2016冬ドラマ寸評

刑事ドラマの本命「スペシャリスト」
「お義父さんと呼ばせて」に勇気をもらう!

 

当コラムは、HUSTLE PRESS編集長個人が感じた冬ドラマの寸評になります。少しでも皆さまの参考になれば幸いです。

 

◎=絶対に最終回まで見る
○=なんとか最終回まで見る
▲=とりあえず見る
△=余裕があれば見る
-=タイミングが合えば見る

 

「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(フジテレビ系・毎週月曜日21:00~)
勝負に出ましたね。有村架純、高良健吾、高畑充希、西島隆弘、森川葵、坂口健太郎。僕は女優ウォッチャーですので、女優はもちろん熟知していますが、フレッシュなキャスティングで攻めた〝月9〟。坂元裕二の脚本に賭けたのか。実力派女優・高畑充希、森川葵を起用したあたりに制作陣の明確な意図を強く感じる。ストーリーは韓流ドラマみたいな感じです。音(有村架純)と練(高良健吾)の間に、御曹司の朝陽(西島隆弘)が介入してきます。現状、大きな驚きなどはなく、これからどう展開していくのか読めてしまう気がするのは自分だけでしょうか。介護施設「春寿の杜」の社員として永野芽郁には大注目です。

 

「お義父さんと呼ばせて」(フジテレビ系・毎週火曜日22:00~)
設定が最高! 「愛する娘の結婚相手は、自分と同い年のオッサン」。同世代の男性たちに勇気と希望をくれるこのドラマ。51歳の大道寺保役に遠藤憲一。23歳の彼女・花澤美蘭役に蓮佛美沙子。この2人が結婚を決意する時点で最高です。蓮佛美沙子の妹役で新川優愛。花澤美蘭(蓮佛)の父親でもある花澤紀一郎(渡部篤郎)は帝洋物産のエリートサラリーマン。帝洋物産で働く中村アン、中村ゆりかにも注目。

 

「ダメな私に恋してください」(TBS系・毎週火曜日22:00~)
深田恭子主演作品。〝30歳のダメな女〟柴田ミチコを深田恭子がコミカルに演じる。男に貢ぐ。仕事もうまくいかない。結婚もできない。戦隊ヒーローのおっかけ歴あり。挙句の果てに勤めていた会社が倒産。元上司だった黒沢歩(ディーン・フジオカ)が営む〝喫茶ひまわり〟で働くことになる。このディーン・フジオカが渋みのあるカッコよさを如何なく発揮。なんと妹は、元チェキッ娘の藤岡麻美とのこと。渋みがあるのも納得。とにかく、この作品では深田恭子がかわいいということに尽きる。久しぶり〝深キョン〟と呼びたくなるかわいさ。目じりにしわがあっても可愛い。藤本泉がちょくちょく出てきますが、いい味を出しています。佐野ひなこは? どんなけ地味OLなんだ……。

 

「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」(日本テレビ系・毎週水曜日22:00~)
結婚後はじめての主演作となる堀北真希、そして結婚を発表したDAIGOも出演と話題はつきない出演陣を擁する当ドラマ。女性だけで構成された〝警視庁捜査七課〟が舞台になるだけに、タイトルロールも6人の女性(堀北真希、檀れい、知英、高梨臨、YOU、大地真央)が並んでかっこよく、刑事ものとは思えない演出。そもそも2014年秋に放送された「ヒガンバナ~女たちの犯罪ファイル~」のレギュラー化。目新しさには欠けるが、1話ずつ観れるお手頃感と、作品の完成度は高い。ただ、この作品も今となってはありがちなストーリー設定。堀北真希演じる来宮渚巡査部長が特殊能力(被害者の感情にシンクロする)を持ち合わせており、その能力で事件を解決している。堀北真希の毒舌台詞を聞きたい人にはお勧め。フレッシュガール系の登場人物はいませんが、知英の流暢な日本語。そして地味ビューティーの高梨臨など、みどころはあり。

 

「フラジャイル」(フジテレビ系・毎週水曜日22:00~)
前クール同様この枠に、異例の能力を持つ医者が活躍する医療ものを持ってきた。原作は草水敏、漫画・恵三朗のコミック。長瀬智也が類まれなる診断力をもつ病理医の岸京一郎を、その相棒になる内科医師・宮崎智尋を武井咲が演じる。臨床医から病理医になることを決意する宮崎智尋の情熱がうまく描かれており、命を扱う作品としては、観ていて清々しさも与える。原作未読のため、この2人のコンビが今後どれだけの患者を救えるのか、そしてどんな困難が待ち受けているのか興味を持てます。長瀬智也もはまり役だと感じる。意外にもナースなどでの美少女系のキャスティングが皆無だが、作品としては大変興味のもてる内容!

 

「スペシャリスト」(テレビ朝日系・毎週木曜日21:00~)
「土曜ワイド劇場」で2013年から放送されている主演は草彅剛の刑事ドラマシリーズ。今クールで初の連ドラ化。とにかく設定が面白い。「わかるんですよ、僕。だって10年入ってましたから」という台詞からも分かるように、冤罪(殺人未遂罪)で10年間服役した経歴を持つ異色の刑事・宅間善人(草彅剛)は長い服役期間に犯罪者・受刑者のデータ、犯罪手口などをすべて記憶するという、いわば“犯罪心理のスペシャリスト”となっている。この時点で脚本家の勝ち。昨今は、原作があるもののドラマが大半を占める中、こういったスペシャルドラマからの格上げ連ドラという意味でも好感が持てる。それだけ、いままで視聴者のファンがついていること、さらにはSMAPの解散報道もあり、1回目の放送視聴率は17.1%と猛ダッシュを決める。今回はスペシャルドラマ時代の南果歩、平岡祐太、芦名星に加え、新たに夏菜と和田正人が加わった形に。1話完結で謎解き形式の演出もどこからでも入っていける強みもあり、とにかく分かりやすく面白い。今クールオススメの1本!

