PICK UP ACTRESS 伊原六花

PICK UP ACTRESS 伊原六花

PHOTO=小澤太一 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

名作ミュージカルの日本キャスト版
「ウエスト・サイド・ストーリー」でヒロイン

 
 

――20歳になって10カ月ほど経ちました。

「打ち上げとかでお酒を飲める年齢にはなりましたけど、弱くて飲めません」。

――六花さんって強そうですけど。

「本当ですか? いい意味ですか(笑)? 確かに『飲めそう』と言われますけど、すぐ赤くなっちゃいます」。

――ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」の日本キャスト版Season3にヒロインのマリア役で出演しますが、ミュージカルは六花さんにとってルーツなんですよね?

「小学2年生の頃に友だちの先輩が出ている舞台を観に行って、『こんなことができるんだ』と思って、習いごととして始めました。もともと本が好きで、夢のあるお話の主人公になり切って感情移入して読んでいたので、自分が実際にその役になって生きられる場所があるのが素敵だな……というのが最初の感想でした」。


――ダンスに打ち込んでいた高校時代も、ミュージカルのことは頭のどこかにあったんですか?

「登美丘高校を選んだのも、他の高校のダンス部と比べて、ヒップホップやロッキンというよりショウケースっぽくてミュージカル寄りだったから、『こういうのをやりたい』と思ったんです」。

――「ウエスト・サイド・ストーリー」には馴染みがあったそうですが、最初はどういう形で触れたんですか?

「映画と舞台とどっちを先に観たかは忘れましたけど、劇団四季の大阪公演を母と観に行ったのが中学生の頃だったと思います。映画のDVDも持っていて、何度も観ました。最初は冒頭のような台詞がなくてダンスだけという場面を観たことがなかったので『何だ、これは!?』と思いましたけど、王道ミュージカルの名作という感じがします」。

――今回演じるマリアのことは、その時点ではどんな印象がありました?

「本当にピュア。まさに聖母マリア様みたいに純粋な女の子だなと感じました。だから白いドレスを着ているようなイメージもありました」。


――出演が決まって、稽古は厳しい感じですか?

「最初は歌稽古がメインで、曲がどれもすごく難しいです。ソプラノなので、とにかく音が高くて。『ウエスト・サイド・ストーリー』ではどの楽曲も、何も知らない人が初めて聴いたとしても、『これは悲しいことがあったとき?』とか『楽しいことがあるときの曲?』とか、歌詞やメロディからシーンが想像できると思うんです。それも何から何まですごい『ウエスト・サイド・ストーリー』のポイントのひとつで、歌えるのは光栄ですけど、プレッシャーもあります」。

――クラシカルな歌い方を指導される、という話も聞きました。

「マリアに関しては『ソプラノに寄せた歌い方がいい』と言われます。そのほうが曲にも役柄にも合うみたいです」。

――「音が高い」といっても、自分の音域を越えるほどではないですか?

「一番上はめちゃめちゃ高くて。1オクターブ上の“ド”まであって、最初は『出るかな?』という感じでした。オーディションに受かってからボイストレーニングに行かせてもらって、徐々に出るようになってきました」。


 
 

純粋でかわいらしいだけでなく
賢くて強い女性として演じたい

 
 

――お芝居に関しては、ずっと観てきた作品だけに入りやすくはありますか?

「演出の方がマリアと同じプエルトリコ出身で、当時の背景をいろいろと聞きました。同じ頃の日本より暮らしが貧しくて、電気もなくて、仕事を探してアメリカに来たけど、アメリカにも仕事がない。職を巡ってプエルトリコ人とアメリカ人で争いがあって、ギャング団を作るしかなかった。チームに入ってないと、弱い存在になってしまうから。そういう話や宗教的なことを聞いて感じたこともあって、いろいろ深堀りをしていきたいと思います」。


――六花さんらしいマリア像を作ることも考えていますか?

「そうですね。年齢的には等身大に近いんですけど、『ウエスト・サイド・ストーリー』の登場人物はみんなキャラクターが立っていて。マリアと恋をするトニーは敵対するチームのリーダー格で、お兄さんの彼女のアニータはセクシー。だからこそマリアとして、この作品の中でどう振る舞えばいいかは、すごく考えています」。

――見えてきたものはありますか?

「やっぱり初見だと、さっきの私の感想のように、純粋でかわいらしくて聖母様のようで……となりがちですけど、マリアは冷静で賢くもあるんです。混乱の中でチームの次の世代のことを考えたり。恋には盲目でも、しっかりと地に足のついた強い女性として演じようと思います」。


――六花さんがもしマリアとトニーのような禁断の恋に落ちたら、どうしますか?

「どうですかね? そうなってみないとわかりませんけど、脚本を読んでいると、マリアは“好き”という気持ちを信じて、世間の価値観とは真逆なことをしてでも、『愛でどうにか変えられる』と考えていて。そういう考え方をできる恋と出会えたこと自体、すごく素敵だと思います。作品的には2日間のお話ですけど、そういう出会いは一生に一度あるかもわかりませんから」。

――六花さんは今まで、恋愛ではなくても、1日や2日の出来事で人生が変わったようなことはありました?

「このお仕事を始めさせてもらうことになったときは、そういう感じだったと思います。(バブリーダンスを踊った)ダンス部の全国大会がきっかけで、今の事務所のマネージャーさんが学校に来てくださって、公立だから会えなくて伝言をいただいたんです。そのときは他にもいろいろ声を掛けてくださったところがあって、母と『話してみて決めればいいね』と言っていたんですけど、その伝言のメモには“フォスター 広瀬アリス”みたいに書いてあって。『エッ! アリスさんがいるの!?』と思って、すぐ電話をかけました。そこから始まって、今につながっているので、その1日は忘れません」。


 
 


 
 

伊原六花(いはら・りっか)

生年月日:1999年6月2日(20歳)
出身地:大阪府
血液型:A型
 
【CHECK IT】
2017年に“バブリーダンス“で話題を呼んだ大阪府立登美丘高校ダンス部の元キャプテン。2018年にCMでデビュー。同年にドラマ「チア☆ダン」(TBS系)で女優デビュー。2019年にドラマ&映画「明治東亰恋伽」(tvkほか)で初主演。連続テレビ小説「なつぞら」(NHK)に出演。2019年1月には大沢伸一プロデュースの「Wingbeats」で歌手デビューもしている。ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー Season3」に出演。4月1日(水)~ 5月31日(日)IHIステージアラウンド東京。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

ブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」Season3

詳しい情報はブロードウェイ・ミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」Season3 公式HPへ
ナビ番組「ついにラスト!ウエスト・サイド・ストーリーSeason3 開幕直前SP(仮)」が3月28日(土)16:00~TBSにて放送。
 

 
 
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