PICK UP ACTRESS 浜辺美波

PICK UP ACTRESS 浜辺美波

PHOTO=河野英喜 HAIR&MAKE=鎌田順子
STYLING=瀬川結実子 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「センセイ君主」でパワフルなヒロイン
清楚なイメージを覆してコメディに開眼!?

 
 

――映画「センセイ君主」で演じたあゆはは、ちょっぴりおバカで猪突猛進。喜ぶのも泣くのもヘン顔みたいになって、美波さんの清楚な美少女イメージとはだいぶ違いましたが、自分では最初からできるだろうと?

「『できるかな……?』とは思いました。同じ幸田(もも子)先生原作の映画『ヒロイン失格』を観ていたので『私はどこまでやれるかな?』という不安はありました。でも、前から原作を読んでいて『自分ならあゆはをどう演じるかな?』と考えていたので、やりたい気持ちは強かったです。高校生のときにしかできない役でもあるので」。

――ヘン顔やオーバーな表情は練習したんですか?

「同じような表情ばかりにしたくなくて、鏡を見てバリエーションを考えたりしました。『顔の筋肉がどれくらい動くかな?』とか(笑)。眉や口の開け方でかなり変わりました」。

――自分の殻を破る感覚はありました?

「月川(翔)監督は私が普段そんなに明るい感じではないのをご存知で、今回どれだけ弾けられるか不安がっていらっしゃるとお聞きしていたので、そこを吹き飛ばしてやろうという気持ちはすごくありました。リハーサルから、完成作品にあるようなテンションでやりながらも、本番に強いタイプではないので不安はあったんですけれど、監督とのお仕事は三度目だったこともあって、最初から飛ばしていけて気持ちが楽でした」。


――同じ月川監督の映画「君の膵臓をたべたい」で桜良を演じたときに「テンションを上げるのに苦労した」ということでしたが、今回のあゆははさらに突き抜けたハイテンションですよね。そこはうまく持っていけたんですか?

「あそこまでテンションが高いとひとつ越えちゃう感じがして、むしろ上げるのは楽でした。朝ギリギリまでオフにしておいて、パッと上げて振り切ったら、もう下がらないので」。

――リミッターが外れたような?

「そうですね。逆に、上げたあとはなかなか下げられなくて……。神戸で撮影していて、ロケバスで40分くらい移動してホテルに戻ったんですけど、車の中で寝たいと思っても、テンションが上がってしまって寝られませんでした」。

――監督からの演出もありました?

「私がワーッといろいろな顔をしても、テストでいきなり何か新しいことをしても、笑って許してくださいました。『もうちょっと上げて』ということはあまりなく、全体を見て『ここは全力で行かず抑えめで』とブレーキをかけてださることが多かったです」。

――さっき出ましたが、もともと原作マンガを好きだったそうですね。

「私は少女マンガをそんなに読むほうではないんですけれど、幸田先生の作品はすごく好きです。ヒロインが真っすぐなんですよね。あゆはちゃんも、カッコイイ男の子が何人か出てきても『自分の気持ちがわからない。誰が好きなんだろう?』みたいな感じがなくて、とにかく弘光先生が一番で大好き。そういう気持ち良さがあります。ヒロインに嫉妬しないで応援したくなるのが幸田先生のマンガを好きな理由で、あゆはちゃんも好きになりました」。

――演じていて胸キュンなシーンもありました?

「(幼なじみの)虎竹と弘光先生とあゆはちゃんの3人で合唱コンクール用の曲を音楽ショップに探しに行ったシーンですね。金八先生のモノマネをしたら先生が笑っちゃって、『ちゃんとやりなさい』って叱りながらあゆはちゃんの頬をムギュッとするんですけど、あそこは脚本になくて、監督と弘光先生役の竹内(涼真)さんが現場で『もう1コ足したい』ということで入れたんです。『来るぞ来るぞ』という感じがなくて、いきなりバキュンとされてキュンキュンきました(笑)」。


――あゆはの金八先生のモノマネは最高でしたが、美波さんは世代的には知らないですよね?

