PICK UP ACTRESS 秋月成美

PICK UP ACTRESS 秋月成美

PHOTO=草刈雅之 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「放課後戦記」に出演
主人公を守り抜く母性ある役

 
 
――「放課後戦記」のようなアクションものは初めてでしたっけ?

「初めてになります。なのですが……という感じです(笑)」。

――成美さんが演じた護華養子にはアクションはあまりなくて。でも、バットで殴りかかったりはしてました。

「ああいうことを初めてやったんですけど、バットを振りかざすだけでも肘のちょっとした角度や伸ばし方で勢いの違いが出たり、奧が深いなと思いました」。

――おしとやかなイメージの成美さんですが、もっと暴れたかった感じも?

「アクションはいつかやりたいです。最近はちょっと運動から離れてますけど、器械体操をやっていたことがあったり、バレエも少しだけやったので、キレキレのアクションができるようになれたらと思います」。

――この作品はもともと舞台があって、成美さんは映画からの参加でした。少女たちが生き残りをかけて殺し合う話で、途中から「そういうことだったのか」と世界観がわかりますが、台本を読んでどう思いました?

「最初は主人公の瀬名の成長物語かと思ったら、周りの女の子たちも苦しみや痛みを抱えて、1人1人が成長するお話でもあって、それがひとつにまとまった瞬間は、台本で読んでいてちょっとした衝撃がありました。独特な描かれ方でしたけど」。


――華養子はひたすら瀬名を守っていました。

「そういう役割ではあったんですけど、瀬名に成長してほしい想いもあって……。そのバランスは撮影中もずーっと考えてました。瀬名が離れていきそうになると寂しいけど、そこで引き止めてはいけない。でも、傷ついてほしくない。そんな葛藤がありました」。

――悩む部分もあったと。

「悩む部分しかないほど(笑)、悩み続けました。それは私だけではなく、瀬名役の(市川)美織ちゃんもみんなも悩んで葛藤しながら、役に近づいていってるのを現場で肌で感じました」。

――華養子が瀬名を守っていたのは、理由があるというより無条件な感じ?

「そこは台本に書かれてないですけど、監督に相談したとき、『もしかしたら華養子には瀬名より前に守れなかった子がいるんじゃないか』というお話が出ました。そんなバックボーンがあることで瀬名を想う気持ちがさらに強まって、過保護に感じられるくらいになったのかもしれない。その話をして役への理解が深まりました」。

――市川美織さんを見ていて、自然に守りたい気持ちになったりは?

「それはありました。年齢的には私よりお姉さんですけど、現場に入ると、どんどん瀬名になっていくんですね。あの小さくてか細い体で1人で戦って、だんだんボロボロになって、『大丈夫?』って何度も聞きました。それくらい本当に戦っていたので。まさに瀬名になった姿を見るだけで、こちらも想いが溢れて、自然に『守りたい』と思えた瞬間がありました」。


――あそこまでではないにせよ、成美さんも誰かを守りたいと思うことはありますか?

「私は末っ子ですし、あまり誰かを守ることはなかったんですけど、やっぱり仲良くしている人、大切な人には傷ついてほしくないです。傷つけてしまうくらいなら、華養子のように守るためのウソをつくのも、アリかなと思ってしまいます」。

――学校とかで誰かとそういう関係になったりは?

「なかったです。逆に、守られてました。気の強い友だちが多かったので」。

――華養子に頼りがいのある雰囲気を出そうとしました?

「はい。リハーサルの時点から『母性を持ってほしい』『お母さん的な存在であってほしい』と、ずっと言われていたので、自分の母のことを思い浮かべたりしました。私の母も気が強くて、自分を犠牲にしても私や兄を守りますし、自分より子どもが第一。そういう視点は“瀬名がすべての中心”という今回の役に役立ちました」。

――お母さんに実際、どんなことをしてもらったんですか?

「日ごろから私がちょっと落ち込んでいたらすぐ気にかけて、私が誰かに傷つけられたと知ると乗り込んでいく勢いで(笑)、私が止めてました。一緒に電車に乗って、私が足を骨折していたときに座席の狭い隙間に座らせていただいたら、隣りの方がメイクしていたんですね。その肘が私の顔に何度か当たったのを見て、私は『大丈夫だから』と言ったんですけど、怒り出しました(笑)。お母さんは強いです」。


――成美さんが自分の中の母性を感じることは?

「あまり意識したことはないですけど、周りからはよく『母性を感じる』とか『守っていそうな雰囲気がある』と言われます」。

――ですよね? そういう意味でも華養子役は合っていたと思います。瀬名をおんぶして走るシーンもありました。

「もしかしたら人生で初めてのおんぶで、新鮮でした。『これくらい温もりを感じるんだ』と思いました」。

――市川さんだと、重い感じはなく?

