PICK UP ACTRESS 葵わかな

PICK UP ACTRESS 葵わかな

PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「サバイバルファミリー」に出演
電気のなくなった世界での苦闘を熱演

 
 

――電気が突然なくなった世界で、東京から九州まで自転車で向かう一家を描いた「サバイバルファミリー」の撮影は、演技以前に大変なことも多かったのでは?

「大変でしたね~。私も普通に田舎や自然は好きで、家族旅行で海外のジャングルに行ったこともあるし、牛とかも平気ですけど、かと言って、ここまでするのは……という感じで(笑)」。

――養豚場から逃げ出した豚たちを捕まえるシーンは、1日がかりで撮ったとか。

「すーごい疲れました。ずーっと豚さんを追い掛けて、スポーツとかと違って予測不能だし、いつカメラに映っているかわからないから、ずーっと走っていて。豚さんも最初は逃げるんですけど、疲れてきて動かなくなるんです。集めたい方向にググググって押し込もうとしても、相当重くてビクともしなくて」。

――100㎏ぐらいあるそうですね。

「みんな『ハァ、ハァ……』って息も絶え絶え。しかも、矢口(史靖)監督が全然カットをかけてくれないんです(笑)。出演者も豚さんもカメラマンさんも疲れ切って、『早くカットを……』と思っても一向にOKが出ない。だんだん自分の息の荒さで何も聞こえなくなってきて、『今、カットかかった? まだか……』『今のは? やっと終わった……』って、みんなヘタリこんでました(笑)」。


――リアルな疲労困憊感を出すのが、監督の狙いだったんでしょうけど。イカダで川を渡るシーンもありました。

「撮ったのが11月末で相当寒かったけど、あそこは心構えがあったから、意外と平気でした。お湯を用意してくださったり、いろいろ暖かくもしてくれたので。田んぼのあぜ道で自転車をこぐシーンとかは、現場に行かないと、どんな感じかわからなくて。家族4人で自転車で1列になったり並走する場面で『もうちょっと速くこいでください』と言われると、小日向(文世)さんや泉澤(祐希)くんはすごく速く行くから、ついていくのが大変でした」。

――自転車で走った距離も、トータルすると相当なものだったでしょうね。

「だと思います。いろいろなところを走りました。自転車は普段から乗ってますけど、ゆるい坂道ですごく速くこがなきゃいけなかったり、日々、筋肉痛に悩まされました」。

――わかなさんが演じた結衣はギャルっぽいイマドキの女子高生で。

「自分の高校にいる派手な感じの子たちがどういう格好をしているのか、改めて見てみました。髪も最初は染める予定はなかったんですけど、何となく監督さんに『今の高校生は髪が茶色の子も多いので』と提案しました」。

――演技でも、学校のギャルたちを見て取り入れたことはありました?

「派手でギャルめな子たちだけではなく、若い子は短縮言葉をよく使いますよね。『マジで?』とか。台詞の合間に、そういう若者言葉を入れ込むようにしたりしました。あと、役に立ったかわかりませんけど、ティーンのファション誌を買って『こういうのが若い子に流行っているのか。ふむふむ』みたいなことをしたり」。


――わかなさん自身も「若い子」ではあるけど。

「私は見た目もギャルっぽい感じはしないし、表情や話すテンションの若い子っぽさは、私は軽いほうだと思うんですね。でも、結衣ちゃんは重いほうなので。若い子特有のところは濃くしようとしました」。

――わかなさんはお父さんに「じじい、やめろよ」とか言わない(笑)?

「そんなこと、言わないです(笑)。普通は学校とかでも『使ったらいけない』と言われる言葉を、この映画では出しまくりでした(笑)」。

――劇中では、ずっと風呂に入ってなくて「頭かゆくて死んじゃうよ!」と叫ぶシーンなどもありましたが、サバイバル感を出すために撮影前からやっていたようなことはありますか?

「さすがにお風呂には入ってましたけど、久しぶりのごはんをガツガツ食べるシーンを撮った日は、家族4人で食事を抜いてやりました。4人ともお腹がギュルギュル鳴って、目玉焼きとかの料理を『ああ、おいしそう』と思って、本当にそういう気持ちで食べられました」。

――結衣が燻製を泣きながら食べるシーンですね。兄役の泉澤さんに「なんで泣いてるの?」と言われながら。

「台本では『すごい勢いで食べる』というだけだったんです。でも、段取りのときに監督さんが『ここで結衣ちゃんが泣いたりしてね』と言ってきて。『それぐらいの感動を持って食べるということですね?』と聞いたら、『いや、本当に泣くんです』ということで、急に泣くシーンが追加になりました。出来上がった映画を観たら、食べ物に感動して感謝しているのがわかりやすく出たかなと思いました。恐るべし、矢口監督(笑)」。


――あの涙はやっぱり、食べ物のありがたみを感じて流れたものだと。

「しかも最初のほうの結衣ちゃんは、私の印象だと好き嫌いが多い子で」。

――赤飯の豆を取って食べたりもしてました。

「たぶん今の子って、好き嫌いが結構あるじゃないですか? 私も克服中ですけど。そんな結衣ちゃんが食べ物からあれだけエネルギーをもらっているのは、説得力があったと思います」。
 
 

芸能界でのサバイバルに必要なのは
気合いと気の持ちようだと思います

 
 

――しかし女優さんはすごいなと思ったのは、食べ物がなくてキャットフードを食べるシーンでも、本気でまずそうに見えて。

「だって、あれは本当に猫缶を食べたんですよ(笑)。いっぱい食べるところはツナでしたけど、私だけ猫缶で。絶対おいしくないし、食べたくないじゃないですか。なのに監督さんは『大きいスプーンでいっぱい食べてみましょう』とか言ってきて(笑)。『えーい、ヤケクソだ!』と思って、頑張って食べました」。

――じゃあ、あのすごい表情はガチ?

