PICK UP ACTRESS 三戸なつめ

PICK UP ACTRESS 三戸なつめ

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「明日、キミのいない世界で」でヒロイン
記憶喪失の役でヨガに通って女子らしさを発揮

 
 

――三戸さんはモデルからアーティスト、そして女優と活動を広げてきましたが、演技は最初から興味あったんですか?

「ずっとやりたいと思っていて、レッスンも受けてました」。

――自分で好きな映画やドラマは?

「向井理さんと片桐はいりさんの『小野寺の弟・小野寺の姉』は、すごく心に残りました。姉と弟のお話の中で、片桐さんが恋に破れて1人で部屋で泣いてるシーンがあったりして、『こういう映画に出たいな』と思いました」。

――三戸さんが初のヒロインを務めた「明日、キミのいない世界で」も心に残るものがありましたが、ロングヘアーはウィッグですか?

「エクステを付けています。前髪も伸ばすように言われて、人生で一番長くなったかもしれません。最初は自分で『誰?』となりました(笑)」。

――三戸さんは普段の髪型が個性的だけに新鮮でした。この映画は人気YouTuberのそらちぃさん(アバンティーズ)が演じる高校生の真斗たちが暮らす田舎町に、三戸さん演じる記憶喪失のミヅキが現れる物語。「賭ケグルイ」や「鉄コン筋クリート」でのキャラ的な役と違う感覚はありました?

「ミヅキは普通の女の子で、今までの役とは全然違ってました。しかもキラキラしているイメージで、そんなふうに育ってない私と正反対(笑)。最初は『どんな仕草や振る舞いをするんだろう?』と思いました」。


――結果、どんな仕草をしようと?

「『女の子らしくしなきゃ』と思って、しなやかさみたいなものが欲しくて、ヨガに通い始めました(笑)」。

――この映画のために?

「はい。別にミヅキがヨガをやっている設定ではないんです。ただ、私は体が硬めで、動画で自分を見ると、歩き方とかキャラっぽかったりするんです(笑)。そこはミヅキと違う気がしたので、ヨガで体をしなやかにして、それが自然に出ればいいなと思いました」。

――たとえば、真斗の家でスイカを食べる場面で女の子っぽい食べ方をするとか、仕草を作る感じではなかったんですね。

「でも、スイカのところは結構作り込んでいます。『真斗を好きな遥に焼きもちを焼かせるように』と言われたので、唇を指で触ったり、汁を無駄にすすったり、あざとく食べました(笑)」。

――考えないといけないことが多い役でもありました?

「真実を知ったミヅキがどんな気持ちになったかは、最後まで悩みました。1ヵ月の物語なので、ちゃんと受け入れられないところはわかりやすくやったほうが、観てる方に伝わるかなと。あと、記憶喪失も自分の中で難しい課題でした」。

――そうでしょうね。

「また違うかもしれませんけど、認知症の方は近いかと思って、ネットで記事を見たりもしました」。


――ミヅキはノリが軽かったり、不安げな顔をしたり、表情豊かというか、波があるようにも感じました。

「性格的にはすごく明るくて、楽観的な子だと思うんです。そこは大事にして、記憶は失くしていても『何とかなるよ』みたいな感じでやれたらいいかなと。あと、真斗の目を向けさせないといけなかったので、ずっと悲しい顔でいるのも違うと思いました」。

――「何とかなるよ」という精神は、三戸さん自身にもありません?

「確かに、私もそう思っているかも。『悩んでもしょうがないでしょう』みたいなところはあります(笑)」。

――ヤマ場として、ミヅキが真斗と夏休み中の小学校に忍び込んで、夜のプールに自分で背中から落ちるシーンがありました。あそこは一発で撮らないといけなかったんですよね?

「一発でした。なので撮る前に、マットを敷いてもらって、背中から直角に落ちる練習を10回くらいしました。腰が引けちゃいましたけど、それだときれいに倒れられないので」。

――怖さを克服しないと?

「リハーサルでスタッフさんがダミーで何回もプールに落ちてくれたんです。それを見ていたら、『イケるんじゃない?』と思って、本番はわりと普通にできました」。

――撮影は夏だったそうで、プールに入って気持ち良さもありました?

「それが、撮影期間中はずっと暑かったんですけど、あれを撮った日だけ、本当に寒かったんです(笑)。風もすごく吹いていたので、凍えて『寒い寒い……』とガタガタ震えてました。でも、『スタート』と言われたら震えが止まって、我ながら『すごくない?』と思いました(笑)」。

――よく「女優は真冬でも汗を流せる」とか聞きます。

「そういうのを本当にできるんだなと。カットがかかった瞬間、また『寒い寒い……』となったから(笑)、集中していると気にならないんでしょうね」。


――学校に忍び込むとき、高い柵を三戸さんがスルスル登って降りて行くのも目を引きました。

「途中まで登ったところで監督さんはカットをかけるつもりだったらしいんですけど、意外と登り切れちゃって、そのまま使われました。アスレチックが好きだったのが活きたんですかね(笑)?」。

 
 

自分ごとにしないと涙が出ないので
「お別れなんだ」と何度も考えました

 
 

――クライマックスの花火大会の日に、ミヅキが真斗に想いを打ち明けるシーンは、胸が震えました。

「大切な人と会えなくなるのを想像するだけでジーンときますけど、真斗に幸せになってほしい気持ちもあって、難しかったですね。泣き崩れても違うので……」。

――涙を流すお芝居は自然にできるもの?