「まったくなかったです。むしろ軽くて、バランスがちょっと難しかったです」。

 
 

台本にない役の過去を考えたら
理解が深まるのを感じました

 
 

――瀬名が連れていかれたときは、取り乱して叫んでました。

「あのシーンは撮影3日目の朝イチから始まったんですけど、前日の撮影終わりで、私が悩んでいたこともあって監督とちょっとお話して、華養子の瀬名を想う気持ちについてアドバイスをいただきました。そのときにさっき言ったバックボーンの話も出て、役に対する意識がグッと深まったんです。深まって一発目の撮影があのシーンで、集中力も高まっていて、本当に瀬名のことだけを考えていました。助けなければいけない、守らなきゃいけない、傷つけたくない……って、瀬名に対する想いでいっぱいでした」。

――開眼した感じだったんですね。

「役を作るときに、その過去を考えていくと、役に対する理解や相手に対する想いがこんなに深まるんだと感じました。そういうのは初めての経験で、もっと自分でバックボーンの部分を深めていけたらと思いました」。

――「もう傷つかなくてもいいんだよ」と涙するシーンは感動的でした。

「あのときはもう瀬名は瀬名でしかなくて、姿を見ただけで『この子をどうにかしてあげないといけない』って、本当に役と同化してました」。


――撮影は1年くらい前だったそうですが、今でも覚えていることはあります?

「10日間くらい撮っていて、合宿のような形で、正直、あまり整った環境ではなかったです。でも、それが映画の世界観と合っていて、みんなが役を必死に生きてました。私は美織ちゃん、りりかちゃんと同じ部屋で、毎日戻ると2人はいないんです。それぞれ自分の役を考えて消化していたのか、悩んでいたのかわかりませんけど、私は部屋に1人でいて、2人のいない空間に2人を感じようとしていました。その不思議な時間は、役を作り上げていくのに貴重だったと思います」。

――キャストが全員女子ということで、今までにない空気があったりは?

「私はずっと女子校で、今までやってきた作品も女性が多かったので、そこはあまり意識しませんでした。いつもの感じかなと思ってました」。

――制服衣裳はそれぞれで、華養子はえんじ色でした。

「衣裳にも個性が出ていて、私のカーディガンの色味はすごく悩みました。もう少し明るい、ピンクに近い赤という案もあったんですけど、そうすると華養子の暖かみが少し薄れてしまう。それで落ち着いたえんじ色になりました。独特な衣裳だった分、着ると気持ちが自然に入って、衣裳の力も大きいと感じました」。


――映画が公開される4月は、学生のように新学期が始まるわけではないにせよ、やっぱりスタート感はありますか?

「暖かくなって自然と気持ちが緩くなって、新たな決意がバスッと入り込んでくるような気はします。そういう意味では、4月が始まると気が引き締まる部分はあります」。

――何かを新たに始めたいと思ったりも?

「毎年たくさんありますけど(笑)、今年は語学をもっと本格的に学ぶとか、アクションをいつかやるという目標に向かって運動を始めるとか、何か自分にしかない武器を持てたらいいなと思ってます。今、特に自慢できるものがないので。仕事につなげられたら最高ですけど、普通の生活でも今年は22歳になるので、自分の世界を広げていきたいと最近すごく感じるようになりました」。

――語学は今、どんなレベルなんですか?

「韓国語を勉強してますけど、韓国に行くと『まだまだだな』と思います。語学にはゴールがないと感じるので、勉強はずーっとしていくことになるんでしょうね」。

――21歳としては、いろいろ大人モードになってきたりも?

「そういう意味も含め、もっと世界を広げるために、フットワーク良く、いろいろなものを見たり聞いたりしに行けるようになりたいです。今まではどちらかと言うとインドアで家にいるのが好きだったので、少し外へ目を向けようと思います。簡単なことだとお散歩からですね。今年は一人旅もしたいです」。

――行きたい場所があるんですか?

「そこまで具体的にはないですけど、まずは国内から。温泉に入ったり、地元の方に案内されて食事に行ったりしたいです。その地域にしかないものを感じられたら嬉しいです」。

――女優としても「&美少女」での不動産屋の新人社員役が、年齢相応にナチュラルですごく良かったです。

「本当ですか? 普通の女の子だったのでヘンに作らないように意識したんですけど、その普通さが難しく感じました。就職したばかりでも、それなりにしっかりした芯はあるだろうし、だけど元カレがお客さんとして来て揺れ動くという、普通の女の子の淡い気持ちを表現するのは初めてで。そういうのも少しずつ勉強していかなければと思いました」。


――そんな中、春に楽しみなことはありますか?

「私は秋と冬が一番好きなんです。空気がひんやりして人肌が恋しくなるような、あの時間が過ぎていくのが寂しくて、『まだ春は来ないで』と思ったりします(笑)。でも春には何かが始まるとか、どんな出会いあるかとか、ときめきは感じます」。

 


 
 

秋月成美(あきづき・なるみ)

生年月日:1996年10月25日(21歳)
出身地:神奈川県
血液型:B型

 
【CHECK IT】
2011年に第7回東宝シンデレラオーディションで審査員特別賞を受賞。2012年に映画「僕等がいた 前篇」で女優デビュー。同年に「都市伝説の女」(テレビ朝日系)でドラマデビュー。これまでの主な出演作は、映画「悪の教典」、「Another」、「幕が上がる」、ドラマ「さよなら私」(NHK)、「一番電車が走った」(NHK広島)、「獄門島」(NHK BSプレミアム)など。映画「放課後戦記」は4月7日(土)より全国ロードショー。
詳しい情報は公式HP
 
 

「放課後戦記」

詳しい情報は「放課後戦記」公式HP
 

 

(c)2018「放課後戦記」製作委員会
 
 
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