PICK UP ACTRESS 小芝風花

PICK UP ACTRESS 小芝風花

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

ヒロシマ8.6ドラマで初めての主演
「原爆の絵」に取り組む女子高生役

 
 
――前クールのドラマ「マッサージ探偵ジョー」で演じたアグリは、これまでの風花さんのイメージになかったコミカルな役でしたが、自分でも楽しめました?

「めちゃめちゃ楽しかったです! 初めてのコメディで、今まで真面目な役が多かったので、『このキャラクター、できるのかな?』って不安もありましたけど、共演の小澤(征悦)さんと和田(正人)さんがすごかったんです。アドリブと引き出しの量がハンパなくて! それで2人の見よう見まねでやってみて、気づいたのが、私は顔を崩すのに意外と抵抗がないということ(笑)。顔芸というか、驚いた表情なら最大限にビックリしてみたら、監督が『それ、いいね!』と誉めてくださったりしました」。

――最初はできなかったのが、だんだん殻が破れた感じですか?

「最初は少し恥ずかしさもあったし、私が全力でやっても果たして正解なのか、わからなくて……。でも、監督から言われたことを頑張ってやっていたら、恥ずかしさは序盤のうちに壊してもらえました」。

――だいぶすごい表情も出てましたが(笑)。

「そうですね。でも、友だちが観てメールをくれて『いつもの風花やん』と言われました(笑)。『私、こんなアホなん?』と聞いたら『うん、アホやで』ということで、テンション上がると、ああいう感じになっちゃうみたいです。普段はウザくならないように、ちょっと気をつけようと思いました(笑)」。

――コメディのツボは押さえましたか?

「楽しさはわかりました。中丸(雄一)さんも小澤さんや和田さんも、もともと引き出しをたくさん持ってらっしゃるんですよね。私はそんなに持ってないので、皆さんが面白いことをしたら、全力で反応しようとしただけです。自分から面白いことはできないから、精一杯驚いたり、笑ったり、怒ったりすることだけを心掛けていました」。

――そこから一転して“原爆の絵”に取り組む女子高生を演じたヒロシマ8.6ドラマ「ふたりのキャンバス」では、ドラマ初主演ということで、いつもの現場と違う振る舞いをしたり?

「いやいや、全然。いつも通りに『皆さん、お世話になります』という感じでした。でも、主役をやらせていただくとつくづく、すごく支えてもらっていることを実感するんですよね。キャストの方にもスタッフの皆さんにも……。感謝して頑張ろうと思いました」。


――気持ちの持ちようは違っていたのでは?

「やっぱりプレッシャーはありました。あと、今回は10日間しか撮影がなくて、1日とか2日しか参加しない方もいたんですね。そういうときって、私も同じ立場だった経験がありますけど、現場でどうしたらいいかわからなくて、馴染めなかったりするんです。なるべくそうならないように、私も人見知りな部分がありながら、自分から積極的に話すように心掛けました」。

――お菓子を「これ食べる?」とか?

「そういうこともしたし、美術コースの生徒役だったので、一緒に落書きをして見せ合ったり、スタッフさんの似顔絵を『誰がうまいか』って描いたりしました」。

――ちゃんと座長的なこともしていたんですね。今回は16歳の女子高生役。20歳になったばかりの風花さんは、実年齢より上の先生役が続いた時期もありましたが、生徒役のほうがまだ等身大に近い感覚ですか?

「実際に“原爆の絵”に取り組んでいる基町高校で撮影させてもらって、エキストラの方も本当に通っている高校生だったんですけど、違和感はありませんでした。ビックリするぐらい、馴染んでました(笑)。私は高校2年生から通信制だったので、学校に通ってない期間がちょっと長いんです。ということもあって、部活をしている子たちを見て『青春してるな』とか、羨ましい気持ちもありました」。

――でも、制服はまだまだイケると?

「全然大丈夫でビックリしました(笑)。作品内では違和感なくて良かったんですけど、20歳としてはちょっと複雑でした(笑)」。

――普通に生活していると、戦争や原爆に触れることはそんなにないですよね?