「本家の金八先生は見ていないですけど、モノマネをされる方はよく見ていました。意外と本物のドラマのほうでは、そんなに大げさにやってないじゃないですか(笑)。だから、三又(又三)さんとホリさんのDVDをいただいて、モノマネのモノマネをしました(笑)」。

――そこもちゃんと練習を?

「めちゃくちゃしました。最初リハーサルでやったときは似てなさすぎて(笑)、監督に『そこだけ練習しよう』と言われたので」。

――さっきのシーンで「人という字は~」とやったのは、美波さんのアドリブだったそうで。

「そうなんです。ネットにいっぱい出ていた金八先生のモノマネを参考で見ていて、いくつかキーワードがあったので『どこかに入れられたら』と思っていました。テストで試してみたら竹内さんが笑ってくれて、それを監督が見て『いいんじゃない?』となりました。使ってもらえてうれしかったです」。

――他にも、試写で自分を観て笑ってしまうシーンはありました? 弘光先生を落とそうと、パットで胸を大きくして濃い化粧をしたところとかは?

「あそこはどっちかと言うと苦笑いして観ました(笑)。自分で頑張ったと思ったのは金八先生と、あとは『ドラゴンボール』のモノマネのところですね。スカウターを付けて、声を張りました」。

――「ドラゴンボール」は知っていたんですか?

「観ていました。あれも大げさにやるために、アイデンティティさんの動画を観て勉強したんですけど、やっぱり似なくて難しかったです。リハーサルでは『オラ、ワクワクすっぞ』とか言うと、『ドラゴンボール』ではなくて『クレヨンしんちゃん』になってしまいました(笑)。助監督でモノマネを教えてくれる専門みたいな方がいらしたんですけど、男性なので声帯が違って参考にならなくて(笑)、とにかく自主練を重ねました。試写で観たらギリギリ似てると思えたし(笑)、モノマネだけに捉われずに演じられたのも良かったです」。

――それにしても、女優さんもコメディをやるとなれば、芸人さんばりの練習をするんですね。笑いを取る難しさも感じました?

「コメディ映画を観るのは好きで、今回の台本も面白くてどう広げるか考えるのも楽しくて、最初は全然難しいとは感じなかったんです。現場でやると、スタッフさんたちが笑ってくれるし。ただ、リハーサルでやって現場のテストでもやるうちに、皆さん慣れてきて誰も笑ってくれなくなって(笑)、それぞれのお仕事をやり出すから、『これって面白いのかな? この間(ま)はどうなんだろう?』とか考え出してしまって……。そうなると、全部が難しく思えました」。


――そういうことも経て、演技の幅はだいぶ広がったのでは?

「自分のやりたいことを監督に相談して、全部挑戦できたのは大きかったと思います。私、現場で『こうしたいんです』とか言えないタイプだったんです。でも今回はそれがなくて、面白くするために自分から意見をジャンジャン出したので、ちょっと殻を破ったというか、心が開いた感じがしました。現場でのフットワークも軽くなった気がします」。

――どんな意見を出したんですか?

「普通に歩くだけのシーンでも、何か付け足したいとか、大げさにやりたいとか……。あとは、弘光先生の幼なじみの秋香先生のことを『駆逐してやる!』と言っているときの身振り手振りとか、『ハァ?』という声とか、いろいろなところで自分のアイデアをちょいちょい入れました」。

――自分発信のアイデアがだいぶ採用されたんですね。

「現場で作った部分が多く使われていましたけど、削られて残念だった部分もあります(笑)。でも、監督が客観的に見て良いところを取ってギュッと詰めて、全体的にスピード感が出ていたので、切ってもらって良かったと思います」。

――川栄李奈さんが演じる親友のアオちんとの掛け合いも面白かったです。

「私、お友だち役の方と肩を組んだりするときに、自分でやりにくく感じてしまうことがあるんですけど、川栄さんとは二度目の共演で、くっついたりがすごくやりやすかったので、親友感、コンビ感が出せて良かったです。川栄さんがリードしてくれて、撮影してないときもお姉さんだからいろいろと教えてくれて、笑って話していることが多かったです」。

 
 

普段も明るくなって修学旅行で
アルパカのモノマネをしたり(笑)

 
 

――恋ができれば誰でも良かったようなあゆはは、弘光先生のどこに惹かれたと捉えましたか?