「いや、苦労します。自分ごとにできないときはなかなか涙が出ないので、『本当に好きな人とお別れになっちゃうんだよ』と、何度も自分に言い聞かせました」。

――ミヅキは登場シーンから涙を流してましたが、あそこはミヅキ自身も何で泣いているのかわからない感じで、余計に難しかったのでは?

「そうなんです。なぜ涙が出てるのかミヅキがわからないから、私もわからない(笑)。めちゃめちゃ時間をかけてしまいました。炎天下でスタッフさんたちが汗をダラダラ流しながら、ずっと私の涙を待っていて、申し訳なかったです。そこでミヅキが泣いているところを、真斗が見るんですよね」。


――真斗にとっては出会いの場面でした。

「真斗は子どもの頃にお父さんを亡くしてから、お母さんのためにずっと泣かなかったのに、ミヅキの涙を見て変わっていくので、大事なシーンだったんです。プレッシャーもありつつ、『早く涙出ろ!』と思ってやってました(笑)」。

――「自分のことを忘れないでほしい」という気持ちはわかりますか?

「それは確かに思います。忘れられたら悲しい。でも、人間は忘れてしまうもの。その中で、自分が相手の心に残ることをできたらいいなと思います。この映画も観てくれた方の心に残って、ふとしたときに思い出してもらえたら嬉しいです」。

――年下の男の子を好きになるのは、普通のことだと思いますか?

「今の年になると年下の男の子はかわいいと思いますけど、10代や20代前半の頃は『年下なんて興味ない! 年上がいい!』と言っていて(笑)。ミヅキは21歳の設定なので、高校生の子を好きになるのは『どういう感情だろう?』というのはありました。でも、真斗はポーカーフェイスだけど男らしかったり、女の子にモテる要素はあるので、気持ちがわからなくもなかったです」。

――21歳というと三戸さんの実年齢より結構下ですが、そこも意識して演じたんですか?

「私は童顔なので、容姿に関してはそんなに心配しませんでした。やっぱり動きですよね。さっきも言ったように、私は女の子らしくないので、21歳の女の子のキャピッと感を出すために、ちょっとピョンピョン跳ねたりはしました(笑)」。

――他に撮影で特に覚えていることはありますか?

「私がヨガにハマって、空き時間もストレッチとかやっていたんですよ。そしたら、そらちぃクンや(遥役の)小林万里子ちゃんも一緒にやってくれました。鷲のポーズというのがあって、両手を前に交差して片足で立つんですけど、それをみんなでやっている光景がシュールでした(笑)」。


――ところで、三戸さんは2月で30歳になりますが、意識しますか?

「したくないですけど、しちゃいますね。『30か……。怖~い!』って(笑)。でも、周りの30代の人を見ると、すごく楽しそうなんです」。

――「30代が一番楽しい」という人も多いです。

「そう言いますよね。だからネガティブにならず、私にも楽しいことが待ってると思って、頑張ります(笑)」。

――新たに始めたいことはありますか?

「去年の10月からYouTubeを始めたんですよ。モデルのお仕事で雑誌が減ってしまったので、自分のファッションやライフスタイルをそこで発信していこうと。30代ではもっと登録者数を増やして、たくさんの方に見ていただきたいです」。

――「明日キミ」でそらちぃさんや東海オンエアのてつやさんと共演して、いろいろ聞けたのでは?

「いやー、アバンティーズさんと東海オンエアさんの前でYouTubeの話は、恥ずかしくてできなかったです(笑)。空き時間にサムネを書くのも隠れてやってました。でも、そらちぃクンが見にきてくれて、せっかくだから何パターンか書いたサムネを『どれがいい?』と聞いてみたんです。そしたら、『並んだときにこっちが目立つと思うよ』とか、人気YouTuberらしいアドバイスをくれて、すぐそのサムネにしました(笑)」。

――オフの日は何をしていることが多いですか?

「今はYouTubeの編集くらいしかしていません(笑)。全部自分でやっていて、本当に大変。でも、趣味でやっていることを仕事に繋げたくて、メイク検定や色彩検定も取れたらいいなと思ってます。メイク動画を上げたりしたとき、資格を持っていたら説得力があるので」。


――登録者数の目標はありますか?

「何とか10万はいきたいです。大変ですけどね。あと、演技も引き続き頑張って、またキャラクターものもやりたいです」。

 
 


 
 

三戸なつめ(みと・なつめ)

生年月日:1990年2月20日(29歳)
出身地:奈良県
血液型:A型
 
【CHECK IT】
2010年に関西で読者モデルの活動を開始。2015年に中田ヤスタカプロデュースによる「前髪切りすぎた」でアーティストデビュー。2018年から本格的に女優活動。主な出演作は、ドラマ&映画「賭ケグルイ」、映画「パディントン」シリーズ(日本語吹き替え声優)、舞台「鉄コン筋クリート」など。「ごごナマ おいしい金曜日」(NHK/金曜13:00~)、「+music」(MBS/月曜24:59~)に出演中。映画「明日、キミのいない世界で」は1月10日(金)より公開。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「明日、キミのいない世界で」

詳しい情報は「明日、キミのいない世界で」公式サイトへ
 

 

 

 
 
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