「そうですね。授業の過程で習って、その範囲が終われば考えることもなかったですし、修学旅行がお仕事とカブって行けなかったので、広島に行ったのも今回が初めて。今まで関心を持ってこなかった自分が恥ずかしくなりました」。


――今回のドラマ出演にあたり、広島平和記念資料館を訪ねたり、被爆者の方のお話も聞いたそうで。ブログに「胸が苦しくなった」と書かれてました。

「資料館で正直いっぱいいっぱいでした。服の切れ端とか遺品が展示されていて、ひとつひとつに持ち主の方の最期が書かれているんです。『この人は全身にやけどを負って、家に帰って両親の看護もままならず、翌朝に亡くなりました』とか。そういうのが全部にあって、想像するだけでもう……。ご本人もだし、自分の子どもを助けようと必死になっていたご両親の気持ちとか、いろいろあるわけじゃないですか。もう何とも言えませんでした。それで被爆者の方にお話を聞かせてもらうと、『資料館に行って知ってもらうのももちろん大事だけど、それだけではない』ということでした。戦争は原爆が落ちる前からあった。戦争が終わっても終わりじゃない。その後に何10年も苦しい生活が続いていく。『それを考えてほしい』と言われました。当たり前といえば当たり前のことなのに、そこまで想像できなかった私は何て浅いんだろう?  話を聞いていて圧倒されすぎて、本当に言葉が出ませんでした」。

――それは風花さんが演じた里保が、被爆体験を聞いて1枚の絵にしていくうえでの心情と、重なりはしたでしょうね。

「すごく重なってました。だから私にとってはリアルというか、台本も理解しやすかったです。近藤正臣さんが演じられた遠藤さんに言われた言葉で、里保はどう思い、どのように心が動いたのか。圧倒されて、絵を描くことを『そんなの絶対できひん』と言った気持ちも、私とまったく一緒だったんじゃないかと。だからあまり作らず、等身大で演じたいと思いました」。


――演じていても胸が苦しくなったり?

「なりました。そういうシーンを撮っているときには、やっぱり自分が聞いた話も思い出すんですよね。そうすると、表情がどんどん暗くなって……。カメラマンさんに『大丈夫? 体調悪いの?』と聞かれるくらい、ズーン……となったシーンもありました」。

――それくらい辛くても伝えたい……という想いも同じでした?

「そうですね。聞くだけでもすごくエネルギーが要る話に、16歳の女子高生が向き合わなきゃいけない取り組みなので、その感じは表現したかったです。被爆を体験された方に対して『失礼なことは言えないし、何をしゃべったら良いのか……』など、原爆についてきちんと理解できていない女子高生の複雑な気持ちを、ちゃんと出したいと思っていました」。

 
 

重いテーマだけではなく普通の高校生の
モヤモヤした気持ちも描かれています

 
 

――里保はキャラクターや性格的にはどんな女の子なんですか?

「説明するのが難しいくらい、どこにでもいるような普通の女の子です。秀でた才能もなければ、頭が特別いいわけでもない。飛び抜けて明るくも根暗でもない。将来のことや友だち関係で悩んでいたり、周りに置いてかれている気持ちになったり……。高校生の微妙な気持ちを持った普通の子です」。

――そういう気持ちは、風花さんにも覚えがあるもの?

「あります。私、高校生の頃は今よりもっと小さかったというか、『嫌われたらどうしよう?』とか『1人になっちゃうから合わせなきゃ』とか、そういうのがあったタイプでした。今考えると『もっと楽しめば良かった』って、ちょっと後悔している部分もあります」。

――劇中でも、そういうことで悩むシーンがあるんですか?

「はい。里保が憧れていた女の子に近づけたと思ったら、もともと仲の良かった子とギクシャクしたり、誰にでもいい顔をしちゃって傷つけてしまったり……」。

――美術コースに通う里保ですが、風花さんはインスタに「絵を褒められた経験ってほとんど無いなぁ」と、ドラえもんみたいな猿の絵とかを上げたりしてましたね。

「ドラえもんじゃな~い。猿ですよ(笑)! アニメっぽい絵はよく描くんですけど、リアルな人の顔とか、そういうのはすごく苦手です。ドラマでは筆の持ち方などを先生に毎回確認して、説得力のあるお芝居になるように気をつけました」。

――広島弁の台詞はスムーズに話せました?

「方言指導の先生によく誉められましたよ(笑)。気持ちが入るとイントネーションがヘンになることも多少ありましたけど、なるべく練習やテストのときから間違えないように心掛けていました。地元の方はちょっとしたニュアンスが違うだけで、そっちが気になってストーリーどころじゃなくなるじゃないですか。そうならないように、方言は絶対しっかりやろうと決めていました」。


――こんな言葉には苦労した……というのはありませんでした?

「思い出せないので、そこまではなかったと思います。でも、標準語と私の地元の関西弁と広島弁の独特のニュアンスがミックスしてくるんですよね。『ここは標準語でいいんだ』と思ったら、一部だけイントネーションが違っていたりしたのは、かえって難しかったです。でも私は方言が結構好きで、撮影が終わっても『~じゃけ』とか、しばらく抜けませんでした」。

――広島の街にはどんな印象が?

