PICK UP ACTRESS 岡崎紗絵

PICK UP ACTRESS 岡崎紗絵

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

映画「mellow」でヒロインのラーメン店主役
恋愛群像劇で花屋の男性に想いを寄せる

 
 

――映画「mellow」でヒロインの古川木帆を演じていますが、ラーメン屋の役が来るとは思わなかったのでは(笑)?

「そうですね。タオルを首に巻いてTシャツの中に入れたりする衣装も初めてで、新鮮でした」。

――ラーメン屋に馴染みはありましたか?

「全然あります。結構行きます。さっぱり系の塩ラーメンが好きで、大阪でドラマの撮影をしていたときは、揚子江ラーメンにハマりまくりました(笑)。私の地元の名古屋でいうとスガキヤラーメンみたいに、大阪ではみんな知っていて、もうおいしすぎて4日連続で行きました(笑)」。


――カロリーとか気にせずに?

「夜11時過ぎに行ったりもしたので、次の朝が早いとムクんじゃうから、さすがにちょっと危ないときもありました。セーブしないといけないんですけど、それでも食べたくなるくらい、おいしかったんです(笑)!」。

――「mellow」はオシャレな花屋を営む夏目誠一(田中圭)と木帆らの恋愛群像劇で、ラーメンの話がメインではありませんが、作り方は練習したんですか?

「撮影が始まる前に、お世話になるラーメン屋さんに監督やスタッフさんたちとお話を聞きに行って、食材の切り方や調理器具の持ち方を教えてもらいました。ザルがちょっと変わっていて、よく湯切りを見るお椀型を想像していたら、私は見たことがなかった平ザルという大きいもので、扱い方が全然違うんですね。重みも結構あって慣れが必要で、買って家で練習でラーメンを作ったりしました。本編にそのザルを使うシーンはなかったんですけど(笑)」。

――でも、ラーメンを作るシーンは様になってました。

「長年やっている本当の店主の方から見たら全然ペーペーですけど、木帆は亡くなったお父さんからラーメン屋を継いで2年めくらいの設定なので、それくらいの技量に見えていたら良かったです」。

――劇中の夏目は木帆を始め、いろいろな女性に想いを寄せられますが、紗絵さんとして見ても、惹かれるところはありました?

「本当に心やさしい方で、本人が気づいてないところにまでやさしさが出てますよね。男性のお花屋さんで、お花には旬があって繊細なので扱いを細やかにしないといけなくて、そういうことができる男性は素敵だと思います」。

――繊細という部分では、夏目は木帆のラーメン屋で他のお客さんが別れ話をしているのを聞いて、泣いたりもしてました。

「あれは『どうした?』みたいになるかもしれません(笑)。他人のケンカを聞いて泣くって、なかなかないですよね。好きな人が泣いたら『やさしいな』と思うかもしれませんけど、全然知らない人が見たら『えっ? 何?』ってビックリしそう。でも、夏目さんはそこまで人の気持ちに寄り添う方なので、魅力はあります」。


――木帆は夏目への想いをなかなか伝えませんでした。

「『どうしようか?』という話を、カフェで大学時代の同級生としていて、『離れるから伝えるってエゴだよね』と言ってました。たぶん木帆ちゃんは自分の芯があって、そこは簡単に曲げないタイプですけど、人との関わりの中で変わっていって。私たちが普通に生きていても、人のひと言で変わったりしますよね? そういうところが、最後に木帆ちゃんにも見えました」。

――「ほとんどの“好き”は表立ってやり取りされない」という台詞もありました。

「私もそうだろうなと思います。伝えなくても滲み出て、丸わかりのこともありますけど、普通は伝えない限り、わからないので」。

――紗絵さんもそういう想いは伝えない?

「向こうから言ってもらえると嬉しいです(笑)。でも、私は言おうとするかもしれません。モヤモヤした気持ちを残しておきたくないので。そういう状況になったら、言わないよりは言ってダメだったほうがいい気がします」。


 
 

日常を切り取って積み重ねる作品で
演技の引き出しが増えて良かったです

 
 

――今泉力哉監督に関しては、もともと「愛がなんだ」を何度も観たそうですね。

「すごく好きな作品でした。それまではお話の波が大きくて、わかりやすい映画が好きで、何かを匂わして『皆さんで考えてください』みたいな映画には、ちょっと苦手意識があったんです。でも、『愛がなんだ』は平坦なお話でも本当に共感できるし、いろいろな部分が見え隠れするところがすごく面白いなと思いました」。

――今回の「mellow」でも、そういうエッセンスは感じました?

