PICK UP ACTRESS 吉柳咲良

PICK UP ACTRESS 吉柳咲良

PHOTO=草刈雅之 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

ミュージカル「ピーターパン」に主演
歌もダンスも去年より大きく成長

 
 

――去年の「ピーターパン」から1年経って、咲良さんも14歳になりました。中学生だと1年でいろいろ成長するかと思いますが、自分が1年前と比べて変わったところはありますか?

「もともとヒップホップダンスを習っていたんですけど、ジャズダンスやバレエも習いに行って、筋トレもやるようにしました。踊りでしなやかな動きを表現するのは得意で、動きを止めたりキレ良く踊るのは苦手なほうだったのが、ヒップホップとは全然違う踊りを経験して筋力も付いたので、できるダンスの幅が広がったと思います。1人でフリーで踊るときもいろいろできるし、文化祭でみんなで踊るときに振付するのも得意になりました」。

――筋トレはどんなことを?

「腹筋、背筋に脇腹や脚力など、いろいろ試して鍛えてます。腹筋は最初5回しかできなかったんですけど、頑張って毎日続けていたら30回できるようになりました。それがダンスの幅につながっているので、うれしいです」。

――中学生といえば、オシャレになったりする年代ではないですか?

「逆に、いろいろな服を着るのが好きだったのが、K-POPにハマって、パーカーにジーンズが多くなりました」。

――防弾少年団(BTS)のファンだそうですね。

「そうなんです! K-POPで一番衝撃を受けたのがBTSでした。魅力を語り出すと何時間にもなってしまうんですけど、踊りもカッコイイし歌も素敵だし、次々と新しい発見ができるので、どんどんハマっていく感じがします」。


――ちなみに、東京にはもう慣れました?

「都会には慣れてきましたけど、田舎感は抜けないですね(笑)。訛りもたまに出ちゃうし、いまだに高い建物にビックリして、大きな駅の近くに行くたびに『うおーっ!!』となります(笑)」。

――行動範囲は広がったのでは?

「そうですね。電車も最初はあたふたして、誰かが一緒にいないと乗れなかったんですけど、最近はちゃんと調べて『こっちのホームだ』とかわかるようになりました」。

――「ピーターパン」も2回目となると、去年より余裕を持って臨めそうですか?

「去年よりプレッシャーはあったり、なかったり(笑)。というか、去年と違うプレッシャーを感じています。去年は初めてで何もわからない状態で『大丈夫かな?』という心配があったんですけど、今年は成長してないといけない。余裕はあまりなくて、『皆さんの期待を裏切ってはいけない』という気持ちです」。

――去年の初日の前日は、稽古を重ねて、それなりに自信もついていたり?

「自信半分、不安半分くらいでしたけど、すごく緊張しやすくて、始まる前はお腹が痛くて『ヤバイ……』となってました(笑)。でも、『始まるよ』となって幕が開いたら、『よし、行こう!』と。始まる前の緊張は千秋楽まで変わらなかったので、今年もたぶんそうなる気がします」。


――本番に強いタイプなんですね。自分の中で課題にしていたことや、乗り越えないといけなかったことはありました?

「周りがたくさん経験を積んでいる方々なのに、自分が先頭に立たなきゃいけない責任感が一番大きかったと思います。大切にしていたのは、ずっとピーターパンでいること。舞台の途中で一瞬でも吉柳咲良に戻ったら、お客さんの気持ちが離れてしまうので」。

――集中力を持続させると。見せ場のフライングはそんなに難関ではなかったですか?

「最初は苦戦しました。飛んでる最中に脚や手がクニャッとなってしまったらピーターっぽくないし、吊られているのでバランスを取ろうとするとどんどん前かがみになって、それだと自信なさそうに見えちゃう。だから体を後ろにフッと戻すとか、ちょっとしたところが難しかったです。でも、楽しんで飛んでました」。

――背筋はもともと強いんでしたっけ?

「腹筋より全然強くて、体を戻す力はありました。でも、お腹で支える力はなくて、飛びながら歌うと声がどうしても弱くなってしまって……。今年は腹筋を鍛えたので、去年よりうまくできる気がします」。

――お客さんの前で生で演じることに、気後れはありませんでした?

「私は生で演じることが好きなタイプだと思います。直にお客さんの感情が伝わってくるのがうれしかったし、やっていて気持ち良かったです。ステージの間近にお客さんがいるのは、すごく素敵だなと思いました」。

――何かあって印象深かった公演も?

「フライング中にふと歌詞がわからなくなって、『どうしよう!? でも歌わないわけにはいかない』と思って、そのあとの歌詞を全部『ラララ~』で通したときがありました。あと、公演中に光がチカッとなって、耐えようとしたんですけどくしゃみが出ちゃって(笑)。その2回は、私の中で大きな失敗でした」。

――「ラララ~」で歌った部分は長かったんですか?

