FRESH ACTRESS 平塚麗奈

FRESH ACTRESS 平塚麗奈

PHOTO=名児耶洋 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

「パンテーン」CMの黒髪中学生が
「レミングスの夏」で映画に初出演

 
 

――以前「パンテーン」のCMに出演してましたよね。綾瀬はるかさんと“バージンヘア対決”ということで。

「あのときはクラスにたくさんの子が私を見にきて、話したことがない子からも、『パンテーンに出てたよね?』みたいなLINEがいっぱい来ました。『出てるよ』って返してましたけど、友だちが『遊びに誘いにくくなった』と言うんですよ」。

――芸能人になってしまうと。

「ちょっと寂しかったんですけど、今はもう慣れて、みんなと仲良くやってます」。

――小さい頃からモデルを目指していたそうで。

「ダンスをずっとやっていたんですけど、小学6年のときにTTKCという東京ガールズコレクションのキッズ版に出させていただいたのがきっかけで、『モデルさんになりたい』と思いました」。

――活発な子だったんですか?

「はい。木登りとかしてました。一度、家のお庭にある木に調子に乗って登っていたら、すごい上まで行って降りられなくなっちゃって(笑)。泣きながら『どうしよう~?』とか言って、ハシゴを持ってこられたけど怖くて、木に抱きついたままズリ、ズリ、ズリ……って腕を傷つけながら少しずつ降りました。それが小学5年とかで……バカですね(笑)」。


――学校ではどんな感じでした?

「小学校のときは責任のある係などを任されるのが苦手で、やってなかったんです。でも、中学生になって初めて学級委員をやったら楽しくて、生徒会にもちょっと関わりました。目立ちたがり屋ではなかったんですけど、人を笑わせるのは好きで、ずっとヘン顔とかしてます(笑)」。

――それは見た目のイメージと違いますね。「レミングスの夏」で映画初出演となりましたが、女優もやりたかったんですか?

「はい。ただ、初めて演技をしたのがWEB配信ドラマで、洞窟のなかで迷子になって泣くシーンがあったんですが、全然できなくて目薬を使わせていただいたんですね。それがすごく悔しくて、『レミングスの夏』を撮る前も不安でした。でも、監督さんやスタッフさんがすごくいい人たちで、質問すると何でもやさしく教えてくれたので、演技が大好きになりました」。

――中2のグループがずっと練り続けていた計画を実行するために、同級生の女の子を誘拐するストーリーで、麗奈さんは誘拐される生徒会副会長の白石宏美役。オーディションで選ばれたんですか?

「そうです。演技をして原作を読んだ感想を言って、上手な子がいっぱいいたから『無理だな』と思いました。そしたら『麗奈ちゃんで決まりそうだけど、(水の)口移しシーンがあります。どうしますか?』と聞かれたんです。お母さんたちは『無理しなくてもいいよ』と言ってくれたけど、私は前に演技ができなかった悔しさもあって、せっかく自分でオーディションで獲った役だから、『やります!』と言いました。みんな『エーッ!?』って感じでしたね」。

――台詞もたくさんありました。

「台本が1ページ半、全部私の台詞だったところもあります。そこをオーディションでもやったんですけど……」。

――「飼っていた猫が……」とか自分の昔のことを話したところですね。

「そこが一番辛かったです。撮っていたのが夏で、音の関係でクーラーも止めて、すごく暑いなか、イントネーションの直しとかで何回もカットがかかるから、『ヤバイ、ヤバイ……』と焦りました。すごいプレッシャーでした」。


――熱中症になるシーンも、実際に暑いなかで撮って?

「なりきらなくても、ガチで暑かったです(笑)。スタッフさんたちがそういう雰囲気を作ってくださったこともあって、午前中の撮影で元気があり余っていたのが、『本当に私、具合が悪い……』という感じになりました」。

――宏美は同じ中2の子たちのなかでも、大人びた感じですかね?

「そうですね。令嬢ということで、クラスにうまく馴染めないようなところを、原作を何回も読み返してやりました。普通のキャピキャピした女の子ではなく、自分の決めたことをやる責任感の強さがあって、生徒会でも役割をきちんと果たすところが『偉いな』と思ったし、『わかるな』って共感する台詞もたくさんありました」。

――自分と重なると?

