PICK UP ACTRESS 松本妃代

PICK UP ACTRESS 松本妃代

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

ドラマであざとい役を演じて反響
映画での学級委員長役は過去の自分を投影

 
 
――夏の思い出はできましたか?

「今年は浴衣を着たいと思っていたので、新しいのを買って、お祭りに行きました。花火大会とかは終わっていたので、小さいローカルなお祭りでしたけど、焼きそばが好きなので屋台で買って食べました(笑)」。

――ドラマ「僕はまだ君を愛さないことができる」では、男女で親友という蓮(白洲迅)と陽(足立梨花)に割って入る麻希を演じて、友だちに「なんだ、この女は」と言われたそうですね(笑)。

「はい(笑)。でも、7話までは嫌われるのはわかっていたので、役割をちゃんと果たせたと思います。友だちも『ちょっと参考にするわ』とも言ってます(笑)」。

――男の子を落とす技を学ぼうと(笑)?

「そうなんです(笑)。いろいろな意見があって面白いですね」。


――「やった!」って両手でかわいくガッツポーズをしたりしてますが、あざとい感じは振り切ってやったんですか?

「そうですね。普段の私はやらないことなので(笑)、あざとい系のユーチューバーさんの動画をいろいろ観て、現場でも『思い切りやっていいよ』ということだったので、結構振り切りました。そうすると、スタッフさんが思わずフッと笑っていたりもしました(笑)」。

――どんなシーンでそうなりました?

「陽と蓮と3人で食事するシーンで、私がずっと蓮の腕を揺らしていたり、下で手を繋いだりして、まず足立さんがめちゃめちゃ笑ってらっしゃいました(笑)。監督とも話して、麻希はまっすぐ蓮のことが好きで『その気持ちに純粋でいてくれたらいい』と。原作の台湾ドラマのマギーのとても女の子らしい印象も、崩さずやろうと思ってました」。

――原作も参考にしたんですね。

「何度も観ました。何とも言えないフワフワ感があって、本人は全然悪気はないけど、周りをイラッとさせるのがいいなと思って、参考にさせていただきました」。

――台湾ドラマでは天然っぽかったけど、麻希は蓮の前でかわいく見せるギアを上げてる感じでもないですか?

「たぶん麻希が好きな男性にアプローチする頑張り方が、ああいう方向なのかなと思います。その人の前では、いつでもかわいくいたいんですよね」。


――それにしても、たこ焼きを見て「まん丸お月様だ」と言うのは……(笑)。

「あれは現場でもテストから、みんなクーッとなってました(笑)。でも、恥ずかしさが出ちゃうと余計に恥ずかしくなるので、『わーい!』みたいなテンションでやりました」。

――そういった女の子っぽさは、妃代さんの中にはないもの?

「私は何か恥ずかしくなっちゃいます。自分から連絡先を聞いたり、『ごはんに行きましょう』と誘ったりは全然できません。まして修羅場になるのがわかっているのに、蓮と陽の2人のキャンプに乗り込むなんて、絶対無理です(笑)」。

――6話ですね。麻希は「サプラ~イズ!」と車から出て来たり、陽に「いざとなったら1人で生きていけますね」とかチクチク言ってました。

「視聴者の方もイラついたでしょうね。でも、麻希自身はそんなに悪気はないと思うんです」。

――妃代さんを初めて取材させてもらった「#声だけ天使」ではボーイッシュな役でした。役幅が広いですね。

「極端ですよね(笑)。『#声だけ天使』のときもだいぶ振り切りましたけど、今回は真逆に振り切って、キャラクターを作る作業はしました。ただ、麻希の気持ちには共感できないことはなくて……。好きな人のために頑張りたい。幸せになりたい。そういうのは誰でも思うことなので軸としてぶらさず、その上でいかにかわいく見せるか研究しました」。

――麻希は「お父さんが4人いるんです」と話していて、その反動で幸せな家庭を作りたい気持ちは人一倍のようですね。

「そこは麻希の根っこで、大事にしようと思いました。幸せになりたい気持ちは強いけど、そのために自分はどうしたらいいか、模索中な感じがします。結婚したい男性が現れて、どうアプローチしたらいいのか……」。



――やっぱり男女で親友と言われても、理解しにくいですか?

「私にも仲の良い男友だちは何人かいますけど、その人から刺激をもらったり、やっていることを応援したいという相手なんです。陽と蓮みたいに親友というのは、ないのかな。親友であったとしても、恋人を傷つけている時点で、どうなのかと思います」。

――キャンプで迎えた朝、陽と蓮が楽しそうにしているのを、テントの中で寂し気に見てました。

「蓮も蓮だと思うんです(笑)。彼女がいるのに、女性の親友とキャンプに行くって……。自分が同じ立場だったら、たぶん『えっ、本当に行くの?』となっちゃいます。しかも、黙って行こうとしていたなんて、『何それ?』って理解できない部分があります。麻希の視点からは『陽さん、ジャマ!』となってしまうでしょうね」。

――7話で蓮に「別れよう」と言われた麻希には切なくなりました。

「泣き芝居はいつも緊張しますけど、あそこは麻希の境遇と感情から無理なく捉えられて、自然に涙が出ました。蓮に対する苛立ちも、自分の痛いところを突かれた感じもありました。麻希は最初嫌われるのを覚悟して演じて、振られたあとは変化を付けようと思っていたので、今後も観ていただけたら」。

――ちなみに妃代さんはたこ焼きを食べたら、麻希みたいに青のりが歯に付くのを気にしますか? 陽みたいに気にしませんか?

