ひと夏の終わりに美少女たちと過ごした至極の時間-スタダ営業所祭り回顧-

もう1か月前になりますか。8月28日に横浜ベイホールで行われた「スターダストセクション3営業所祭り~夏のカオス~」。夏の終わりを告げるだけではなく、美少女たちの競演がそこにはあった。
 ももいろクローバーZ、私立恵比寿中学、チームしゃちほこ、たこやきレインボー、ばってん少女隊、ときめき♡宣伝部、3B junior。世のアイドル界は、スターダスト芸能3部から輩出されたグループで大にぎわいであるが、そんなスターダスト芸能3部の次代を担うグループたちがこの日横浜ベイホールに集結した。そしてそこでは、スターダスト芸能3部の女の子たちの層の厚さ、そして地力の強さを垣間見ることになったのだった。ここでは、フレッシュなパフォーマンスを見せてくれた各グループを紹介していこうと思う。
 

-第一部回顧-

 
 

①二代目いぎなり東北産

 

 
(左上から時計回りに)安杜羽加、律月ひかる、湊梨紗、葉月結菜、橘花怜、北美梨寧
 一部のトップバッターとしてステージに登場したのが、仙台営業所発の二代目いぎなり東北産。グループ名からすでに“東北のなまり感”が出ているが、登場するや否や、いきなり湊梨紗のなまり全開の小芝居からスタート(笑)。彼女、ステージ裏でなまりを笑われたとのこと。小芝居も早々に切り上げ、披露した1曲目はももいろクローバーZのカバーで「ピンキージョーンズ」。開始早々会場のボルテージはMAXまで達し、ステージ上の彼女たちはそんなお客さんの熱に負けじととにかくすさまじい運動量を見せた。まさにももクロ姉さんを彷彿とさせるような、メンバー全員が髪を振り回すくらいの全力パフォーマンス。その中でも特に存在感を見せたのは、この日グループ最年少だった橘怜花。中学1年生にしてすでに洗練された力強い歌声だけでなく、パフォーマンス中にビュンビュン振り回される彼女のツインテールに、とにかく目が行った。1番体が小さいにも関わらず、一際ステージ上で目立っていたのが彼女だった。
 その後MCを挟み、次に披露したのは私立恵比寿中学のカバーで「オーマイゴースト?〜わたしが悪霊になっても〜」。MCの怖い話の最後に全員が倒れ、会場一帯に「まさか!」と思わせてからのこの曲への入りは圧巻。夏の終わりに最適な曲を披露した後は、チームしゃちほこの「エンジョイ人生」をカバー。会場の熱気がどんどん上がっていく中、彼女たちは歌い方や表情にカッコよさを織り交ぜてのパフォーマンスを見せてくれた。そして最後は、たこやきレインボーの「ちゃんと走れ!!!!!!」を披露。今度は一転して、終始かわいさを身に纏いながらのパフォーマンス。中でも1番光っていたのが、律月ひかるのアイドル性。歌っている最中のかわいらしい表情やレスの部分では、彼女がずば抜けていた。
 以上4曲のステージだったが、もっといろんな曲を見てみたいと思わせるほど、彼女たちは全力パフォーマンスだけでなく、曲によって見せ方を変えられる表現力まで身につけていたのだった。1組目から、とにかく地力の強さを見せつけられた。
 
 

②N-Twinkle TRIBE

 

 
(左から)杉浦さくら、紅葉、大高みなみ、羽野瑠華
 次にステージに登場したのが、名古屋営業所発のN-Twinkle TRIBE。ブルーとイエローのポロシャツにピンクのフリフリなスカートという、なんともアイドルらしい衣装で登場した4人。そんな彼女たちは、登場してすぐ板付き、1曲目からチームしゃちほこのカバー曲「ザ・スターダストボウリング」を披露し、会場を沸かせた。曲にピッタリと合った4人のグルーブ感とわちゃわちゃ感、そしてそこかしこから感じる初々しさは、まるでこの曲をリリースした当時のチームしゃちほこを見ているようだった。それもそのはず、同じ名古屋で幾度となくしゃちほこ姉さんのライブを熱心に見に来ていた彼女たちは、自ずとしゃちほこ姉さんのパフォーマンスが記憶に染み込んでしまっていたに違いない。
 その後のMCで自己紹介を披露したのだが、特に印象深かったのが杉浦さくら。大塚愛の「さくらんぼ」のサビに乗せて自己紹介をした後、リズムよくお客さんから「もう1回!」の合の手が入り、それに対して即興でリズムよく「ない!」と返した彼女のアドリブ力には脱帽だった。そのまま2曲目はKAGAJO☆4Sの「毎日がクリスマス」をカバー。1曲目のわちゃわちゃ感から一転、今度はスタンドマイクがステージに4本入り、フリフリな衣装も相まって本格的に王道アイドル感を見せてくれた。またグルーブ感は、4人ともが揃いのポニーテールだったことに加え、1人1本ずつのスタンドマイクの元に立つことでより一層際立っていた。
 そして3曲目の「お願い!シンデレラ」と4曲目の「花ハ踊レヤいろはにほ」でアニソンを続けたN-Twinkle TRIBE。どちらもやはりかわいさ重視の曲であり、終始一環して王道アイドル感を出していくグループ色が伺えたステージだった。
 
