごとに辛そうになってくるかも……。
 
 
 
夏の〝月9〟はこうでなくちゃいけません。
 
 

HUSTLE PRESS編集長 井上朝夫