「本当の本物です(笑)。猫好きの私でも、食べられたものではなくて。でも、それでまずそうな顔が撮れたなら、監督さんの狙い通りで良かったと思います。やっぱり猫ちゃんのごはんは猫ちゃんが食べるもの。サバイバルでも猫缶は人間が食べるものではないと、伝えられたかな(笑)」。

――この映画の撮影を通じて、人として考えさせられたことはありました?

「まず現実で電気がない状況には絶対なりたくないと、本当に身に染みました。撮影だから実際は車もありましたけど、実際のシーン通りに高速道路を自転車で走ったり歩いたら大変だし。自分たちが今、いかに電化製品とかに頼って生活しているか。毎日携帯を使って、電車に乗って。そういうものを全部引きはがされたら何もできない人間なんだと、無理やり思い知らされました。携帯を使えるのが当たり前ではないと少しでも思うことも、もしかしたら大事なのかなと感じました」。


――家族について考えたことも?

「毎日一緒にいるとウザったいこともあるし、つい親に強く言っちゃうこともありますけど、どんなことを言っても最後の最後には味方でいてくれるのが家族なのかなと。今回は“当たり前にあるものがなくなったらどうなるか?”がテーマで、『家族なんていらない。早く一人暮らしをしたい』くらいに思っていたかもしれない結衣ちゃんが、“家族に対してどう変わっていくか?”というところもあって」。

――結衣は自然に変わっていった印象がありました。

「はっきり何かが変わったわけではなくても、意識の変化はあったというか。ちょっと反抗期の子が観てくれて、親に対して『そこまで言ったら、ちょっとかわいそうかも』と思って、少しでも変わってくれたらいいかもしれませんね」。

――ところで、わかなさんは高校卒業が近づいてきましたね。

「何か全然実感がなくて。高校生になってから結構自立してきて、むしろ『早く卒業したい』と思っています。けど、たぶん卒業式の日になったら、すごく悲しくなるんでしょうね」。

――カレンダーの発売記念イベントのときの会見で、「高3では行事もちゃんと参加して、合唱コンクールでは委員を務めてクラスを金賞に導いて、やり残したことはありません」と話していましたよね。仕事をやりながら、学校生活も充実していたようで。

「最後の合唱コンクールは、先生が『金賞の賞状が欲しいです』と言っていたので、『クラスみんなで頑張ろう!』となって。友だちと2人で合唱委員になって、指揮者もやりました。『くちびるに歌を』でそういう役をやった経験をフル活用して」。


――クラスをまとめたんですか?

「練習スケジュールを全部組みました。この日は朝何時からアルト、お昼休みはソプラノ、もっと練習したい人には個人練習……とか。課題曲をどうやったらうまく歌えるかネットで調べて書いたり、発声法をまとめたり。1ヵ月半ぐらい練習して、すごく楽しかったです」。

――良い思い出になりそう。卒業後も続けたい勉強はありますか?

「勉強は嫌いではないので。高校ではお仕事との両立が大変で、授業も出られなかったら終わりでしたけど、これからは自分で時間の使い方を選べるようになるので。何かに活かすわけではなくても、気になることができたら学ぶようにしたいです。英語とか世界史は勉強したいし」。

――最後にこじつけですが、高校を卒業して芸能界でサバイバルしていくうえで、必要なものは何だと思いますか?

「基本的にサバイバルに必要なのは、気合いだけだと思うんです。何にしても気の持ちよう。実際、芸能界をサバイバルしていくのは本当に大変でしょうけど、『大変だ』と思ってしまえば、それまで。どう見方を変えて楽しむか。苦しいこともたくさんあるかもしれないけど、そういうときは自分のなかで気持ちをごまかしつつ、気合いで行ければ楽しいと思います」。


 
 


 
 

葵わかな(あおい・わかな)

生年月日:1998年6月30日(18歳)
出身地:神奈川県
血液型:A型

 
 

【CHECK IT】
小学5年生のときに原宿でスカウトされ、2009年にドラマ「サムライ・ハイスクール」(日本テレビ系)で女優デビュー。これまでの主な出演作は、映画「陽だまりの彼女」、「くちびるに歌を」、「罪の余白」、「ホラーの天使」、ドラマ「表参道高校合唱部!」(TBS系)、「マネーの天使~あなたのお金、取り戻します!~」(読売テレビ・日本テレビ系)、「女優堕ち」(BS朝日)、「舞え!KAGURA姫」(NHK BSプレミアム)など。「金の殿 ~バック・トゥ・ザ・NAGOYA~」(CBC)に出演中。また、ケイ・オプティコム「mineo(マイネオ)」、アート引越センター、地盤ネットのCMがオンエア中。映画「サバイバルファミリー」は2月11日(土)から公開。
 

詳しい情報は公式HPへ

 
 
「サバイバルファミリー」

詳しい情報は「サバイバルファミリー」公式HPへ




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