「最初は顔を見て『カッコイイ!』となったからだと思いますけれど、高校生から見たら先生は大人で憧れでもあり、そんな先生が笑って隙を見せてくれたので、キョンときたんでしょうね。私から見ると弘光先生は不器用で、でも実はちゃんと生徒のことを考えていて、本当に素敵な人です」。

――一見ぶっきらぼうですが……。

「そう。あゆはちゃんは先生というより人として、好きになったんじゃないかと思います。一度は好きにならないようにした分、またウワッとなったところもあっただろうし、あそこまで好きになったのは、運命的な直感でビビッとくるものもあった気がします」。

――現役女子高生としては、先生を好きになることは周りで普通にあります?

「私の周りではないですね。そんなに若い先生は意外といませんから」。


――もし美波さんがあゆはみたいに先生を落とそうと思ったら、どんなことをします?

「とにかく担当教科のわからないところを質問しにいきます。宿題をちゃんとやって、授業もしっかり聞いて、まず良い子にして迷惑かけないようにすると思います」。

――原作ファンとしては、竹内さんの弘光先生はハマっていたと思いますか?

「竹内さんはサッカーをやられていて体育会系で、数学教師やメガネのイメージはなかったから、最初は『どうなるんだろう?』と思っていました。でも、やっていくうちにだんだん弘光先生になっていく感じがしました。原作では“ドSで腹黒”とありますけど、映画ではそういうところは薄くて、普通の先生とパワフルな女の子の恋になっていて、また別の面白さがありました」。

――やっぱり映画ならではのところもあると。

「ハッピーになれる要素は映画のほうが強いと思います。キュンキュンしたり悲しかったり、いろいろありながら、2時間でパッと楽しい気持ちになれるところは映画らしいですね」。

――これまで話に出た以外にも、見どころだと思うところはありますか?

「私が観てほしいのは、あゆはが初めて告白されてデートする小林という人です。パンフレットにも出ていないんですけど、秘密兵器だと思うんですよ(笑)。告白されたあゆはがドキドキ顔になって、少女マンガみたいな展開が始まりそうな感じからの小林は最高でした(笑)。私も試写でめちゃくちゃ笑ったので、皆さんも劇場でぜひ注目してください」。

――あゆははすごくデフォルメされたキャラクターですが、普通に共感する面もありました?

「私も原作を読んでいたときから虎竹より弘光派だったので、そこはあゆはちゃんと同じでした。他は結構違いますね(笑)。自分から行く感じや真っすぐさは私にはないし、高校生が全力でバカをやるのは憧れではありますけど、私には絶対できません。合唱コンクールのために必死で頑張るようなことも、私はまだやったことがないです。それをできるあゆはちゃんは真っすぐでいいなと思いました」。

――美波さんも何かに真っすぐになることはあるのでは?

「そうですね。私ものめり込むタイプなので、お仕事とかにハマると、周りが何も見えなくなっちゃうところは、確かにあゆはちゃんと似ています」。

――あゆはが書いていたLOVEノート的なものを作ったりも?

「勉強のノートをまとめたりするのは好きです。映画のLOVEノートは美術さんが作ってくれたんですけど、すごくかわいいなと思って、自分でもノートを買ってマネしてみようと思ったら、きれいにできませんでした。ノートを作っているときは楽しくても、見返したらイラッときて、全部捨てちゃいました(笑)」。


――それは何のノートだったんですか?

「K-POPのアーティストさんに最近ハマっているので、プロフィールとかのまとめノートを作ろうと思ったんです。TWICEさんから好きになったんですけど、調べないと知識が入ってこないじゃないですか。名前も韓国の方は覚えにくいので、まとめてみようとしたら、私はカラーセンスもないし、自分の字も好きじゃなくて、ダメでした(笑)」。

――そんなことをしていたんですね(笑)。美波さんは食べることは好きだそうですが、あゆはみたいに、牛丼のヤケ食いをしたりはしませんよね?