「原爆ドームを見に行ったとき、普通に街中にあってビックリしました。もっと厳重に囲われてるのかと思っていたので……。でも近いようで遠い独特の雰囲気があって、見に行って良かったです。名物料理はいろいろ食べました。がんすという白身魚をすって揚げたものが、お酒に合うんですよ~(笑)」。

――さすが20歳ともなると……。

「スタッフさんにごはんに連れていってもらって、いろいろプロフェッショナルなお話を聞かせてもらいました。そういう交流ができるようになったのはうれしかったです」。

――そうした席でお酒もたしなむように?

「最近少しずつ飲んでます(笑)。飲みすぎると次の日に鼻声になっちゃうので、お仕事の前の日は飲めないんですけど、次の日が休みだったら『飲もう!』となります」。

――どんなお酒が好きなんですか?

「ハイボールを飲んでます。かわいいのだとレモンサワーも好きですけど、甘いのは太っちゃうので、ほかのサワーや焼酎を飲むようにしてます」。

――20歳になったときはブログに「パソコンを買いたい」と書かれてました。

「買いました。でも動画を観るか、ソリティアをするくらいしか使ってません(笑)。私、本当に機械がダメで、まったくわからないんですよ~。もともと動画編集をちゃんとしたくて買ったのに、まったくできません。無駄にしてしまったパソコンに対して、申し訳なくなります (笑)。Macの新しいのを買ったんですけど、今の状態だったら、運転免許を取ったほうが良かった……と後悔してます」。


――ネットに繋げたりはできたんですか?

「全部アップルストアで設定してもらいました。あとは何となく覚えたんですけど、何をすればいいのか? みんなパソコンで何をしてるんだろう? パソコンに詳しい友だちが1人いるので、その子のうちに泊まりに行って教えてもらおうと思ってます」。

――今は20歳になって初めての夏ですね。

「8月から2回目の舞台のお稽古がみっちり入ります。なので、10月までの3ヵ月、舞台一色ですね」。

――ヴァージニア・ウルフ原作、白井晃さん演出の「オーランドー」ですね。女優活動がますます充実してきたようで。

「楽しいです。『マッサージ探偵ジョー』みたいな明るい役をもらったり……。今度の舞台では全員が男性と女性を両方演じるんです。そういう今までになかった役をやらせてもらうことが増えてきました」。

――「ふたりのキャンバス」でも自分が変わった部分はありました?

「近藤さんとたくさんお話させていただいて、学べたことがすごくありました。『自分で台本を読んで準備するのは大切だけど、現場に入って周りをよく見たほうがいい』というアドバイスをいただきました。自分のなかだけでガチガチに固めるのでなく、皆さんとちゃんと作品を作れるようになりたいです」。

――今までは自分の役を固めすぎてしまうことも?

「そうなりがちでした。台本を読んで『こういうふうにしよう』と考えていたので……。でも現場に行くと、たいてい違うことを言われるんですよね。そこでもっと臨機応変にできるようにしたいです」。

――とても真面目な風花さんが、だんだんほぐれている感じでしょうか?

「そうですね。お酒も入って、ほぐれてきたのかな(笑)」。


 
 


 
 

小芝風花(こしば・ふうか)

生年月日:1997年4月16日(20歳)
出身地:大阪府
血液型:A型

 
【CHECK IT】
「ガールズオーディション2011」でグランプリ。2012年にドラマ「息もできない夏」(フジテレビ系)で女優デビュー。2014年公開の「魔女の宅急便」では映画デビューにして主人公のキキを演じ、第57回ブルーリボン賞の新人賞を受賞。他の主な出演作はドラマ「あさが来た」(NHK)、「下剋上受験」(TBS系)、映画「ガールズ★ステップ」、「天使のいる図書館」ほか。JA全農あきた/あきた米「あきたこまち」CMに出演中。ヒロシマ8.6ドラマ「ふたりのキャンバス」(NHK)は8月1日(火)19:30~中国地方先行放送、8月5日(土)15:05~全国放送。8月4日(金)スタートのBS時代劇「伝七捕物帳2」(NHK BSプレミアム/金曜20:00~)に出演。舞台「オーランドー」に出演。9月23日(土)~10月9日(月)KAAT神奈川芸術劇場<ホール>、10月18日(水)まつもと市民芸術館 主ホール、10月21日(土)・22日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール、10月26日(木)~29日(日)新国立劇場 中劇場。

詳しい情報は公式HP
 
 

ヒロシマ8.6ドラマ「ふたりのキャンバス」

詳しい情報は公式HPへ
 

 

 

 
 

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