PICK UP ACTRESS 中田青渚

PICK UP ACTRESS 中田青渚

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

下北沢での日常を描く「街の上で」に出演
主人公に近づく映画の衣装担当役を関西弁で

 
 
――“青渚(せいな)”さんって本名ですか?

「本名です。母が青色が好きで“渚”はただマッチしたんだと思います」。

――素敵なお名前ですが、なかなか読まれにくかったりもしません?

「地元では幼稚園から小学校、中学校とみんな一緒だったので、そういうことはなかったんですけど、東京に出てきてからは、よく『何て読むの?』と聞かれるようになりました」。

――血液型は何型ですか?

「O型で、ちょっと大雑把な性格ですね(笑)。細かいことが得意ではなくて、いい意味で何も気にしないというか」。

――部屋が散らかっていても気にしない?

「忙しいときは散らかして、一気に片付けることが多いです。ひとつ下の弟がきれい好きで、私の部屋を見ただけで『早く片付けて!』と言われてました(笑)。でも、東京で暮らし始めてからは、だいぶ家の中がきれいになりました」。

――実家のときより乱れたのではなく?

「『自分の家だから』と自覚が出たんだと思います」。


――映画「街の上で」では、主人公の荒川青(若葉竜也)が出演した自主映画の衣装スタッフのイハを演じて、関西弁で喋ってました。

「地元の兵庫の言葉です。最初の台本では標準語で書かれていたんですけど、今泉(力哉)監督と話しているうちに、『関西弁のほうがナチュラルに聞こえる』ということになって、私が関西弁で読んで書き直してもらいました」。

――イハのカラッとしたキャラも、青渚さんの素に近いんですか?

「イハはつかみどころがない面もあって、私は初めて会った男の人を家に入れたりはしませんけど(笑)、あっけらかんとした感じは私に似てると思ってました。でも試写の後、プロデューサーさんに『やっぱり全然違うね』と言われました」。

――どこが違っていたんですかね?

「イハは仲良くなるにつれて、どんどん関西弁が出て、ちょっとキツく聞こえて。そこが私と違っていたみたいです」。

――ということは、青渚さんはもっとやさしい感じだと?

「そう言われて、誉められた感じがしました(笑)」。

――演じる上で意識したことはありますか?

「青とのシーンが多かったんですね。特に家に男女が2人でいると、ちょっといやらしく見えたりもするじゃないですか。そこはそう見えすぎないほうがいいと思いました。かと言って、男女のドキドキ感がなさすぎても面白くないから、ちょうどいい具合になるように監督と話しました」。

――難しいところですよね。そのためにどうしたんですか?

「言葉が最初のほうは標準語っぽい関西弁で、仕事モードみたいな感じですけど、イハの家で話す17分の長回しのシーンの最後のほうになるにつれ、同じ関西弁でも乱暴っぽくしました。ツッコミが鋭くなったり、声がちょっと低くなったり、そういうところで仲良くなったのを表現したのと、女っぽくない言葉で友だち感を意識しました」。


――あの青とイハの会話は、映画の最も印象的なシーンのひとつですが、長回しだったんですね。

「映画では途中で他のシーンが入りますけど、現場では通しで最後まで撮りました。私は長回しは初めてで、台本を読んで『大丈夫かな……』と緊張してしまって。若葉さんとお会いするのも初めてだったから、コミュニケーションを取っておこうと、現場で話し掛けるようにしていました」。

――本番の途中で噛んじゃったりはしませんでした?

「噛んだのがそのまま使われています。噛んでも『あっ!』という感じにならなければ、会話は自然に流れていくので」。

――何テイクも撮ったわけではなく?

「1回だけです。たぶん1回でないと、あの雰囲気は出なかったと思います」。

――ああいう恋バナは友だちとしますか?

「私、恋には全然疎くて、友だちの話を聞くだけです。高校は恋愛禁止で、今通っている大学は8割くらい女子なので。20歳になったので、演技のためにも恋愛はしておいたほうがいいとは思いますけど……(笑)」。

――台詞でイハの言っていたことは納得できました? 「寂しさがコントロールできないから、そんなに好きじゃない人とつき合った」とか。

「経験はないですけど、そういう気持ちは理解できます」。

――「つき合ってなかったら何でも話せるのに、異性として意識したら話がつまらなくなる」というのは?

「私はそれが一番わかりました。ずっと友だちと思って接してきたのに、急に男女の雰囲気になる瞬間ってあるじゃないですか。あれがすごい苦手。だから私は恋愛にならないのかなと思います」。


――恋愛に対する憧れもないですか?

「少女マンガは結構読んでいて、主人公の気持ちでワーッとなりますけど、自分自身に置き換えると『どうなんだろう?』と。想像ができません」。

――マンガを読んでいて、キュンとくることはあるんですか?

「それはあります。壁ドンとかは私には早いと思いますけど(笑)、自転車の2人乗りとかナチュラルなのに憧れます」。

 
 

意気込むほどうまくいかないので
力を抜くことを意識して演じました

 
 

――青のことは青渚さん目線ではどう思います?

「かわいいと思います(笑)。女子的に母性に触れるのかもしれません。男性から見たらどうですか?」。

――もうちょっとシャキッとしたほうがいいのではと。

「やっぱりそうですよね(笑)。確かにナヨナヨしている気はしますけど、たぶん女子からすると、そういう不器用な姿もかわいく映ります」。

――劇中では、そもそもイハが映画撮影の打ち上げで青の隣りに来たのは、何か意図があったんですかね?

