PICK UP ACTRESS 木﨑ゆりあ

PICK UP ACTRESS 木﨑ゆりあ

PHOTO=河野英喜 HAIR&MAKE=唐澤知子(THE FACE MAKE OFFICE)
STYLING=山田安莉沙 INTERVIEW=斉藤貴志

衣装協力=SHIROMA/SHIROMA GUSUCUMA(03-6804-5865)
ジャケット¥37,000 スカート¥55,000

 
 

「ダブルドライブ~龍の絆~」でヒロイン
経験なかった闇を抱える役に挑戦

 
 

――今年は舞台に精力的に出演していますね。

「AKB48を卒業してからは『熱海殺人事件』に出て、9月にも1本あります。映像も、公開が先の作品を撮ってました」。

――役者として鍛えられている感じはありますか?

「ありますね。舞台は生ものなのでミスは許されないし、1回1回違うので楽しいです。ひとつの作品に対してずーっと稽古をして、役のことを知れば知るほど深まっていく感じもあります。でも映像も好きで、どちらもやっていて刺激があります」。

――ヒロインを演じた映画「ダブルドライブ~龍の絆~」では「たくさん悩み考えました」とのコメントがありました。

「亜梨紗という役が、自分とはまったく違う人間だなと思ったので悩みました。DVを受けている女性で、しかも結婚している。一度は神様に愛を誓った相手に酷いことをされて、それでも逃げられないし、逃げても結局戻ってしまう。私だったらたぶん逃げるな……というのがありました」。


――それができないのが掴みにくいと?

「弱いところがあって、闇を抱えているというか……。そういう女性をどう演じればいいのか、すごく悩みました」。

――映画を観ると、DVが昨日今日始まったことではなく、長年受けてきた感じがリアルに出ていました。

「めちゃくちゃ怖がっているように演じると、『そこまで行ったら絶対逃げない?』と思われてしまうので、ちょうどいいところがどこなのかを考えるのがすごく難しかったです」。

――夫がいないところでも、どこか覚えている感じがしたり。

「そう。人を信頼してないという感じです」。

――何かを参考にしたりもしました?

「DVにもいろいろな形があって、そういうドラマを観たりしました。でもやっぱり、大事なのは自分がどう感じるかだと思います。どれくらいの暴力を受けるのかが、現場でいろいろ変更され、脚本とは違った内容になったので、その場で考えたところもあります」。

――そのほうがリアルさが出るんでしょうね。

「夫に追われるシーンでジリジリくるものがあったので、殴られるより怖いのは意外とそういうことなのかなと感じました。手を上げられるより、ただ見られているだけとか、冷静に淡々と話すのを聞いているほうが逆に怖かったです」。


――夫が「しつけのためにやっている」ということを、半ば受け入れているようにも見えました。

「受け入れるというか、その場では叩かれるより従ったほうが何も起きないので、反抗できなくて……。3回逃げようとして逃げられなかったから半分諦めもあって、半分はすがっている部分もあったのかなと思います。でも、立ち向かいたい気持ちもあるから、その辺も難しいところでした」。

――一方で、「役と向き合って自分との共通点も見えてきた」ということですが……。

「結末のところで、亜梨紗の中で白黒ハッキリさせなきゃいけなかったんだと思ったんです。純也(佐藤流司)が夫に対してしてくれたことで気が済んでチャンチャン、と終わってもいいのに、彼女は自分で決着をつけずにはいられなかった。そういうハッキリしたところは、自分と似てる気がしました。たぶん亜梨紗がずーっと考えていたことが結婚してなあなあになっていたけど、最後にはケリをつけた。その生き方はカッコイイと思います。やったこと自体は良くなくても、自分の中で一歩進んだ点では女性として、というか私として、『よくぞやった!』と誇らしくなりました」。

――ということは、ゆりあさんも白黒ハッキリさせたいタイプ?

