FRESH ACTRESS 大幡しえり

FRESH ACTRESS 大幡しえり

PHOTO=mika INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

「監獄のお姫さま」で新人刑務官役
大きな瞳が印象的な注目の19歳

 
 

――インスタによると、1カ月でカギを2コなくしたそうで。

「ハハハハ(笑)。いや、笑いごとじゃないんです。眠かったりして意識が朦朧としちゃうと、自分で何をしているかわからなくなっちゃって……。それでいつの間にかカギを落として、トータルでは3コなくしました」。

――他にも、そういうドジ的なことをしがちとか?

「やります。常に何かが『ない!』って探しています。家の中でなくすこともあるし、荷物に入れて持ってきたはずなのに、目的地に着くまでにどこかに落としていたりすることもあるし……」。

――携帯をなくしたりも?

「落としたことはあります。新しいのを買おうと思ったら、警察署から電話が来て『落とし物で届いてます』ということで、『ああ、良かったな』となりました」。

――去年スカウトされて芸能界に入ったそうですが、自分でも興味はあったんですか?

「始めはまったくなかったです。何回かスカウトされてから少し興味が出ました。あと私、中条あやみさんがすごく好きなんです。最初は雑誌の『Seventeen』で見たのがきっかけで、その後、中条さんの映画も観て、芸能界への興味も大きくなりました」。


――普通にドラマを観たりは?

「去年の『砂の塔~知りすぎた隣人』とか、今年の『母になる』とか、気になるのは観ます。恋愛モノも観ますけど、感動して心に残る感じのドラマが好きです」。

――スカウトされるまでは、どんな高校生活を送っていたんですか?

「学校はもう全部が楽しかったです。友だちがテンション高い子ばかりで、たまたまクジで後ろの席に固まったんですけど、本当は1コずつ離れている席をくっつけて、おしゃべりしてました。授業も毎回楽しかったです」。

――勉強も好きだったんですか?

「自分で勉強するのが好きなわけではないですけど、授業はちゃんと聴いていました。ノートもちゃんと取っていて、なのにテストの点はそんなに良くないという(笑)。数学とか問題を解いて、わからなければ挙手して、よく質問しました。先生に『またお前か!』と嫌がられるくらいに。なのに、授業中にずっと寝ている子のほうが全然成績が良くて、みんなに『しえり、何してるの?』ってバカにされてました(笑)」。


――部活は中学でテニス部、高校で書道部だったんですよね? どうしてそういう流れになったんでしょう?

「小学2年から習字をやっていて、中学生になってからソフトテニス部に入って、部活が忙しかったから、習いごとをする暇がなくなっちゃったんですね。それで、テニス一本で頑張りました。高校でもやろうかと思っていたんですけど、中学でやり切ったので、高校ではまた好きな書道をやりました」。

――もともとが書道だったんですね。テニスは中学で「やり切った」と言えるぐらい、打ち込んだんですか?

「埼玉県でベスト8まで行って、あと一歩で関東大会でした。そこはちょっと悔しかったんですけど、私たちが負けた学校が全国大会まで行ったので、仕方なかったかなと思います。レベルが一段上だと感じました」。

――秋クールでは「先に生まれただけの僕」に「監獄のお姫さま」とドラマ2本に出演してました。「先僕」では特進クラスの2年3組で、クラスメイト役の人たちとはすぐ仲良くなれました?

「私はもう高校を卒業していて、他の子たちは現役高校生がほとんどだったのに、撮影初日から話し掛けてくれました。自分も意外と溶け込めて、結構しゃべれたんです。一番自分と合わないかなと思っていた子と、一番会いたいと思うくらい仲良くなったりして、『人と関わることは大事だな』と思いました」。

――現場で楽しく過ごせたと。

「すごく楽しかったです。現場まで他の子と一緒に行ったり、遊んだり、また高校生になった気分でした」。


 
 

あいさつの仕方に役が
染み付いてたみたいです

 
 
――「監獄のお姫さま」のほうでは刑務官という意外な役柄でした。

「今年4月クールの『女囚セブン』に女囚役で出させていただいて、今度は刑務官。1年に刑務所関係の役を二つやらせていただけるのは自分だけじゃないかと、ビックリしました(笑)。高校生役とかではなくて刑務官と聞いて、『この年でなれるの?』とも思ったんですけど、高卒で試験に受かればなれるみたいですね」。

――刑務官のDVDを観て、振る舞いとかを勉強したそうですね。

「はい。刑務所の1日とか刑務官の仕事とか受刑者の生活とかが出ているDVDを観ました。朝がすごく早いらしくて、6時に部屋の点呼があるので『刑務官は何時に起きてるの?』と思いました。公務員なのに勤務内容が厳しくて、受刑者との距離、敬礼の仕方、声の出し方とか、覚えることがたくさんありました。新人刑務官の慣れてない感じはあって良かったんですけど、本当に慣れるまでには時間がかかりそうですね。ドラマの中では時間経過が速くて、撮影を始めて1カ月や2カ月で3年後とか4年後の話になったので、その間の時間を自分の中で埋めるのが大変でした」。

――敬礼とかは様になってました。

「撮影の半ばの頃、監督にあいさつしたら、『礼の仕方がキリッとしていて刑務官っぽいね』と言われました。役が染み付いているのかと思って、ちょっとうれしかったです」。

――自分で刑務官らしさを意識した部分も?

