FRESH ACTRESS 日比美思

FRESH ACTRESS 日比美思

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

Dream5の活動終了から女優の道へ
「マジで航海してます。」でドラマ初出演

 
 
――美思(みこと)さんという名前は本名ですか?

「本名です。『美しい思いやりのある子に育ってほしい』という意味で、母がつけてくれました。最初は絶対に“みこと”と読まれません。『何て読むんですか?』から始まって、『みおも?』と言われたり(笑)」。

――自分では気に入ってます?

「そうですね。すごく素敵な名前でうれしいです」。

――実際「美しい思いやりのある子」になれました?

「……日々(日比)、努力してます(笑)」。

――昨年末でDream5の活動が終了して、その前から個人活動中心になってはいましたが、改めて“ロス”みたいなものはありました?

「確かにありました。だいたい年明けにライブやイベントがあったり、CDを出すことが多かったので、今年に入ったらパッとなくなっていたのは、すごく寂しかったですね。最後のライブからはもう結構経ってましたけど、そこで『本当に終わったんだ……』と実感した気がします」。

――そして、3月には高校も卒業。

「高校生って制服着ていると無敵な感じですけど、それを一気に失ってしまいました(笑)。卒業証書をもらったときに『もう大人なんだな』と思ったら、不思議な気分でしたね。今年は本当にすべてがガラッと変わりました。お仕事のジャンルも変わりましたし……」。

――4月には主演舞台もありましたが、今後は女優業をメインに?

「そうですね」。

――もともとこの世界に入ったのは、歌やダンスをやりたかったからなんですよね?

「はい。歌やダンスが大好きで、地元の小さなスクールで習ってました。そこの先生がDream5の番組オーディションを『受けてみたら?』と勧めてくれて、受かってデビューしました」。

――女優をやりたくなったのは、Dream5の活動をしながら?

「はっきり“いつから”というのはないんです。ただ、映画やドラマを観るのがもともと大好きだったのと、Dream5のお仕事で女優さんと接する機会があったので、『こういう選択肢もあるんだな』と思い始めました。そこから映画やドラマを観ているときに『私だったら、こう演じるのにな』と考えることが増えてきました」。

――どんな映画やドラマが好きだったんですか?

「小さい頃は『メリー・ポピンズ』というミュージカル映画が大好きで、私のところにもメリーに来てほしいと思ってました(笑)。母にDVDを『観てみなよ』と言われて観たら、本当に好きになって、何度も繰り返し観ました」。


――ドラマでは?

「小学生の頃に一番印象に残ってるのは『プロポーズ大作戦』です。山下(智久)さんに『なんでそこで行かないんだよ!』と思ったり、毎週楽しみにしてました。そういうファンタジーものが好きなのと、あとは『水戸黄門』も観てました」。

――小さい頃に?

「小学校が終わって帰ってくる頃に、ちょうど放送されていたんです。たぶん再放送ですね。家で流れていて、ずっと観てたらハマっちゃった感じです」。

――中高生時代に観た作品では何かあります?

「家族全員、ニコラス・ケイジさんが大好きで、出ている映画をよく観ていて、そのなかでも『シティ・オブ・エンジェル』はすごく好きです。純愛ど真ん中って感じじゃないですか。そこも胸を打たれるし、シーンのひとつひとつが美しいんです。天使が出てくるけど天使ではないように見えるのも、面白いなと思いました。日本の映画だと『八日目の蝉』が素敵ですね」。

――深い作品でした。

「Dream5時代に『女優さんになりたい』と思い始めて、スタッフさんに『どんな作品を観たらいいですか?』と聞いたら、『(日本)アカデミー賞を獲った映画をまず観なさい』と言われたので、いろいろ調べたんですね。『八日目の蝉』のあらすじを読んだら、すごく面白そうだったので観ました。出演者さんの1人1人がまばたきや手の動きまで全身で演技していて、本当に素晴らしかったです」。

――女優さんでは「いいな」と思っていた人はいますか?

「満島ひかりさんが好きです。『愛のむきだし』という映画を、事務所の先輩のAAAの西島(隆弘)さんが出演されていたこともあって、DVDで観たんですけど、もう本当に衝撃でした。『こんな映画があったんだ!』と。満島さんの演技は繊細で謎めいたところがあって、こういう人の私生活はどうなっているのか、見てみたいと思いました。普通にゴミを捨てている姿とか、想像つかなくて……」。


――そして「マジで航海してます。」では、美思さん自身がドラマ初出演。現場の空気にはすぐ慣れました?

「初日は緊張でガチガチでした。映像でお芝居するのも初めてで……。ちゃんと打ち解けられたのは、2日目からでした」。

――自分から話し掛けるようにしたり?