「私はハッキリしないとイヤなタイプです。たとえばケンカをしたら『もういいよ。明日になったら忘れてるから』ではなく、『ここで決着つけようよ。どっちかが謝って、どっちかが折れないと終わらないでしょう?』という感じのほうがいいんです。だから、男っぽいと言われることが多いです」。

――劇中では、車のトランクに手足を縛られて入っていたのが登場シーンでした。

「人間って、トランクに入れるものなんだなと思いました(笑)。すごくドキドキしましたね。恋愛のキュンキュンシーンを撮るときよりも、ある意味ドキドキしたかもしれない(笑)。トランクを閉められると、『私、トランクに入ってる。しかも縛られて……』という切ない気持ちになるんですよ。こんな経験、なかなかないですからね」。

――しょっちゅう経験していたらヤバイです(笑)。

「演技ならではの経験ですね。と言っても、私、縛られる役は結構多いんです(笑)」。


――今回も首輪をされたりしてました。夫役の脇知弘さんはあの体格だし、迫力を感じたのでは?

「実際の脇さんはすごくやさしい方で、怒鳴られたりするシーンより、逆に脇さんのやさしさが出るシーンが怖かったです。あの穏やかな雰囲気で『なんでわからないかな?』と言われたり、『できれば殴りたくないんだよ』という台詞が、芝居とわかっていても震えるほど怖くて、やさしい人がやりがちなDVに思えました。脇さんはちょっと押し倒して殴るシーンでも、こっちは全然痛くなかったのに、『ごめんねー』って申し訳なさそうに接してくださるので、やさしさを感じつつ、夫役としての怖さが増しました」。

――カットがかかると人が変わったような?

「そう。実際のDVもそういうところがあると思ったんです。自分の夫が暴力をふるったあとに『ごめんね』と謝ってきたら、『この人もかわいそうな人なんだ』と思ってしまうという感じです」。

――現実にDV被害を受けた方がそういう発言をすることはあるみたいですね。しかも脇さんが演じた夫は住職という設定で、お寺の中を逃げ回るシーンは、さっき出たようにジリジリ迫ってくる怖さがあったと。

「叫んだりもしましたから。でも現場で練習していたときは、物陰から顔をのぞかせるところで『ひょっこりはんだね』とか(笑)、なごやかでした。出来上がった作品を観たら、緊迫感が出ていて良かったです」。

 
 

弟だったらアホでもかわいいけど
男性としては惹かれないです(笑)

 
 

――この映画はカーアクションも見どころですが、純也とダッジバイパーSRT-10に乗って飛ばすシーンは、実際にドライブして撮ったんですか?

「あれは車をトラックに載せて牽引してもらったんです。佐藤さんは免許を持ってなくて、運転するフリをしてました(笑)。でも実際に走ってはいたので、楽しかったです」。

――ダッジバイパーSRT-10の感想は?

「あの車はカッコ良かったですね。都内でデートということで、あれで迎えにこられたら『イカツイので来たな』って感じはしますけど(笑)、遠出するなら、あれくらい吹かしてブーンって飛ばすのは、爽快感があっていいと思います」。

――ゆりあさんは自分で運転をするんですか?

「免許を持ってないんです。取ろうとも思ってないので、いずれ結婚する相手に免許を持っていてほしいです(笑)」。

――助手席専門ということで。

「ただ、この作品をやってみて車をカッコイイなと思ったので、自分で運転してみたい気持ちも出てきました。でも映像では、女性を乗せて走っているより、男同士で走っているほうがカッコ良かったです。男性2人のドライブってこんな感じなんだなと実感しました」。


――亜梨紗は純也に助けを求めましたが、恋愛感情もあったんですかね?

「すがりたい気持ちが大きかったんだろうと思います。それが恋愛感情みたいなものになっただけ。だって亜梨紗は人妻ですからね。不倫になりますから(笑)。キスしようとしたら携帯が鳴って本当に良かったと、観ている人も思うんじゃないでしょうか」。

――純也は多額の借金を抱えて高級車を盗んだりもしていましたが、ゆりあさんから見て男性として惹かれるところはありました?

「惹かれたところはないです(笑)。なんか弟みたいで。自分の弟がああいう感じだったら、一発殴って『ダメなことはダメだから!』と言ってやりたい。だって盗難車の取り引きをしていて、絶対ダマされているのにわからなくて、アホだなと思うので(笑)。そういう意味で、弟だったらかわいい気もしますけど、男性として好きなるかといったら、ならないですね。むしろ絶対ダメじゃないですか(笑)」。

――今回のタイトルにある“絆”という言葉から、思い浮かぶものは何ですか?