「基本、若井先輩をマネしました。後輩役だから、声の出し方から全部、若井先輩のお芝居を見て、そのままマネした感じです」。


――若井役の満島ひかりさんは屈指の実力派女優なので、絡むのは緊張しました?

「絡む前に満島さんがたくさん話し掛けてくださったので、思ったほどは緊張しませんでした。私の初日が3話で『法務事務官看守の高山沙也香は本日付けで……』とあいさつして初めて出たところで、すっごい緊張して連続5回くらい噛んじゃったんですね。もう『どうしよう……』って頭がこんがらがっちゃって……。そしたら満島さんが『確かにこれは噛むよね。早口言葉みたいだね』って笑ってくれたんです。怒ってないか気にしていたら全然そんなことなくて、助けていただいて本当に感謝してます」。

――劇中では、高山が独房のカギを掛け忘れて脱走騒動が起きて、若井に問い詰められてテンパってウソをついていたところがリアルでした。

「満島さんが、本当に怒られていると感じるくらい責め立ててくれたので、リアクションしやすかったです。自分の素が出ちゃいそうでした。私もさっき言ったように抜けてるところがあるので、そこは高山と似てるかなと思いました」。

――受刑者のおばさんたちには「マニュアル娘」と呼ばれていましたが、そういう行動は、しえりさんの世代には普通な感じですか?

「全員がそうではないですけど、言われたことだけをやる感じは、私たちの世代にはよくある気がします」。

――そんなマニュアル娘も、受刑者の馬場カヨと検事の獄中恋愛に絡んで、やさしい面も見せてました。

「そうですね。カヨさんに幸せになってほしくて、検事さんと別れ話をしていたときに、若井さんのように『そうでしょうか?』と言ったり……。面会中に立ち合った刑務官が言葉を発するのって、たぶんすごくいけないことですけど、そこでカヨさんのことが好きなんだろうなと思いました」。


――そこでさっき出た何年か経った分の高山の変化を出して?

「マニュアル娘のときとカヨさんに寄り添っているときで違いを出しました。刑務官って声を掛けていても、掛けてないみたいじゃないですか」。

――まさにマニュアル通りに言ってるだけ?

「そうですね。高山も相手に投げ掛けてはいないような言い方をしています。そこを人として投げ掛けるように、気持ちを送るように言おうと思いました」。

――演じていて、女優としての楽しさも感じました?

「楽しさというより、今回はどこまで役を作れるかが大事だと一番に感じました。でも、初めは『失敗しないように』と考えていたのが、だいぶ楽に高山を演じられるようになってきました」。

――スカウトされてからそんなに時間が経たないうちに、映画やドラマに続けて出演して、自分自身も大きく変わりました?

「変わったと自分では思っています。前は人見知りだったのが、初めての人でもしゃべっていると意外とサッと言葉が出てくるようになりました。特に意識をしているわけではなくて、言い終わったあとに自分で『なんでこんなに言えたんだろう?』と思うこともあります」。

――来年はどんなことを頑張っていきますか?

「演技のことも大事ですけど、その前にもっと人間的に成長したいです。いろいろな経験をしたほうがいいと、すごく感じるので。人と関わったり、どこかに出掛けたり、行動範囲を広げたいです」。

――今の行動範囲は?

「狭いです。家から出ません(笑)。年末年始も引きこもってます」。

――家では何をしているんですか?

「最近は配信されたばかりの『どうぶつの森』をやっています」。


――流行りの「ポケ森」ですね。

「去年流行った『ポケモンGO』はやってなかったんですけど、『どうぶつの森』はたまたまスマホに入れたら、ハマっちゃいました」。

――そうすると、ますます家にこもりがちに?

「そうですね。ひたすらキャラクターのお願いごとを叶えてます(笑)。でも、ジムには行くようにして、頑張って走ったりしています。運動しないと体が重くなるし、気分的にも落ち込んじゃうので、走って発散させようと思ってます」。
 
 


 
 

大幡しえり(おおはた・しえり)

生年月日:1998年11月5日(19歳)
出身地:埼玉県
血液型:B型

 
【CHECK IT】
2016年秋にスカウトされて、2017年3月公開の映画「ひるのなかの流星」で女優デビュー。ドラマ「女囚セブン」(テレビ朝日系)、「先に生まれただけの僕」(日本テレビ系)、「監獄のお姫さま」(TBS系)に出演。
詳しい情報は公式HP
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