PICK UP ACTRESS 森川葵

PICK UP ACTRESS 森川葵

PHOTO=小澤太一 HAIR&MAKE=石川奈緒記
STYLING=武久真理江 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

「ロミオとジュリエット」で初舞台
宮藤官九郎の演出で新境地に挑む

 
 

――「ロミオとジュリエット」は森川さんの初舞台となりますが、舞台を観に行くことはありました?

「大人になってから観始めました。友だちの出る舞台を観に行くようになったんですけど、自分の生活の中で馴染みのあるものではなかったですね。やっと入り込んでくるのかもと、今思っています」。

――女優さんとしては、そろそろ自分もやる時期だと?

「そんなふうには全然思ってなかったです。高畑充希ちゃんの舞台を観たりして、映像とは違う役者さんがそこにいる存在感や迫力をすごく感じて、『面白そうだな』とは思いましたけど、『大変そうだな』というのもあったので。タイミングさえあればやってみたい感じだったので、そのタイミングがちょうど今来たんだなと思います」。

――とりあえず稽古に備えた準備は何かしてますか?

「私、本当に舞台というものを知らなすぎて、蒼井優さんに『稽古ってどういう格好でするんですか?』ということから聞きました(笑)。普通にTシャツにジャージの人もいれば、ジュリエット役だとフワッとしたスカートのことが多いから、レッスン用のそういう服を着る人もいるみたいです。あと、『ここのシューズはいいよ』みたいなことも教えてもらいました」。


――演技的に課題になりそうだと思うことは?

「始めから終わりまで、台詞を覚えていられるのか(笑)。今まではシーンごとに撮ることしか、やってなかったので」。

――出演が決まったときのコメントでは「考えるだけで胃が痛くなる」とありました。

「舞台のことを考えると、本当に呼吸が苦しくなって、お腹の辺りがウッとなります。そういう感覚は初めてでした。お仕事は17歳からやってきて、ドラマや映画だとやることが何となくわかりますけど、舞台は初めてで何をするのかわからないので。23歳になって、そんな初めてのことにチャレンジするので、自分を苦しくさせたり、緊張させるんだと思います」。

――度胸はあるほうではないですか?

「どうなんですかね? 昔から『度胸はあるよね』と言われますけど、そういうふうに見えても、意外と縮こまりやすいタイプで、心の中では『大丈夫かな? 心配だな……』となっていることも結構あります」。

――ドラマや映画のときでも?

「そうですね。緊張というより、考えすぎちゃうんです。『おはよう』というひと言の台詞を『どうやって言おう?』とか、意外と考え込んじゃうタイプです」。

――逆に、舞台で楽しみなことはありますか?

「気持ちの流れとかは一連で最後まで行けると聞いてます。ドラマや映画だとシーンごとに撮影するから、お話の順番通りには行かなくて、前後が逆転するじゃないですか。カットごとに割って撮ると、前に撮ったカットのときの気持ちに持っていかないといけない。でも舞台はお話の順序のまま、ずーっと通してできる。城田優さんからは、『お芝居が好きで、スイッチが入ったらその世界にいるタイプなら楽しいはずだから、葵ちゃんは好きなんじゃない?』と言われました。果たして自分がそこまで行けるのか楽しみです」。

――上演する下北沢の本多劇場は知ってました?

「上京してすぐの頃は、古着が好きなので下北沢にお買い物に行ったり、友だちと集合してごはんを食べたりしてました。本多劇場も聞いたことはありましたけど、どこにあるかは実は知らないんですよね(笑)。調べておきます」。

――古典劇の「ロミオとジュリエット」ですが、今回の演出は宮藤官九郎さん。そして、ジュリエット役の森川さんとロミオ役の三宅弘城さんの年齢差は27歳です。

「(取材日の時点で)まだ台本を見てなくて、どうなるのか正直ちょっと不安はあります。でも宮藤さんが演出ということで、周りには『普通にやっても面白くないわけがない』と言われます。ロミオとジュリエットを27歳差のままやっても、きっと面白いものができそうだとは、私も何となく感じています」。


――宮藤さん監督の映画「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」に出演したとき、意表を突かれた演出はありました?