「全然気にしません(笑)。むしろ一緒に食べていたら、お互い付いちゃえばいいと思って、『青のりかけるよ』というタイプです(笑)」。

 
 

やりたいことが見つかり始めてから
自分の意見を言うようになりました

 
 

――映画「いなくなれ、群青」で演じた学級委員長の水谷については、「高校生の頃の私みたい」とコメントしてました。

「私は学級委員長はやってなくて、彼女みたいにみんなの前に立って仕切るタイプではなかったんですけど、性格的に似てました。みんなにいい人と思われたくて、誰にでも『そうだよね』と言ってしまって、自分がいっぱいいっぱいになる。『結局、妃代は誰の味方なの?』と言われたこともあります」。

――劇中で水谷が「私はみんなに良く思われたいだけの偽善者です」と涙する場面もありました。

「そういうところは共感して、ヒリヒリした気持ちを思い出しながらやりました。私は人に相談されると、親身になって聞いてあげようと思うんです。でも、逆サイドの人から同じ相談をされると、今の自分なら『それは違うと思う』とか言えますけど、当時は言えずに『そうだね』という話になってしまって……。あちこちでそうだったから、『どうしよう?』となりました」。


――水谷は真辺(飯豊まりえ)に「人に合わせてばかりだと自分にできることがわからなくなるよ」と言われてました。

「『そうだよな』と思う言葉が結構ありました。私はいつもちゃんとしているつもりで、よく『そんなに器用にやろうとしなくていいよ』と言われますけど、『そう言われても……』みたいなところがあります(笑)」。

――真面目さの裏返しでしょうけど、妃代さん自身はそこは越えてきたんですか?

「やりたいことが見つかり始めた時期に、『自分の意見をはっきり言えないと飲まれて大変なことになる』と思ったので、『私はこうしたいです』とどんどん言うようになりました」。

――そうした経験も踏まえ、水谷はやりやすい役ではありました?

「そうですね。『この台詞は引っ掛かる』みたいなことはなかったです」。

――「いなくなれ、群青」自体はちょっと難しい物語ですよね。捨てられた人たちの島が舞台で、誰もなぜ自分が島に来たかは知らないということなので。

「原作を読んだ上で台本も読みましたけど、何度か読まないとわからないことがありました。『この気持ちはここから繋がるんだ』『この前はどういう気持ちだったっけ?』と組み合わせながら演じました」。

――島での泊まり込みの撮影で、空き時間には飯豊まりえさんたちと岩盤浴で「誰が長くいられるか」と勝負していたそうですね。

「やりました。結局まりえちゃんと私が最後までいて、ずーっとしゃべっていた気がします。岩盤浴や温泉は好きで結構行くんです。銭湯にも行きます」。


――スーパー銭湯みたいなところに?

「スーパー銭湯にも普通の街の銭湯にも行きます。温泉までは行けないけどリラックスしたいときに銭湯に浸かって、お風呂上がりに家までいろいろ考えながら歩くのも楽しいです」。

――出演作が相次ぎますが、特技の絵もトートバッグなどのグッズになって、12月には個展を開くんですね。

「今、個展に向けていろいろ描いてます。絵を描く時間がちゃんと持てると、それ以外のことも頭の中で整理できるんです。無心で描くときもありますけど、考えごとをしながら描いたりもするので、モヤモヤしているとき、何かうまく行かないときに絵を描くと、何となくスッキリまとまります」。

――英語力を生かしてNHKの語学番組「おもてなしの基礎英語」のドラマパートにも出演中ですし、本当に幅広く活躍中ですね。

「ありがたいことに、いろいろやらせていただくタイミングになってます。舞台も久しぶりにやって、吸収できたものが多かったです」。

――今後さらに幅を広げていくんですか?

「役については麻希のような振り切ったキャラクターがわりと多いので、等身大の自分を活かせる役をやってみたいです。あとは、とりあえず個展に向けて頑張って絵を描くのと、秋は柿が好きなので、いっぱい食べたいです(笑)」。

――松茸とかも食べるんですか?

「あーっ……。おいしいものを食べたい気持ちはありますけど、松茸はもうちょっと大人になったら、楽しみになるかもしれませんね(笑)」。



 
 


 
 

松本妃代(まつもと・きよ)

生年月日:1995年3月20日(24歳)
出身地:兵庫県
血液型:AB型
 
【CHECK IT】
モデル活動などを経て、2016年にドラマ「ひと夏の隣人」(イマジカBS)で本格的に女優業を開始。主な出演作は「#声だけ天使」(AbemaTV)、「賭ケグルイ」(MBS・TBS)、「仮面同窓会」(東海テレビ・フジテレビ系)、映画「吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」」、「あさひなぐ」、「チワワちゃん」、「ダンスウィズミー」など。ドラマ「僕はまだ君を愛さないことができる」(フジテレビ/月曜26:35~、FODで配信)に出演中。「おもてなしの基礎英語」(NHK Eテレ/月~木曜11:20~)のドラマパートに出演中。SUZUKI「ラパンモード」、全薬工業「アルージェ」CMが放送中。11月15日(金)公開の映画「わたしは光をにぎっている」に出演。12月に初の絵の個展を開催予定。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「僕はまだ君を愛さないことができる」

フジテレビ/FOD
詳しい情報は「僕はまだ君を愛さないことができる」公式サイトへ
 

 

 

 
ブルーレイ/DVD-BOX1が発売中、BOX2が9月27日(金)に発売。
BD15,000円+税、DVD12,000円+税。
販売元:エスピーオー
(c)「僕はまだ君を愛さないことができる」製作委員会
 
 

「いなくなれ、群青」

配給:KADOKAWA/エイベックス・ピクチャーズ
詳しい情報は「いなくなれ、群青」公式サイトへ
 

 
(C)河野裕/新潮社 (C)2019 映画「いなくなれ、群青」製作委員会
 
 
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