 

③ちゅらりんA

 

 
(写真左から)白石南帆、結菜、珠杏、あいり
 3組目に登場したのが、沖縄営業所発のちゅらりんA。登場前に飛行機の効果音が流れ、最初の小芝居で沖縄からの遠征感を存分に出しつつスタート。1曲目は「沖縄から出てきた未確認な私たちをちゃんと確認して!」と言わんばかりに、私立恵比寿中学の「未確認中学生X」をカバー。いい意味で曲に振り回されて必死な姿とステージ上のカオス感は、見ていて心癒されるものがあった。続いて2曲目に披露したのは、チームしゃちほこの「乙女受験戦争」。この2曲を続けたことで、ちゅらりんAはステージ上の賑やかさと会場の一体感で勝負をかけてきていることが見えてくる。コールアンドレスポンスも、しゃちほこ姉さんのそれにまったく劣らず、スタート2曲で会場のボルテージは最高潮まで昇った。また、落ちサビのソロパートでは珠杏が伊藤千由李(チームしゃちほこ)に負けない魂のこもった歌唱を披露。そのままロッカジャポニカの「歌いたいのうた」を3曲目に披露。沖縄から東京に出てきてステージで歌えることの喜びが終始感じられた。そのままMCや小芝居は挟まず、最後はももいろクローバーZの「ココ☆ナツ」をカバー。夏にピッタリなこの曲で最後まで会場との一体感を崩すことなく、終始「お客さんと一緒に遊びたい」という意志が伝わってくる楽しいパフォーマンスを見せてくれた。
 そしてここで特筆すべきは、白石南帆の存在感である。この日1番のアイドル性を見せてくれたのが、もしかしたら彼女かもしれないというくらい、抜群の笑顔の破壊力だった。また、ライブ中にコロコロ変わる表情に惹きつけられ、ここしかないというタイミングで繰り出さられる満面の笑顔に、何人ものお客さんの心が奪われたに違いない。
 
 

④はちみつロケット

 

 
(写真左上から時計回りに)雨宮かのん、華山志歩、澪風、森青葉、播磨怜奈、公野舞華、塚本颯来
 一部のトリを飾ったのが、3B junior内ユニットであるはちみつロケット。やはりすでにグループの色が完成されており、力の差を見せつけてやるぞと言わんばかりの気合いが板付きの段階から感じられた。そんな中で「ギリギリサマー」「WARE-WARE-WA」の世界観たっぷりな2曲を披露。王道アイドルな見た目をしておきながら、まったくもって王道とかけ離れたサウンドの楽曲を披露するという絶妙なチグハグ感が、彼女たちの魅力の1つでもある。今までのフレッシュなステージで何色に染まるでもなかった会場が、この2曲で一気にはちロケ色へと変貌していくのが見えた。すでにこの段階で、「どうだ、これがはちみつロケットだ!」という声が聞こえてきそうな勢いが感じられた。そしてその流れのまま、「恋メラ」「お願いメテロティス」のオリジナル2曲を続け、さらに深いはちロケ色へと会場を染め上げていく。いわゆるエモサウンドに乗せ、曲調やダンスはカッコよくて歌声や表情はかわいいという、これまたチグハグさが抜群の味を出していた。
 その後MCを挟み、ももいろクローバーZの「MOON PRIDE」、そして締めは3B juniorの「勇気のシルエット」をはちロケバージョンで披露。落ちサビの雨宮かのんの「こぶし上げろ!」が会場中に響き渡った。全6曲のパフォーマンスを披露した彼女たちだが、やはりこれまでの3グループと比べて動きのキレ、歌唱力、表現力のすべてが1ランク上のステージであり、まさに格の違いを見せつけるステージとなった。
 
 

-第二部回顧-

 
 

①ちゃうちゃうわっちゃーズ

 

 
(写真左から)堀口日萌、藤川希子、岡本結芽乃、葉山未来、横堀菜々美
 二部のトップバッターで登場したのが、大阪営業所発のちゃうちゃうわっちゃーズ。写真の通り、まるで吉本新喜劇に出てくる美少女のような衣装を身に纏った彼女たちは、まさに吉本新喜劇のテーマソングとともにステージに上がり、コントのようなMCから入るというコッテコテの関西人っぷり。頭から一笑いとった後は、1曲目の「最強パレパレード」で一転して関西人からアイドルへと変身。スターダスト芸能3部お決まりのこの曲でつかみはバッチリ。そして2曲目にはチームしゃちほこの「そこそこプレミアム」を披露。名前通りのステージ上でのわちゃわちゃ感はまさに関西のアイドルといったところで、とにかく会場が盛り上がる盛り上がる。サビの「そこそこしゃちほこプレミアム♪」の歌詞を「そこそこちゃうちゃうプレミアム♪」に変えるなどのオリジナル感も出しながら、会場の熱気を煽り倒した。また、わちゃわちゃ感の陰にかくれて、実はダンスや歌唱力といったパフォーマンスがしっかりしていることも垣間見えた。そして最後の3曲目に披露した私立恵比寿中学の「涙は似合わない」。盛り上がった会場の熱気を冷ますように、スローテンポなアイドルポップスでメンバーの安定した歌唱力が際立った。
 この日は3曲だけの披露に留まったが、最後のMCで一回ステージ袖に捌けた後、もう一度ステージに出てきて、まるで新喜劇のオチのように「チャンチャン♪」という音で締めるという小芝居も見せてくれた。最初から最後まで関西人感を前面に出し、インパクトを残していったちゃうちゃうわっちゃーズであった。
 