「家族で牛丼屋さんに行くことは多かったです。1人ではなかなか行けていませんけど、ちょうど映画の牛丼屋さんのシーンのときにもらったチケットは使いました。そんなに気合いを入れて食べには行かなくて、だいたい1杯で『太るからやめておこう』となりますけど、本気を出したらもっと食べられると思います(笑)」。

――そんなところで本気を出さなくても(笑)。最近ではドラマ「崖っぷちホテル!」でも“面白い浜辺美波さん”が見られました。演技としてコメディに開眼したと思いますが、普段から明るいモードになってきたところもありません?

「それはすごくありますね。本当に『センセイ君主』を撮影した前後から、気分が明るくなってきました。現場でコミュニケーションを取ることが大事だと思ったので、明るくしていたら自分も楽だし前向きになれるし、いろいろな方が話し掛けてくれるのがうれしかったです。現場で楽しく過ごすことが多くなりました」。

――以前はどうだったんですか?

「話したかったけど、話せなかったんです。『センセイ君主』では何回か共演していた方が多かったので、自分の中でいろいろ始めることはやりやすかったですね」。

――仕事の現場を離れても、はしゃぐようになったとか?

「はしゃいだりはしてないです。でも、『楽しみたい』とは思うようになりました。修学旅行に行ったときも『高校生活の思い出を作りたい』とか、楽しめるチャンスがあるなら斜に構えず、全力で楽しむようになりました」。

――でも、「体育祭では応援中にずっと寝てた」とテレビで話してましたが(笑)。

「あれは眠くて限界でした(笑)。起きていたかったんですけど、そのあともお仕事があったので、諦めちゃいました。でも、修学旅行は楽しみました」。

――どんな思い出ができました?

「北海道に行ってきて、おいしいごはんを食べたり、お友だちとホテルでトランプをしたり……。みんな部屋は違うし、集まらなくても良かったんですけど、クラスの子で集まって、罰ゲーム付きでやりました(笑)」。

――どんな罰ゲームを?

「モノマネです。私はアルパカのマネをしました(笑)。顔を前に向けて、ツバを吐くみたいにペッペッみたいなのを、ただやりました(笑)」。


――それこそ「センセイ君主」での経験が生きたり?

「やるならパッとやる。思い切りの良さが大事というのを学んだので、良かったと思います(笑)」。

――今年の夏も思い出はできそうですか?

「高校最後の夏ではあるんですけど、お仕事の夏休みになりそうです。でも、できることはしたくて……。そのうちのひとつがバーベキューです! 海のほうに住んでいる友だちもいるので、遊びに行って……とか勝手に考えています。あと、1人で花火を上げたりも、ちょっとやってみたいです」。

――1人で花火をするんですか?

「夜なら時間があるけど、友だちに会うと長くなっちゃうので、1人で少量の花火を買ってやるのがいいかなと思ってます(笑)。でも、まずはお仕事を頑張りたいです」。

 


 
 

浜辺美波(はまべ・みなみ)

生年月日:2000年8月29日(17歳)
出身地:石川県
血液型:B型

 
【CHECK IT】
2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションでニュージェネレーション賞を受賞。これまでの主な出演作は映画「咲-Saki-」、「君の膵臓をたべたい」、「亜人」、「となりの怪物くん」、ドラマ「まれ」(NHK)、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(フジテレビ系)、「無痛~診える目~」(フジテレビ系)、「賭ケグルイ」(MBS・TBS)、「崖っぷちホテル!」(日本テレビ系)など。映画「センセイ君主」は8月1日(水)より全国東宝系にてロードショー。「浜辺美波 2019カレンダーブック」(KADOKAWA)が8月29日(水)に発売。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「センセイ君主」

詳しい情報は公式HPへ
 

 

 

(C)2018「センセイ君主」製作委員会 (C)幸田もも子/集英社
 
 

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