「そのときは私の場面で派手にやることはなくて、『こんなことを?』みたいな演出はなかったです。でも宮藤さんには、“扉をほんの少し開けてくれる人”という印象があります。全部パッと開いてくれるのではなく、スッと開けて『こんなところに入口があったんだ』と気づかせてくれます」。

――具体的には、どんなことに気づかされたんですか?

「ドラマの『ごめんね青春!』で、宮藤さんは脚本だけでしたけど、私が演じた阿部あまりというキャラクターがすごく自分に合っていて、コメディ的な部分を少し開けてもらった気がします。『TOO YOUNG TO DIE!』でも、私は地獄のほうには行ってなくて、たくさん出たわけでもなかったんですけど、周りの方には『面白かった』と言っていただきました。宮沢りえさんの高校時代という役柄も違和感なかったみたいで、やっぱり宮藤さんはみんなの知らない私の一面を開けてくれる方ですね」。


――今回「ロミオとジュリエット」をやるに当たって、宮藤さんと話はしました?

「ポスター撮影のときに久々にお会いして、『私、本当に舞台がわからなくて、どうしたらいいですかね?』と聞いたんですよ。そしたら『うん。頑張って』と言われて、『エーッ!?』となりました(笑)。でも、帰られる直前に『僕は初めての人は得意だから安心して』と言われました」。

 
 

最近は積極的に人と会うようになって
自分の中では革命的なことなんです(笑)

 
 

――今まで「ロミオとジュリエット」という作品に触れたことはありました?

「子どもの頃はなくて、後に映画で観ました」。

――レオナルド・ディカプリオ主演の現代版の「ロミオ+ジュリエット」ですか?

「そうです。瞳が美しいな……と思いながら観てました(笑)」。

――ジュリエット役もいろいろな女優さんがいろいろな形で演じてきました。

「そうですね。でも、自分のジュリエットになればいいと思います。どんな感じのジュリエットになるかは、まだわかりませんけど、自分らしく自分なりにやれたら……。とりあえず人に嫌われない、愛されるジュリエットになりたいです」。

――ポスターの写真を撮ったときは、何か意識しました?

「髪型やお洋服をヒラヒラでフワーッとしたお嬢様っぽい感じにしてもらったので、そこに合わせていく感じでした」。

――実際、ジュリエットは旧家の一人娘です。

「そこはきちんと意識しながらやりたいと思います」。


――そういうお嬢様要素は、森川さんの中にあるもの?

「いやいやいや。まったくないです。そんな家庭ではないし、パーティーとかも全然行ったことがなくて、わからないです」。

――舞踏会も行ったことはありませんか(笑)?

「ないです。日本で行われているんですかね(笑)?」。

――ロミオとジュリエットは舞踏会で出会って恋に落ちましたが、そういう運命的な出会いはあると思いますか?

「あると思います。女性でも男性でも『あっ、私、この人好きだな』というのは、現場で顔合わせや本読みで初めて会ったときにも感じるので。私はパッと仲良くなるのは、なかなかうまくいかないんですけど、『合うだろうな』みたいなのはあります」。

――女優さん仲間でもありました?

「黒島結菜は初めて会ったときからすごく落ち着いてましたけど、『私とは絶対合うな』と思っていたら、本当に今、同世代で一番仲がいいくらいになりました。今回の舞台が決まってから、ボイトレの先生を紹介してくれました」。

――共演者にはクセの強い方たちが名を連ねていますが、稽古に入ったら、どうコミュニケーションを取っていきますか?

