ももクロ独創録

7月12日の百田夏菜子の誕生日で、2017年のバースデーブックがついに完結。僕はインタビューや対談といった活字部分を担当させていただきましたが、本当に貴重な経験をさせていただきました。もう、今年の上半期は5冊のバースデーブックに全力を注入した、といっても過言ではないです!
 特に次に誕生日を迎えるメンバーへの「リレー対談」は、はじめて聞くような話がバンバン出てきたり、意外な関係性が浮き上がってきたりで、毎回、とても新鮮でした。これはパートナーチェンジして、これからも続けてみたいなぁ~、と素直に思います。忘れられないのは、夏菜子ちゃんとの対談で、いきなりれにちゃんが涙ぐんでしまったシーン。いつも5人でいるのに、こうやって2人きりになると、いろんな感情が噴き出してくるんだなぁ、と、思わずこちらも泣きそうになりました。
さて、バースデーブックがひと段落したところで、次は違ったアプローチでももクロに活字で迫ります。
7月20日に新刊『ももクロ独創録』が徳間書店より発売されることになりました。
 これは毎年、出してきた『ももクロ活字録』『ももクロ見聞録』『ももクロ吟遊録』に続く、ももクロのライブレポート集・第4弾になります。
 正直な話、ライブレポートを発表する場があまりなくなってきているので、溜まりに溜まった原稿をここでドカンと一挙に披露する形になるんですけど、昨年夏の『桃神祭2016 ~鬼ヶ島~』から、今年4月の『ももクロ春の一大事2017』までがギュッと詰まっているので、読み物としては、かなりボリューミーな一冊になったかと思っています。
 本当はこの本、今年の4月に出す予定でいました。それが僕の個人的な事情(詳しくは本書の『おわりに』を読んでいただければ……)で延期せざるを得なくてはならなくなり、このタイミングでの出版になったんですが、ケガの功名ではないですけど、結果として『春の一大事2017』まで収録できるようになって、よかったなぁ、と思います。
 今回の表紙はまさに『春の一大事2017』の“2日目”のライブ写真を使わせていただいたんですが、本の中で詳しく書きましたけど、このイベント“1日目”と“2日目”では、意味合いがまったく違うんですよね。いや、意識して別モノにしたのではなく、1日目終了後の百田夏菜子の「涙」が大きな意味をもたらしてくれたんです。
 それは本当にこの1年間を振り返ったときに、とっても重要になってくる。
 本の構成を説明すると、昨年夏からのライブレポートが続き、その流れのラストに百田夏菜子の録りおろしインタビューが収録されています。
 このインタビューは『べっぴんさん』のクランクアップ翌日(というか、翌朝! 本当に数時間後でした)に聞いたもので「まだ、終わったばかりでぼんやりしている部分が多い」と本人も語っていたんですが、やっぱりクランクアップ直後の臨場感は大事にしたいので、この日に話を聞いたわけです。
 内容は本を読んでのお楽しみなんですけど、ハッとする言葉がどんどん出てくる中で、やっぱり「ぼんやりしている部分」は出てきてしまう。予定通り、4月に出版していたら、このインタビューが本の締めになっていたので、その「ぼんやり感」が少しばかり気になったんですが、その解答がまさに『春の一大事2017』に隠されていた! その流れは活字ならではの醍醐味です。
 インタビューはもう1本、佐々木彩夏も収録。なにげに昨年のソロコンについて、がっつり掘り下げたことがなかったので、そのあたりを中心に「アイドル・佐々木彩夏」と「演出家・佐々木彩夏」の深層に迫ってみました。あくまでソロインタビューなんですが、結果的にももクロ全体を独特の視点から切り取った内容になっています。
 いままで『ももクロ○○録』シリーズでは、メンバーのインタビューを収録してきませんでした。前作『ももクロ吟遊録』では、朝ドラ撮影中の百田夏菜子を訪ね、楽屋でショートインタビューを敢行しましたが、あれはあくまでも特例。
 ただ、この本の大きなポイントとなる『2016年11月26日』。有安杏果が別府でソロコンを開き、百田夏菜子が大阪で朝ドラの撮影をし、他の3人は豊洲でイベントを開催。つまり、ももクロが同時多発的に大きな動きを見せた日のことを考えると、インタビューは必須になってくるわけです。
 これまでは大きなイベントには、必ず足を運び、そこで見たことを活字にしてきましたが、ついにこの日、それが不可能になってしまった。別府のソロコンと豊洲のイベントは、時間的にも距離的にもハシゴは不可能。どっちかを選ばなくてはいけないし、その時点でもうひとつのイベントは諦めなくてはいけなくなる。
 おそらく、これから、こういうケースが増えてくるし、もしかしたら、僕の単著として、こういう形のレポート集を出すのは不可能になってしまうかもしれない。そんな中で、当然のことながら、常に現場にいるメンバーの言葉に頼らなくてはいけない部分は大きくなってくるわけです。
 読者の方からすれば「じゃあ、5人、全員のインタビューを載せろ!」となるかもしれないですけど、それをやると圧倒的にページ数が足りなくなるんです。それこそインタビューだけで構成した本を出さなくちゃいけなくなるけれども(それはそれでやりたいんですけどねぇ~)、インタビュー自体はそれこそバースデーブックにも、かなり長尺のものを載せているし、ソロコンのパンフや雑誌などでも、随時、メンバーの本音を聞きだしている。もっといえば、ファンクラブ会員であれば、毎月、メンバー1名のソロインタビューが更新されているわけで、実は結構、頻繁に彼女たちの発言は外に向けられているんですよね。
 なので、この本では全体の構成を考えて、中締めに佐々木彩夏、ラストに百田夏菜子のインタビューを配しました。最初から通して読んでいただければ、この2人が登場する必然性はおわかりいただけるかと思います。
 そして、今回の本の最大の特徴はソロコンのページ。
 普通のライブレポートにするのではなく、ソロコン決定からライブ当日までの「メイキング」編(すべてのソロコンのパンフレット制作に関わらせていただいたおかげで、準備期間からメンバーと時間を共有できたので、そこでの初出エピソードを特盛にしました!)、そしてライブ当日に密着した「ドキュメント」編の二段重ねでレポート。ちょうどソロコンの映像作品が続々とリリースされているので、そちらを観ながら読んでいただけると、何倍も楽しめるかと思います。以前は映像作品が出る前に活字でレポートできたので、速報性を重視してきましたけど、今回は映像のほうが先に出ているイベントのほうが多いわけで、そのあたりも考慮して、新しい試みにトライしてみました。
 また、今回は徳間書店からの出版ということで、この1年間、『OVERTURE』誌の取材で撮影した写真もふんだんに使用。やっぱりね、若いファンの人たちから「文字ばっかり!」と敬遠される、ということは毎回、気にはなっていたし、若い人たちにも読んでもらいたいので、編集からの提案もあって、情報量を薄めることなく、より読みやすい形を模索してみました。ちなみに裏表紙はハワイ公演の際、街で撮影した5ショットになっています(味のあるメンバーの並び順にも注目)。
これまでの『○○録』シリーズのフォーマットを踏襲しつつ、新しい試みをいくつも取り入れてみた『ももクロ独創録』。興味のある方は『ももクロ夏のバカ騒ぎ2017』の前に読破していただけると、ステージ上の光景がかなり違ってみえるかと思いますので、全国の書店やネット書店にて、ぜひお買い求めください!
 
 

ライター・小島和宏

 
 

『ももクロ独創録』(1600円+税)