 

②桜エビ〜ず

 

 
(写真左から)水春、桜井美里、村星りじゅ、茜空、川瀬あやめ
 2番手で登場したのが私立恵比寿中学の研究生ユニットである「桜エビ〜ず」。個性が大爆発しているエビ中とは真逆で、真っ白なセーラー服を身に纏い、板付きの段階から正統派アイドル感がヒシヒシと伝わってくる。そんな中1曲目はオリジナル曲「はっぴースキップ☆ジャンプ」を披露。まさに王道なアイドルポップスで、純白なセーラー服も相まって随所でキラキラ感が散りばめられており、この時点ですでに見た目だけでなくグループの色もエビ中とは全く真逆であることがわかるパフォーマンスであった。その後のMCでは、水春が抜群のトーク力を発揮。板についたMCや各所でのツッコミ、そしてアドリブ力も含め、とても経験の浅いアイドルとは思えないものがあった。
 その後、2曲目にはエビ中の「ザ・ティッシュ〜とまらない青春〜」を披露。エビ中でも人気の曲で会場は一気にヒートアップし、続いて3曲目にはモーニング娘。の「Say Yeah!-もっとミラクルナイト-」を披露。今までとは一転して、一気にEDM調のカッコよさが際立つ曲だったが、ここではエビ中のぁぃぁぃこと廣田あいかを彷彿とさせるような、茜空の表現力と全力ダンスが目を引いた。続いて4曲目の「ひとりじゃないよ」、5曲目の「チャイム!」では安定した歌唱力で、グループとしての地力の強さを見せる。
 最後に披露したのは、オリジナル曲の「Believe」。全6曲の中でこの曲が最も彼女たちの正統派感にマッチしており、まさに桜エビ〜ずの本質を表す楽曲だといっても過言ではない。とにかく清純さ、真っ白さが前面に押し出された曲で、広い空の下でノビノビと自由に表現しているかのような印象を受けた。とにかく終始徹底されたグループとしての正統派感が、今後どう磨かれていくのか楽しみである。
 
 

③私立輝女学園

(21:00を過ぎてしまったため写真なし)
渡辺梨世、早川あひる、西田圭李、青木菜々香、神山凛、奥森皐月
 この日3組目に登場したのが、私立輝女学園。一人前の女優を目指す彼女たちは、J:COMテレビにて「輝☆ご当地大使!」というレギュラー番組を持ち、さまざまな地域の魅力を紹介している。そんな6人がこの日ステージで披露したのは、その番組のテーマソングである「咲、桜」。全8グループが登場した今回のイベントで最もザ・アイドルソングな楽曲であり、ステージ慣れしていない初々しい様子が存分に窺えたなんともフレッシュなステージであった。またアイドルではなく女優を目指す彼女たちが、この日唯一メンバーカラーごとの衣装を身に纏い、この日1番のキラキラ感溢れるアイドルソングを歌うという趣向のおもしろさも、そこにはあった。
 
 

④ロッカジャポニカ

 

 
(写真左から)高井千帆、内山あみ、内藤るな、平瀬美里、椎名るか
 二部のトリを飾ったのが、3B junior内ユニットのロッカジャポニカ。すでにデビューしているだけでなく、全出演グループの中で唯一メジャーデビューを果たしているグループということもあり、一部のはちみつロケットと同様、1曲目に披露した「WEE FIGHT OH!!!!!」からすでに、他のグループと比べてアイドルとしての完成度やパフォーマンスのレベルが1ランクも2ランクも上のステージにあることを感じさせた。先の桜エビ〜ずの正統派で純白なステージとは一変、配色豊かな衣装でノリノリな曲に合わせてステージ上を駆け回る5人。そのまま続けて、2ndシングル「教歌SHOCK!」のカップリング曲である「全力大実験!」と「わが輩は乙女である」を披露。続けざまの賑やかな楽曲にも関わらず、息が切れることもなく全力でパフォーマンスを続ける体力もお手のもの。
 その後4曲目の1stシングル「ワールドピース」で平和を歌い会場を和ませ、5曲目は一部でちゅらりんAがカバーした「歌いたいのうた」を披露。あえて意識してこの曲を入れてきたであろう彼女たちから、「後輩にはまだまだ負けられない」という思いが存分に伝わってくるパフォーマンスであった。そして締めは2ndシングル「教歌SHOCK!」。7月に発売したばかりの曲で会場の盛り上がりが最高値に達したところで終幕。やはり、一味も二味も格上のパフォーマンスを見せつけたロッカジャポニカであった。