「どう取ったらいいんですかね(笑)? でも、最近蒼井優さんと仲良くさせていただいて、優さんが池津(祥子)さんと仲がいいみたいで、『葵ちゃんと会うのを楽しみにしてる』と優さんづてに聞きました。まず共通の知り合いがいるということで、池津さんから徐々にお近づきになりたいと思います」。

――本番でアドリブが繰り出されそうな感じもします。

「お芝居のアドリブには、私も反応しちゃうと思います。本番の舞台に上がって、お客さんがいる状態でどうなるかは未経験でわかりませんけど、そういうやり取りをすることは好きなので、皆さんについていきたいです」。


――そういうのも舞台の醍醐味のひとつですよね。

「瞬発力は必要になると思います。私は普段バラエティに出たとき、ポンと聞かれたことにポンと返すのはうまいほうではないので、何かボールが飛んできたら、すぐキャッチして返せる瞬発力は、磨いていきたいです」。

――「ロミオとジュリエット」とはいえ、笑いが起きるかもしれません。

「私、映画で皆川(猿時)さんと一緒にフルートを吹くシーンがあって、もう面白すぎて本番中なのに笑いがこらえられなかったんです(笑)。そこは一発勝負の舞台ではしっかりしなきゃと思います。爆弾があっちこっちに転がっていて(笑)、しかも私はツボに入ると笑いが止められなくなっちゃうので、ちゃんと切り替えます」。

――楽しい舞台になりそうですね。

「私自身も楽しみです。自分が出てなくて、こういう舞台をやっていたら、観に行きたいと思うだろうし、舞台を好きな方なら絶対に気になるはず。その期待に応えたいですし、それ以上のものがこのキャストなら絶対出来上がる気がします。舞台をやったことのない私が入って、これまでにない空気が生まれて、プラスに働いたらいいなと思います」。

――舞台の他には、最近始めたようなことはありますか?

「私は人と会うのがあまり得意ではないんですけど、たくさん会ってみようとチャレンジしています。素敵な人たちが周りにいるのに、その人たちのことを知らないまま、自分1人の世界に閉じこもっているのはもったいない気がしたんです。根本的には1人が好きなタイプなので、いつまで続くかわかりませんけど、今はとにかく共演の方たちと仲良くなりたい気持ちがすごく強いです」。

――仲良くなるために、どんなことをしているんですか?

「最近ちょいちょい、先輩女優さんとかに『○日は空いてませんか?』と連絡してます。私にとっては革命的なことなんです(笑)。これまでは『何のために連絡先を交換するんだろう?』くらいな感じで、結局、連絡も取りませんでしたから」。

――それで蒼井優さんとも仲良くなったんですか?

「はい。優さんは現場で先に声を掛けてくださったので、『この方はきっと大丈夫』というのがあって、今は本当にお世話になっています。性格が合う・合わないはあるし、お仕事でご一緒するのが楽しくて、あえてプライベートまで足を踏み入れたくない方もいますけど、プライベートも知ってみたい方には自分から積極的にアプローチを掛けています。本当に自分の中では今、革命が起きています(笑)」。


 
 


 
 

森川葵(もりかわ・あおい)

生年月日:1995年6月17日(23歳)
出身地:愛知県
 
【CHECK IT】
2010年に「Seventeen」(集英社)の専属モデルとしてデビュー。2012年に女優デビュー。主な出演作は映画「渇き。」、「おんなのこきらい」、「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」、「恋と嘘」、「リバーズ・エッジ」、「OVER DRIVE」、ドラマ「ごめんね青春!」(TBS系)、「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(フジテレビ系)、「賭ケグルイ」(MBS・TBS)、「明日の君がもっと好き」(テレビ朝日系)など。ドラマ「GIVER 復讐の贈与者」(テレビ東京系/金曜24:12~ ほか)、「文学処女」(MBS/日曜24:50~、TBS/火曜25:28~)に出演中。11月20日(火)~12月16日(日)に本多劇場で上演される舞台「ロミオとジュリエット」」(東京公演後、新潟、大阪、愛知で上演)に出演。2019年公開予定の「映画 賭ケグルイ」、「耳を腐らせるほどの愛」に出演。
詳しい情報は公式HPへ
 

「ロミオとジュリエット」

作:W・シェイクスピア 翻訳:松岡和子 演出:宮藤官九郎
11月20日(火)~12月16日(日)本多劇場
12月19日(水)りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場
12月22日(土)~24日(月)サンケイホールブリーゼ
12月26日(水)~27日(木)刈谷市総合文化センター・大ホール

詳しい情報は「ロミオとジュリエット」公式HPへ
 

 
 

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