「青が馴染めてなくて、イハもそうだったから、何となく馴染めてない者同士で通じるものがあったんじゃないかと思います」。


――「私もアウェイなんで」と言ってましたね。

「関西弁で何となく誰とでも馴染めそうな雰囲気はありますけど、打ち上げの居酒屋で馴染めてなかったのは、イハの中で仕事とプライベートを無意識に切り替えているのかなと。だから、友だちが少ないような気がします。声色を仕事とプライベートでちょっと変えて、そういうのも表現するようにしました」。

――青渚さんは撮影当時は年齢的に、居酒屋シーンでの振る舞いは未知だったのでは?

「イハは日本酒を頼んでましたけど、私はもちろん飲んだことはなくて、ひと口でどのくらい飲むものかとか、若葉さんに教えていただきました。お酒に強い設定だったので、酔っぱらった演技は必要なくて、一気に飲まないことだけ気をつけました」。

――全般的に、今泉監督から言われたことはありましたか?

「最後のほうのイハや青たち5人が集まった修羅場のシーンで、私が緊張して表情が固まったり作っちゃっていたときに、『リラックスして。力を抜いて』と言われました。あのシーンは他の方も『面白くしなきゃ』と力んでいて、監督に言われてほぐれたところはありました」。

――もともと監督の作品を観たことはあったんですか?

「これに出ると決まって、『愛がなんだ』を観ました。監督の作品は生っぽいというか、力んでいくと自分だけその世界から浮いてしまいそうで、余計に緊張しました」。

――普通にやるのが一番難しい、ということで?

「そうですね。『やるぞ!』と意気込むほどうまくいかないので、力を抜くことを意識しないといけないかなと。頑張る気持ちが空回りしないように」。

――現場で悩むこともありました?

「撮影に入って悩んだというより、事前の準備をしっかりやらなきゃいけない気持ちが大きかったです。台詞をちゃんと入れて、どういうふうに喋るか。ツッコミはどんな具合にするか。声をどれくらい低く出すか。語尾をどの程度乱暴に投げるか。そういうことを考えました」。


――自然体の演技の裏で、いろいろ考えていたんですね。

「たくさん考えて体に染み込ませたから、自然体になれたと思います」。

――出来上がって試写を観たときは、どんなことを感じました?

「自分の中の青のイメージと映画の中の青はちょっと違ってました。青はイハにはどう思われてもいい感じで、元カノの雪との恥ずかしい話もぶっちゃけてましたけど、雪とのシーンではイハに全然見せなかった顔をしていて、より人間っぽさが出てました。同時に友だちの恋愛を覗いちゃったみたいで、ちょっと恥ずかしかったです(笑)」。

――作品の舞台の下北沢には馴染みはありました?

「ほとんど行ったことがなかったです。だから撮影に入る前に、大学の友だちと雰囲気を見に行たんですけど、すごく馴染みました。たぶん誰でも受け入れてくれるような街で、渋谷だと慌ただしいのに、下北は時間がゆっくり流れている感じがして。それが私に合っている気がしました」。

――よく行く街や好きな街というと?

「私は出身が神戸の山のほうで、信号機もないし、コンビニも潰れてしまった田舎だったので、都会にいると疲れちゃうんです。今住んでいるところは下町っぽくて、近所の商店街には古い八百屋さんやたい焼き屋さんがあって、おじいちゃんやおばあちゃんがお散歩しているんですね。そういうゆったりした雰囲気の街が好きです」。

――神戸の街のほうもいいところですよね。

「私は中学までしか地元にいなかったので、街のほうには行ったことがないんです。ほとんど自分の地域の中にいて、遊ぶのも鬼ごっことか(笑)、野性的なことしかしませんでした」。


――じゃあ、上京したときは戸惑いも?

「みんなの歩くスピードが速すぎて、集団で信号待ちしていて一斉にスタートしても、置いてかれることがよくありました(笑)。渋谷の交差点はビックリでしたね。ぶつかりそうで怖かったです」。

――今は休みの日はどう過ごしているんですか?

「ほとんど家から出ません(笑)。誘われたら遊びに行きますけど、自分から友だちを誘って遊ぶことはないですね。服にも全然興味なくて、家で溜まった録画を観たり、掃除をしたり、普通のことしかしていません(笑)」。

――自分磨きでしたいことはないですか?

「最近思うのは、お芝居をする上で、人間力ってすごく必要だなと。普通に暮らしている中で、たとえばお皿洗いを溜めないとか、根本的な生活の質を高めて、人間としてちゃんとしていきたいなと思います」。

 
 


 
 

中田青渚(なかた・せいな)

生年月日:2000年1月6日(20歳)
出身地:兵庫県
血液型:O型
 
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2014年に「第5回Sho-comiプリンセスオーディション2014」でグランプリを受賞。2016年にドラマ「ラーメン大好き小泉さん2016新春SP」(フジテレビ系)で女優デビュー。主な出演作はドラマ「セトウツミ」(テレビ東京系)、「dele」(テレビ朝日系)、「中学聖日記」(TBS系)、映画「3月のライオン 後編」、「写真甲子園0.5秒の夏」、「ミスミソウ」、「見えない目撃者」など。映画「街の上で」は近日公開。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「街の上で」

詳しい情報は「街の上で」公式サイトへ
 

 

©「街の上で」フィルムパートナーズ
 
 

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