「いやー、そんなことはできません。頑張らなきゃいけないと思ったんですけど、どうしても話し掛けられなくて……。キャストもスタッフの皆さんも本当に優しくしてくださったから、何とか打ち解けられた感じです」。

――今まで観る側だったドラマの現場はどうでした?

「1コ1コのシーンをあんなに何回も撮るのは大変でした。たくさんの方の力が込められているんだなと思いました。(カチンコを)カチンとやるのを目の前で見るのも初めてで、そこはちょっと楽しかったです(笑)」。

――美思さんが演じる鵜川杏樹は、航海士を目指す実習生の1人で、芦屋のお嬢様という設定ですが、美思さんはお嬢様ですか?

「お嬢様じゃないです。最初、“芦屋”というのもお店の名前かと思ってました(笑)」。


――兵庫県の高級住宅地です。

「それを知らなくて、母に『芦屋って何?』と聞きました。最初に台本を読んだときは、杏樹はおしとやかで優雅なお嬢様だけどドス黒さがちょっと出る感じかと思ったら、監督さんと初めてお話ししたとき、『意地悪な感じにはしたくない』と言われました。男勝りでクールで少しせっかち。『何もできない主人公の2人にちょっとイラッとしている感じで』ということだったので、印象からガラッと変わりました。どちらかというと、ボスキャラみたいですね」。

 
 

何でもできる役なので縄を結ぶ猛練習も……
役の気持ちや行動を考えるのは楽しいです

 
 

――杏樹と自分が重なるところはありました?

「どうだろう? 私も性格は『サバサバしている』と言われるので、男勝りなところは似てるのかな? (男性の)俳優さんに負けたくないと思っています。男性にしかできないお芝居もたくさんありますけど、『そしたら、こっちは女性にしかできないお芝居を見せてやろうじゃないの!』みたいな……。なんて、自分は全然新人なんですけど(笑)」。

――そういう心意気はあると。

「そうですね。頑張らなきゃと思います」。

――クールでもあるんですか?

「クールではないです。たぶん。そこは監督さんに『ドスを効かせて』と言われて『ドスって何だ?』と思いましたけど(笑)、自分の出せる一番低い声でしゃべったり、目力を意識してみたりしました。でも、あまりねちっこく意地悪な感じにはしないように……というのも気をつけました」。

――そう聞くと、意外と難しい役ですね。

「そうなんです。あとは内面的に、杏樹はせっかちだから、できないことの多い2人にイライラするところもありますけど、芦屋のお嬢様ということで逆になめられてきたと思うんです。『どうせお嬢様だし』みたいに……。それで1人でいろいろ努力して何でもできるようになったんじゃないかと思います。私の想像ですけど。そんな杏樹からすれば、『みんなで頑張ろう』という2人がちょっとうらやましいんじゃないかと思ったりもします」。

――なるほど。何でもできる役を演じる大変さもあります?

「たとえば縄を結ぶ訓練をするシーンでも、杏樹は1人だけ早く終わるので、縄を結ぶ練習はずっとしてました。別にスピード勝負をする場面ではないですけど、一応本当にできるようにしとかなきゃと思って、6種類の結び方を3分間で全部できるようになりました」。


――おーっ。すごい。

「結び方は現場で教わって、何日か後にそのシーンの撮影で、それまで猛練習でしたね。休憩時間中にもやっていたし、家にも持ち帰って練習しました」。

――たぶん、そんなに尺のある場面ではないんでしょうけど。

「そんなに映ってないと思います。でも、うまくできることは必要だと思って……」。

――そういうディテールは大事ですよね。さらに、杏樹は強気な性格でもあるようで。

「強気で威圧感満載です(笑)。『言われたら絶対ムカつくだろうな』という台詞もいっぱいあって、まず主人公たちを『あんた』と言いますから(笑)。『あんたさぁ』みたいな感じで……。それで意地悪な感じにしないのも難しくて、練習しました」。

――初ドラマで悩むことはなかったですか?

「考えることはたくさんありましたけど、それが楽しかったです。撮影前に『ここは杏樹だったら、どう動くかな?』とか『どんなふうに思ったかな?』とか、1人でいろいろ想像するのが好きなので。『カメラにこう映っているから、杏樹はこの角度で、こういう仕草をしよう』とかも考えたりしましたね」。

――女優に向いてそうですね。美思さん自身は海や船は好きですか?