「そうですね。だから、やりやすかったです」。

――ということは、麗奈さんも大人びたタイプ?

「いやいや、全然(笑)。宏美は自分の芯をちゃんと持っていて『誰にどう思われても私は私』という子ですけど、私はクラスで『天然』とかイジられているので(笑)。だから性格はズレがありますけど、“自分の役割を果たす”という気持ちは私も同じです」。

――こうやって話していても、麗奈さんは雰囲気も話し方も劇中の宏美とはだいぶ違いますよね。麗奈さんはまだあどけなさがあるというか……。

「自分で映画を観ても『怖っ!』と思いました(笑)。宏美は目つきも悪いし、強い言葉をどんどん言うじゃないですか。『邪魔してやるから』とか強気で話すと、声がいつもより低くなっちゃって……。普段はあんな怖い声じゃないです(笑)」。

――意識してそういう話し方をしたというより、自然に?

「そうですね。でも、そのなかに性格の悪さだけではなく、ちゃんとした正義感もある子だと思います。たまに(誘拐したグループのリーダーの)ナギくんへ見せる一面とか、そういう表情に気をつけて演じました」。


――グループの陽子と顔を叩き合うシーンもありました。

「あそこは練習を1、2回やって本番で、『音がうまく鳴らない』とか『当てる場所が違う』というのがあって、何回もやりました。『ほっぺが赤くならないかな?』と思いながら、2人とも入り込みすぎて、思い切り叩き合ったし、全然痛くもありませんでした」。

 
 

夏休みに遊びに行かず家でずっと
役のことを考えていたら楽しくて

 
 

――宏美は途中から心境が変わったようでした。

「ナギと仲間の会話を聞いて『中学生でこんなことをするんだ』と驚いたり、気持ちの強さは宏美と似たところがあって『わかる』とも思ったり、彼らの過去にあったことを聞いて『私でも同じことをしていたかもしれない』という気持ちになってナギを慰めたり、『でも、それは犯罪だよ』と心配して、あえて強い言葉を使ったり……。少しずつ違う表現をしました」。

――いろいろなことを考えて臨んだんですね。

「『これが演技か!』って感じでした。撮影が夏休み中だったから、友だちにお祭りとかすごく誘われたんですけど、家で1人でずーっと台本を読んで原作を読んで……って何往復もしてました。それでやっと『宏美はここでこう思っているんだ。じゃあ、こういう表現をしたらいいのかな?』となって、鏡の前でひたすらやってみたりもしました。それがすごく楽しかったんです。実際にカメラが回って『OKです』と言われたら、余計にうれしくなりました」。

――それで最初に出たように、演技の面白さを知ったと。

「そうですね。はい」。

――「どうしてもうまくできない」というようなシーンはありませんでした?

「最初のナギくんが『生徒会をやめます』というシーンが撮ったのも一番始めで、そのときは全然馴染めませんでした。大勢のスタッフさんの前で、しかもナギ役がまえだまえだの(前田)旺志郎くんで、すごく緊張してしまって演技ができない。台詞に感情がこもらず、『どうしよう……』って頭が真っ白。『こうやって』と言われても『待って。何するんだっけ?』と思っちゃったり。でも、監督さんが『初めてで慣れてないと思うけど、これからこのチームでやっていくから落ち着いてね』と言ってくださって、次回からは打ち解けて演じることができました」。


――そこを越えたら、あとはスムーズに?

「宏美はいろいろなシーンがあったじゃないですか。ナギくんと思い切り走ったり、誘拐されたり、手足を縛られて痛かったり……。やっぱりどこも難しくて、何回も撮り直していただいたこともありました。そういうときに監督さんたちが『せっかく何人ものなかから選ばれたんだから』と励ましてくれて、もう『監督さんたちのために頑張ろう!』と思いました」。

――カメラが回ってない合間のときとかで、覚えていることはあります?

「陽子役の瑚々は身長も私より高いし、すごく年上かと思っていたら『小学6年です』と言われて『エーーーッ!?』となりました(笑)。小学生だと馴染むのに時間がかかると思って、積極的にお話しようとしたら、逆に瑚々の勢いがすごくて! みんなとすぐ友だちになるムードメーカーで、笑わせてくれました。それでちょっと騒ぎすぎたりもしたんですけど、宏美はみんなに監禁される役だから、『仲良くなりすぎたらダメだよ』と言われたときもありました」。

――撮影からは1年が経って、今の麗奈さんは中3。受験生ですよね?