 

「ナオミとカナコ」(フジテレビ系・毎週木曜日22:00~)
奥田英朗の同名小説をドラマ化。親友役でこのドラマの主人公となる小田直美(広末涼子)と服部加奈子(内田有紀)が意外にも初共演。加奈子のDV夫(佐藤隆太)を2人で殺そうと画策していく物語。内容が内容だけに、薄暗い演出がなされており、気持ちが落ちる。義姉・服部陽子(吉田羊)がキーマンになっていきそうだが、今回の吉田羊は怖い。美少女の出演は皆無ではあるが、犯罪サスペンスが好きな人にはお勧め。ただ、途中から観ることはほぼ不可能な作品のため、持続性が求められてしまうところが難点。

 

「マネーの天使~あなたのお金、取り戻します!~」(日本テレビ系・毎週木曜日23:59~)
料理店を営みながら、金銭トラブルを0円で解決してくれる栗原理佐を片瀬奈那が演じる。幸薄の依頼人の竹内茂を小藪千豊。なかなか渋いキャスティング。悪徳法律事務所所長・殿村賢一郎の竹中直人が作品を重厚にする。料理店での女子高生アルバイトに葵わかな、矢倉楓子(NMB48)、藤田みりあ(フェアリーズ)と美少女3人がそろい踏み。葵わかなは冷静沈着なインテリ女子高生。矢倉楓子はツイッターを駆使するイマドキ女子高生。藤田みりあは足で情報を稼ぎまくる行動派女子高生。葵わかながの発言が意外と勉強になります。

 

「わたしを離さないで」(TBS系・毎週金曜日22:00~)
イギリスで100万部を超える大ヒットとなったカズオ・イシグロの小説を綾瀬はるか主演でドラマ化。設定がむごい。命を“提供”するために教育を受け、その運命に翻弄されていく。異質な教育を施す陽光学苑で育てられてきた保科恭子役に綾瀬はるか、土井友彦役に三浦春馬、酒井美和役に水川あさみをキャスティング。1話では主に陽光学苑での幼少期が描かれていたが子役たちが演じた、普通の子ども。その普通が、異質であることに気づかされるシーンがむごかった。2話目以降も、釘づけになりそうな予感。綾瀬はるかも今回は凛々しく、新境地開拓。幼少期のシーンに出てくるエマ・バーンズがなかなか雰囲気を持っている。12歳のモデルだが押さえておきたい。

 

「スミカスミレ 45歳若返った女」(テレビ朝日系・毎週金曜日23:15~)
45歳若返った女性を桐谷美玲が演じる、胸キュンストーリー。原作は高梨みつばの同名漫画。何はともあれ、桐谷美玲が可愛すぎ。実年齢とは逆行し、どんどん可愛さを増している気がして怖いくらい。桐谷美玲の可愛さをめでるだけでも、このドラマの価値あり。大学の友人役として秋元才加、水沢エレナも出演。とにかく桐谷美玲がハンパないです。ただ、2月スタートになったことで、話題に上がる機会が少なく残念ですね。

 

「怪盗 山猫」(日本テレビ系・毎週土曜日21:00~)
今クール話題の1作。神永学原作「怪盗探偵 山猫」をドラマ化。天才怪盗・山猫を亀梨和也、天才ハッカー・魔王を広瀬すずがそれぞれ演じる。軽妙且つコミカルにストーリーは進む。山猫の犯行シーンに勢いがあり、サクサクと大金を盗む様は爽快な気分にさせてくれる。広瀬すずも単なる女子高生ではなく、今までにないカッコよさを醸し出し、女優としてのステージが確実にあがっていると感じさせる。菜々緒のちょっとイケてない刑事役も一見の価値あり。「名探偵コナン」や「ルパン三世」を観ているような気にもなる当作品だが、爽快感に浸りたい人にはお勧めの一本。

 

「家族のカタチ」(TBS系・毎週日曜日21:00~)
日曜劇場の作品が前作とは一変、ヒューマンストーリーに。主演は香取慎吾。なんとも感慨深い作品となる。アラフォー〝自分中心型独身人間〟の典型的な男性・永里大介を香取慎吾が。アラサー〝仕事中心型独身人間〟の典型的な女性・熊谷葉菜子を上野樹里が演じ、現代社会において共感する者も多い設定である。オリジナル脚本である点も評価できるが、主人公の2人が富裕層すぎる点など共感を狙った割には羨ましすぎる状況にイマイチ共感できない。水原希子のぶりっ子OL役や、永尾まりやの素敵なOL役には一見の価値はある。

 

「臨床犯罪学者 火村英生の推理」(日本テレビ系・毎週日曜日22:00~)
また難しい単語が出てきました。「臨床犯罪学者」。原作は有栖川有栖の「火村英生シリーズ」。要するに1話完結の推理ものです。斎藤工演じる大学准教授・火村英生と、窪田正孝演じる推理作家・有栖川有栖のコンビが警察に協力しながら殺人事件をバリバリ解決していくストーリー。鑑識役のマキタスポーツがいい味を出す。いわゆるサブキャラ萌え。大学の女子生徒役で山本美月。どんどんいい女優になっている気がする。今回の山本美月はピカイチでかわいい。同じく生徒役の堀口ひかるも押さえておきたい。

 

HUSTLE PRESS編集長 井上朝夫