「実は泳げないんですよ(笑)。1mも。体も浮きません。学校のプールの授業ではビート板を使って1人で練習してました。海も遠くから眺めていることが多いですね。でも、海は好きです。船はこのドラマの撮影で乗ったのが初めてで、とっても大きくて新鮮でした」。

――合間の時間に船内を見て回ったりも?

「しました。操縦席が面白かったです。『この舵を回すと本当に船が動くんだな』と思うと、ちょっと手が震えてきました(笑)」。


――「あんた」呼ばわりしていた主人公の1人の飯豊まりえさんは、事務所の先輩なんですよね。

「はい。何度かお会いしたことはあったんですけど、しっかりご一緒するのは初めてで、緊張しました。でも、すごく気さくに話し掛けてくださって……。自分の撮影がオフの日に現場を見学させていただいてたら、飯豊さんが早く終わって『ごはんに行こうよ』と誘ってくれました。一緒に本屋さんにも寄って、楽しかったです」。

――全体的に初ドラマは楽しめたみたいですね。

「皆さんのおかげで何とか……という感じです。映像のお仕事のすべてが新鮮で、新しい世界に足を踏み込んだ感じがしました」。

――仕事以外のことだと、最近キックボクシングに通っているそうで。

「友だちに誘われて行きました。30分しかやらないことになっていて、それでも翌日はすごい筋肉痛。だけど爽快でした。ワーッと叫びながら蹴って叩いて、いっぱい汗をかきました」。

――泳げないという話でしたが、運動神経はそんな悪くもなく?

「できるものとできないものがあります。走るのはめちゃくちゃ遅くて、50mが10秒を越えるんですよ。でも、小学校のときはバドミントンをガチでやってました。体育会系のノリで『そこ取って!』みたいに叫んだり……。最近は殺陣の稽古にも行ってます」。

――アクションの練習を?

「木刀を使ったり、殴る蹴るの練習をしたりしてます。そういう役が来たらうれしいですね。いつか時代劇に出られるように、ピアスを開けないと決めています(笑)」。

――18歳で時代劇が好きなんですか?

「好きです。『暴れん坊将軍』とかいろいろ観ていて『カッコいい!』と思ってました。大河ドラマも観てます。お姫様役もやりたいですけど、バリバリ戦う役も楽しそうですね」。

――美思さんはスタイルがいいから、アクションが決まるとカッコ良さそう。ところで、夏は好きな季節ですか?

「あまり好きじゃないです。虫が苦手で、セミがいるのがちょっと……」。

――網戸に止まっていたりすると……。

「部屋の外に止まっていて、こっちからパンと叩くだけで飛んで行くのに、それすらできなくて『お父さーん!』って叫んだりします(笑)」。


――じゃあ、ゴキブリなんか出たら大騒ぎ?

「ドラマの撮影中に泊まっていたホテルに出たんですよ! パニックになってしまって、母親に電話して『助けてー!』と叫びました(笑)」。

――お母さんもビックリされたかと(笑)。

「事故か何かと思ったみたいで『どうしたの!?』と聞かれたから『ゴキブリが出たー!』と言ったら、『そんなの私に電話されても』と言われました(笑)。そこから1時間ぐらい、捕まえようかとティッシュを持って睨んだり、ゴキブリが動くたびに荷物をよけて大移動したりで、結局フロントの方に電話しました(笑)」。

――夏のお楽しみはないですか?

「浴衣で花火とか全然やれてないので、今年はちょっと行きたいですね。お祭りもありがたいことに仕事で全然行けなかったんですけど、屋台とかにちょろっと行ったりして、絶対にイカ焼きを食べるんですよ(笑)」。

――かき氷とかではなくて?

「かき氷もおいしいですけど、やっぱりイカ焼き。それとキュウリの一本漬けですね(笑)」。
 


 
 

日比美思(ひび・みこと)

生年月日:1998年9月20日(18歳)
出身地:神奈川県
血液型:B型
 

【CHECK IT】
2009年に「天才てれびくんMAX」(NHK Eテレ)の全国オーディションに合格して、ダンス&ヴォーカルユニットDream5のメンバーとしてデビュー。2014年にアニメ「妖怪ウォッチ」(テレビ東京系)のエンディング主題歌「ようかい体操第一」が大ヒット。「第65回NHK紅白歌合戦」で企画コーナーに出演。2016年末でDream5としての活動を終了。その後、2017年2月に舞台「真・三國無双」に出演。4月に舞台「PIRATES OF THE DESERT 3 ~偽りの羅針盤と真実の操舵輪~」に中江友梨(東京女子流)とW主演。ドラマ「マジで航海してます。」(TBS/火曜25:28~ MBS/日曜24:50~)に出演中。

詳しい情報は公式HPへ

 
 

「マジで航海してます。」

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