「最近はずっと英検の勉強をしています。将来海外で英語を使って活躍したいので、この前2級を受けたら、あと2点で落ちちゃって……。だから今、学校から帰ると次の英検のために勉強してます。でも、10時には寝ちゃいます。みんなは塾に行っていて、11時とかに帰ってきて頑張ってますけど、私は塾にも行ってません。朝がすごく弱いので、何時に寝ても、結局ひどいんですけど(笑)」。

――朝はどうなっているんですか?

「寝起きがすごく悪いんですよ。タイマーだと起きないので、お母さんに起こしてもらうんですけど、『起きて』と言われても寝てるし、お布団を取られても起きない。体を揺さぶられて『もうやめて!』とか言って、やっと目を覚ます感じで、15分くらいかかるときもあります(笑)」。

――それはそうと、英語は頑張っているんですね。

「最初は洋楽をペラペラ歌えたらカッコイイかなと思っていたんですけど、私、人とおしゃべりするのが好きなので、『いろいろな世界の人とお話できたら楽しいだろうな』と思って勉強し始めました」。


――休みの日は寝てる感じですか?

「今までずっと寝てましたけど、最近時間がもったいないと思って、お母さんとお洋服を買いに行ったり、演技の勉強も兼ねて、映画のDVDをいろいろ借りて観るようになりました」。

――どんな映画を観ました?

「この前は、二階堂ふみさんと山﨑賢人さんの『オオカミ少女と黒王子』を観ました。二階堂さんの演技の世界観がすごく好きです。あと、モデルさんが女優として出演している映画を観ると刺激になります」。

――好きなモデルもいるんですか?

「菜々緒さんにすごく憧れています。目力が強くて、思い切り睨まれたら死にそうなくらいじゃないですか(笑)。小さい頃に何かのコレクションで菜々緒さんを見て、すごいと思ってワーッと泣いちゃったんです。モデルさんを目指したのは、菜々緒さんの影響もありました。スタイルが抜群で、女優としても活躍されて、バラエティにも出ているから、『私もやりたいな』と思います」。

――いずれ悪女役も演じたいと?

「菜々緒さんみたいな目つきが怖くて気が強い役とか、逆にすごくやさしい役とか、いろいろやりたいです」。

――15歳だけに、夢はいろいろ広がってるようですね。

「私、将来のことを考えるのが好きで、何歳で海外に行く、何歳でこれをする……とか人生設計をしています。今はお習字をやっていて、特待生になりましたけど、中学生ではそこまでしか取れなくて……。師範を取れたら、お習字教室を開けるので、高校生になったら改めてスタートしたいです。おばあちゃんになってモデルを引退して寂しくなったら教室をやろうと思っているので、今、習ってる先生に教室のこともいろいろ教わってます」。

――今から老後の計画を(笑)。

「でも、その前にモデルや女優を頑張りたいです」。



 
 


 
 

平塚麗奈(ひらつか・れいな)

生年月日:2002年8月19日(15歳)
出身地:東京都
血液型:A型

 
【CHECK IT】
2016年にP&G「パンテーン」のCMに出演して注目される。警視庁の少年非行被害防止広告「あなたはひとりじゃない。あなたに寄り添う人がきっといる。」篇や明光義塾のCMにも出演。女優としての出演作は「あらすじ名作劇場『トム・ソーヤの冒険』篇」(BS朝日)、「AKBラブナイト恋工場『同じ屋根の下』」(テレビ朝日/ネット限定配信)など。初出演映画「レミングスの夏」は土浦セントラルシネマズ、イオンシネマ守谷(9月30日~)、名古屋シネマスコーレ(10月7日~)、大阪シネ・ヌーヴォ(11月18日~)、横浜シネマ・ノヴェチェント(11月25日~)などで順次公開。

詳しい情報は公式HP
 
 

「レミングスの夏」

詳しい情報は公式HP


 

 

 

 

 
(C)竹吉優輔/講談社
 
 

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