「そうですね。私が今までやってきた作品とは、全然タッチが違いました。今泉監督の映画は日常を切り取って積み重ねていくので、その日常を取り込んだ演技が、いざやってみると簡単にはできなくて。いかにも台詞を言ってる感じになってしまったり、言い回しが全然違ったり。自然に演じることがいかに難しいかを知れて、監督の世界を掴めたら引き出しが増えました。この現場に入れて良かったです」。


――日常といえば、木帆が昔行っていた美容院に入って、おばさんと話すところは、何でもないシーンではありましたが、胸に残るものがありました。

「あそこは木帆ちゃんが留学を決めて、『自分も変わりたい』と思った瞬間だった気がします。女性って失恋したら髪を切るとか、あるじゃないですか。そこは共感できるところで、昔から通っていた美容院で髪型を変えたのは、心境の変化の現れだったと思います」。

――紗絵さんは木帆のように、人生で大事だった何かを終わらせたことはありますか?

「家が転勤族だったので、習いごとでも終わってしまうことは結構ありました。違う場所でまたスタートしたので、完全に終わることはなかったんですけど。終わらせたいのは、自分の面倒くさがりなところです(笑)」。

――今はそんなに面倒くさがりなんですか?

「はい。家から出るのが面倒で、動かなかったりします(笑)。1人映画とか好きですけど、全部自分で決めるから、なしにもできるじゃないですか。約束がなければ『面倒くさいから今日はいい』って終わらせてしまうことが多くて。家から出ないと何も起こらないし、長い目で見たら何か起きたほうが面白い人生になると思いながら、家でヌクヌクしているのが好きなんですよね(笑)。何かを起こすために、面倒くさがりを終わらせたいです」。

――そう言えば以前、「アイロン台を出すのが面倒で、自分の膝の上に服を置いてアイロンをかけたら、足にやけどをした」と話してましたね(笑)。

「面倒くさがりの極みですね(笑)。アイロン台がすぐそこにあるのに出さないで、膝でアイロンをかけるという。そういうところが本当にダメで、夏目さんの細やかさを見習いたいです」。

――最近でも何か、その手のことはやらかしました?

「忘れ物はよくします。あまり確認しないで出ちゃうので。この前は家に妹がいたのでカギを持たずに出ちゃって、帰ったときも妹がいたから家に入れましたけど、いなかったら締め出しの刑になってました(笑)。そういう確認をちゃんとする大人になりたいです」。


――「mellow」で木帆は建築を学んで、夏目にとっての花、父にとってのラーメンのように「場を作ってみたい」と話してました。紗絵さんには、そういう自分の核のようなものはありますか?

「没頭できるものが欲しいと思っているところです。今までの人生でハマってきたものが少なくて、確固たる好きなものはなくて。ファッションや服はずーっと変わらず好きですけど、何か、より自分の深みになるものが欲しいんです。何回か話してますけど茶道とか、身になるものをやってみたいです」。


――女優業に関しては、この「mellow」にドラマ「猪又進と8人の喪女~私の初めてもらってください~」とヒロインを務めたり、どんどんステップアップしてますね。

「考える幅が広がった感じはします。昔なら考えられなかったこと、気づけなかったことに気づけたり、『こうしたほうがいいな』という事柄が増えたり。そこは成長した点かなと思います」。

――では最後に、“mellow”という言葉から浮かぶのはどんなことですか?

「やさしさ、温かさ……。パッと浮かぶのはそういうことです。この映画でも、恋が叶うか、叶わないかはあまり関係なくて、振られた人も前向きでやさしい気持ちになれているんですよね。現場でもそういうmellowな時間が流れていて、スクリーンからも観てくださる方にやさしさが伝わると思います」。

 
 


 
 

岡崎紗絵(おかざき・さえ)

生年月日:1995年11月2日(24歳)
出身地:愛知県
血液型:B型
 
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「ミスセブンティーン2012」でグランプリに選ばれ、「Seventeen」(集英社)の専属モデルを2015年4月号まで務める。2016年5月号から「Ray」(主婦の友社)の専属モデルに。2015年から女優としても活動。主な出演作はドラマ「嫌われる勇気」(フジテレビ系)、「人は見た目が100パーセント」(フジテレビ系)、「トレース~科捜研の男~」(フジテレビ系)、「パーフェクトワールド」(カンテレ・フジテレビ系)、「猪又進と8人の喪女~私の初めてもらってください~」(カンテレ)、映画「脳漿炸裂ガール」、「ReLIFE リライフ」、「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」、「不能犯」、「午前0時、キスしに来てよ」など。ドラマ「アライブ がん専門医のカルテ」(フジテレビ系/木曜22:00~)に出演中。映画「mellow」は1月17日(金)より新宿バルト9、イオンシネマ シアタス調布ほか全国公開。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「mellow」

詳しい情報は「mellow」公式サイトへ
配給/関西テレビ放送、ポニーキャニオン
 

©2020「mellow」製作委員会
 
 
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