「そうですね。最後のほうは全部それで通したので。『やってしまった……』とものすごく反省したんですけど、演出家の藤田(俊太郎)さんに『あの対応力は素晴らしかった』と言ってもらえて、ちょっと気が楽になりました」。



 
 

イケメンさは増したみたいで(笑)
すべてに自信を持ってやれたら

 
 
――歌が止まるよりはいいですよね。ピーターパンを演じる喜びを感じる瞬間などもありました?

「ウェンディと会う前に自分で影を足の裏に付けようとして、石けんだとなかなか付かなくて『えーっ! なんで?』となって……。それでも『くっ付かない! くっ付かない!』とやっていたら、お客さんがずーっと笑ってくれたのがすごくうれしくて、こっちも楽しくなりました」。

――去年の公演前の取材では「体力がない」とのことでしたが、夏の1日2公演は乗り切れました?

「もうクッタクタな感じになりましたけど、楽しさのほうが勝ったみたいで、終わったあとも意外と元気でした。体力は今もあまりないので、今年は去年以上に体調管理をしっかりしようと思います」。

――どんなことに気をつけようと?

「ちゃんとノドのケアをして、早く寝ようと思います。去年は緊張で寝られなかったり、舞台でできなかったことを夜中に練習して『時間がいくらあっても足りない』と思ってましたけど、かえって疲れてしまったりもしたので。そこを今年は改善して、うまくやっていきたいです」。

――去年の公演の映像を改めて観たりしました?

「ゲネプロのときに撮った映像を確認して、『こんなだったっけ?』『ここはこうしてなかったの?』と感じました。歌い方が今と違って、ノドを締め付けるような勢いだったりしていて、最初ノドを壊したりもしたんです。今年はちゃんとした呼吸法を使って歌えるようになったのが一番変わったところで、去年よりは成長したかなと思います」。

――それは大きいことでしょうね。ピーターの捉え方が変わった面はあります?

「ピーターパンは『永遠に子どものままでいたい』と言ってはいますけど、演出の藤田さんは『ネバーランドにいて、子どものままでも成長はしている』とおっしゃっていました。確かにお母さんを探しに出かけたり、ウェンディと会ったり、いろいろな経験を積む中で、変わってはいるんだと思いました」。


――今年は他のキャストがだいぶ替わりました。

「ウェンディの河西智美さんはものすごくかわいくて、やさしいお姉さんで、まさにウェンディという感じがしました。フック船長のISSAさんはヴィジュアルの撮影のときに海賊の格好がすごく似合っていて、圧に負けそうになりました。ウェンディを守れるように、頑張って対抗していこうと思います(笑)」。

――去年はピーターの少年っぽさは自然に出ていたようですね。

「私自身に男の子っぽいところが、たぶん普通の女の子よりあると思うので、そこは今年も生かして、私らしいピーターパンをやっていきたいです」。

――公演中は舞台以外でもピーターっぽくなっていたり?

「周りのキャストさんからは『本当にピーターだよね』とよく言われました。女の子らしくキャッキャするより、元気に動き回っていたからですかね?」。

――ただ、咲良さん自身はだんだん女の子らしくなるお年頃ではないですか?

「どうですかね? むしろイケメンさが増したんじゃないか……と自分で言っちゃいますけど(笑)、友だちから『彼氏感がある』と言われることが多くて……」。


――どういうところが?

「自分ではわからなくて『そうなんだ』という感じです。格好は女子っぽくなくて、スカートをあまり穿かないし、フリルとかリボンとかピンクは絶対ありません(笑)。デニムか黒か白かグレーか、そっち系が多いからですかね? さっき言ったようにパーカーが好きで、他の女子は冬でもオシャレをしたがるから、『寒い?』と聞いてパーカーを貸してあげたりもします」。

――「これ着ろよ」みたいな? まさにイケメン(笑)。

「そういうタイプだから、彼氏感があると思われるのかもしれません」。

――では最後に改めて、今年はどんなピーターパンを見せてくれますか?

「ピーターのまっすぐな感じとか、素直でウソをつかないところとか、自分が見習いたい部分がたくさんあります。そんなピーターに“なり切る”のではなくて、自然に“なっちゃった”というくらい、去年以上にピーターらしくいたいです。歌もダンスも演技もフライングも全部、ピーターのように自信を持ってやれるようにします!」。



 


 
 

吉柳咲良(きりゅう・さくら)

生年月日:2004年4月22日(14歳)
出身地:栃木県
血液型:B型
 
【CHECK IT】
2016年の「第41回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で史上最年少の12歳でグランプリを獲得。2017年のブロードウェイミュージカル「ピーターパン」で、初代の榊原郁恵から笹本玲奈、宮地真緒、高畑充希、唯月ふうからが務めてきたピーターパン役の10代目に抜擢。2018年も引き続き、ピーターパン役で主演。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

青山メインランドファンタジースペシャル
ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」

7月21日(土)~8月1日(水)東京国際フォーラム ホールC
8月12日(日)大阪・梅田芸術劇場メインホール
8月22日(水)・23日(木)金沢歌劇座
8月25日(土)・26日(日)名古屋・御園座
詳しい情報は公式HPへ
 

 
 

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