2016年公開映画で印象に残ったシーン

年が明けて、もう1ヶ月が過ぎようとしている。冬ドラマも続々と始まってきて、今年もどんなドラマや映画が公開されるのか楽しみでたまらない。
自分は、女優が好きなので相対的に映画も好きである。去年は邦画だけで言うと102本劇場で鑑賞した。今回はその中でも、女優が演じるシーンでとても印象に残ったものを紹介していこうと思う。
 
1、『怒り』 広瀬すず 2016年9月17日公開

主演・渡辺謙の他、宮﨑あおい、妻夫木聡、森山未來などそうそうたるメンバーの中でも、臆することなく難しい役柄に挑戦した広瀬すず。鑑賞した人なら分かると思うが、「どうしてこんな役を広瀬すずが!?」と思ったことだろう。彼女なりに、こんな豪華な顔ぶれの中で演技できるということへの覚悟の表れなのではないかと思った。
そして、いちばん印象に残ったシーンというのは、〝公園で襲われるシーン〟である。
ここは、本当に圧倒的といわんばかりの広瀬すずの存在感。表情、感情、すべてにおいて完璧だったと言える。感情を爆発させてからの、諦め、虚無感の表現がこの若さで出来ることにすえ恐ろしささえ感じた。このシーン、この映画を観て、広瀬すずの女優魂というものを垣間見れた気がした。過激なシーンだけに賛否両論あるとは思うが、自分は褒めたたえたいと思った。
 
2、『オーバー・フェンス』 蒼井優 2016年9月17日公開

オダギリジョー×蒼井優による「美しく壊れかけた男と女の物語」。
蒼井優は若いホステスを演じているのであるが、これに関してはひとつのシーンではなく蒼井優が演じたシーンすべてが印象に残っている。精神的な面で壊れている女性を演じるのは、かなり難しいと思うが、それを絶妙なバランスで演じ切っていた蒼井優は名女優と呼ぶにふさわしい。鳥のマネをするシーンが、劇中に幾度か登場するが、その人の目も気にしない吹っ切れぷりが見事であるし、精神的な面が危ない女性特有の繊細さと危うさ、脆さ、そして静と動の表現など、見事すぎた。むしろ、ナチュラル過ぎたので、蒼井優大丈夫か?と心配になったほど。
 
3、『湯を沸かすほどの熱い愛』 杉咲花 2016年10月29日公開

若手女優の中で、娘役を演じさせたら他に勝る人はいないと太鼓判を押せる女優・杉咲花が、この映画では宮沢りえの娘役を務めた。この映画でもっとも杉咲花の演技を感じられるシーンが〝保健室での宮沢りえとのシーン〟である。同級生にいじめられて、保健室でペンキまみれになりながら待つ杉咲のもとへ宮沢が駆け付けるのだが、その二人の言葉のやりとりと、その一言一言に添えられる杉咲花の繊細な演技に注目して欲しい。特に、口である。
悔しいときには口をきゅっとつむぎ、安堵したときには口角が少しあがるなど、本当に細かいとことが凄いのである。このシーンは、序盤の方なのだが、ここから精神的に成長していく姿にも注目である。
 
4、『ディストラクション・ベイビーズ』 小松菜奈 2016年5月21日

暴力、暴力、圧倒的暴力!そんな映画の中で紅一点の存在、それが小松菜奈である。
過去の作品で見たことのない小松菜奈が、この映画にはいる。その中でも印象に残ったのが〝菅田将暉と小松菜奈の絡みシーン〟である。この並びを見ると、今だと『溺れるナイフ』が頭によぎるかもしれないが、この映画での絡みは、女子高生が「キュンキュンする!素敵!溺れちゃう!」などとは口が裂けても言えないようなものである(笑)。
力の暴力、言葉の暴力、それが飛び交う絡みなのである。その中でもいちばん好きな絡みが、小松が瀕死の菅田をタクシーのドアで挟んだりするシーンである。怒りと呼ぶのがふさわしいのか、なんとも表現しがたい感情で、「本当にきったねえんだけど!」「キモいんだよ!死ね!」と小松が菅田をフルボッコにするシーンはまさに狂気である。いやいやいや、さすがにやりすぎだろと笑ってしまったのを今でも覚えている。だが、そんな小松菜奈を好きになってしまった自分がいるのも否めないのである。
 
 
これが2016年に公開された映画で印象に残ったシーンである。
まだ劇場で公開されている作品もあるし、映像化されている作品もあるので、機会があれば、いまあげたシーンに注目して観てみるのも面白いと思うので、ぜひ!
 
 

ライター・YKDM