「人生の中で友だちに助けてもらうことはすごく多いし、親には相談しないような話を聞いてもらって気持ちを軽くしてくれるのも友だちなので、“絆”と聞くと思い出す人が何人かいます。何でも話せるし、逆に何も話さなくても一緒にいられる。それが絆だと思います」。

――仕事仲間でもそういう人はいますか?

「むしろ、みんな仕事仲間です。私は13歳の頃からAKBグループにいたから、友だちといえばみんなメンバーになってしまいます。家族より一緒にいる時間も長かったので、深い絆があると思います」。

――AKB48時代に、SKE48で同期だった須田亜香里さんとの絆の話を聞いたことがありましたが、最近の須田さんの大活躍は励みになります?

「なりますね。『すごく頑張ってるな』と思いますけど、『大丈夫かな?』とも思います。最近全然会えていないので、『無理してないかな?』と心配になります」。

――ゆりあさんは当時から女優志向でしたが、今回、「最初はたくさん悩んだ」という役をまっとうして、またひとつ壁を乗り越えた感じもしますか?

「それはあります。今まで演じてきたのと違うキャラクターだったので、ファンの人に『こういう役もできるんだな』と思ってもらえたらうれしいです」。


――今後、女優として身に付けたいものは?

「コメディタッチのものがすごく難しいと思うんです。まさに今度の舞台もそうなんですけど、自分で面白いと思ってやることもあれば、無意識にやったことを観ている人が『面白い』ということもあって、本当に難しい。だからこそ、やってみたい気持ちがあります」。

――人を笑わせたいと。

「はい。友だちと会話していて、笑わせるのもすごく好きです。もちろん演技で笑わせるのは全然違いますけど、台本に書いてあることをさらに面白くする技術を身に付けられたら、また新しい一面を出せると思います」。

――自分でコメディを観るのも好きなんですか?

「好きですね。マンガやバラエティもそうですけど、笑わせるのは人を幸せにする力があるので、自分ができたら最高ですね」。

――話は変わりますが、秋は好きな季節ですか?

「大好きです。でも、秋が短くなってますよね。今年は小説の秋にしたいと思ってます。マンガを読むことが多くて、小説も読みますけど、気持ちが乗ってないと頭に入ってこないんです。最近は乗らなくて全然読んでなかったので、涼しい秋は外に出掛けて、オープンカフェで風を感じながら小説を読みたいです」。


――どんな小説を読もうと?

「買ってあって途中までしか読んでない小説が何冊もあるので、まずはそれを読み終えたいですね。本屋さんに行くと、気になる本をよく買っちゃうんです。恋愛モノより、湊かなえさんのミステリーとか、ちょっと怖い系で、街で殺人事件があって、こんな真相があって、最後に二度泣く……みたいなのが好きです」。

――実写化されたら自分が主人公をやるつもりで?

「はい。任せてください(笑)!」。

 
 


 
 

木﨑ゆりあ(きざき・ゆりあ)

生年月日:1996年2月11日(22歳)
出身地:愛知県
血液型:O型
 
【CHECK IT】
2009年にSKE48のメンバーオーディションに合格。2014年にAKB48に移籍し、2017年に卒業。女優としての主な出演作はドラマ「GTO」(関西テレビ・フジテレビ系)、「戦う!書店ガール」(関西テレビ・フジテレビ系)、「最後の晩ごはん」(BSジャパン)、映画「柘榴坂の仇討」、舞台「熱海殺人事件 CROSS OVER 45」など。舞台「たぶん世界は8年目」(9月14日(金)~23日(日)/シアタートラム)に出演中。映画「ダブルドライブ~龍の絆~」は9月22日(土)より公開。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「ダブルドライブ~龍の絆~」

詳しい情報は「ダブルドライブ~龍の絆~」公式HPへ
配給:アークエンタテインメント
 

 

 

(C)2018「ダブルドライブ~狼の掟&龍の絆~」製作委員会
 
 

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