FRESH ACTRESS 大谷凜香

FRESH ACTRESS 大谷凜香

PHOTO=小澤太一 HAIR&MAKE=千葉智子(Rossetto) INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

「ミスミソウ」で女優デビュー
金髪のクラスの女王役で存在感

 
 

――映画「ミスミソウ」で女優デビューとなりましたが、以前からやりたかったんですか?

「ずっとやりたいと思ってました! もともとはお洋服が好きで、二コラモデルとしてこの世界に入ったんですけど、先輩が川口春奈さんとか女優に進んだ方が多くて、周りの同世代の子にも刺激を受けて、演技に興味を持ちました」。

――それがいつ頃?

「中1からお仕事を始めて、中3とかですかね? 『チャンスが欲しい!』と思いながら、映画に出られるまで結構時間がかかりました。仙台に住んでいて、学校にも通っていたので」。

――演技レッスンは受けていたんですか?

「受けたことはないです。『ミスミソウ』がまったくの初演技でした」。

――クラスの女王的存在の小黒妙子役で、オーディションがあったんですよね?

「はい。事前に台本をもらって、お芝居をしました。電話が来て『うるせえ!』とか怒鳴り散らして、一方的に切るシーンとかがありました」。


――手応えはありました?

「いや、全然です。緊張しすぎて、他の人の台詞を待たずに自分の台詞をバーッと言っちゃったりして、ダメだろうと思っていました」。

――内藤瑛亮監督は「妙子役は単にかわいいとか演技が巧いレベルではなく、特別な輝きが必要」ということで、凜香さんを選んだとコメントしてます。原作は読んでいたんですか?

「オーディション前に読んだら、夢に出てきました(笑)。衝撃的なシーンが多くて……。私、小さい頃から本を読むと、頭の中で映像になるんです。ジブリの絵本を読むと、もう映画を観た感覚になるくらいです」。

――ジブリが脳内映像になるのはいいですけど、トラウマ漫画と呼ばれる「ミスミソウ」だと……(笑)。

「頭に残って、何日も離れませんでした(笑)」。

――その中で妙子にはどんな印象が?

「感情表現が不器用な子で、その気持ちを汲み取りながらやりたいと思いましたけど、すごく難しかったです」。

――クールでトガっていて、にこやかな凜香さんとだいぶ雰囲気が違いますね。

「離れている部分も多いですけど、周りの人には『妙子っぽいところもあるよね』と言われました。たぶん私はサバサバしていると思われているんです。妙子もどちらかといえば、そういう子じゃないですか」。


――いわゆる女の子っぽくない感じではありますね。

「そこは似てると思ったし、周りに心を開いてないところも……って、私は開いてないわけではないですけど(笑)、開くのに時間がかかっちゃう。人によっては壁を作ってしまう。私は妙子ほどあからさまではなくて、ニコニコしてますけど」。

――言葉遣いは違いますよね? 「クソうるせえんだよ!」と言ったりは……。

「それは私は言いません(笑)」。

――この役のために金髪にしたそうで。

「初めてブリーチをして、どんどん色がなくなって、茶髪になったと思ったら、すぐ金髪になりました。終わったあと、1人でカフェに行ったんですけど、トイレに入って鏡を見たら、自分だとわからなくて『金髪の人が!』ってビックリしました(笑)。私はずっと黒髪ボブだったので」。

――撮影に入ったら、演技未経験だけに大変だったこともありました?

「入る前に本読みしたときから、私だけ全然うまくできなくて、すごく時間を取ってもらいました。妙子は感情を表に出さない分、声のトーンとか別のところで表現するのが難しくて、そこを現場でも監督さんにたくさん指導してもらいました」。

――初演技であの妙子の役は、相当の難題だったでしょうから。

「ずっと泊まり込みで撮影していて、夜は監督に同じシーンを何回も何回も練習してもらいました。1日だけではなく毎晩。わかっていても、なかなか思うようにできない感じでした」。

――撮影前日から緊張したようなシーンはありますか?

「山田杏奈ちゃんが演じる主人公の春花と2人だけのシーンですね。序盤に撮って、自分でもまだ役が固まってなくて。妙子は私が経験したことのない罪悪感とか、いろいろなものを背負っているので、それをどう表現したらいいのか……。すごく考えました」。


――演出的にはどんなことを言われたんですか?

「序盤の春花をいじめるシーンだと、妙子は直接手を出さず、いじめているのを見ているだけ。そこで監督さんに『この映画を2回目に観た人が“だからこういう表情をしていたのか”とわかるように演じてください』と言われました」。

――台詞はなくても、ただいじめを見ているだけではなく。

「映画を最後まで観たら、いろいろな感情があって、春花をいじめていたんだという妙子の気持ちがわかるじゃないですか。それを私も伝えたかったので、すごく頑張りました」。

――その妙子のいろいろな感情は、凜香さんにとって理解できるものでした?

「最初はわかりませんでした。現場でキャストのみんなと空き時間に話したり、監督さんの話を聞いて、フッとわかった部分が結構あります。私の理解がもともと浅かったんです。他のキャストさんはすごく台本を読み込んでいて、深い感情まで汲み取っていたのに、私はみんなと話すまで全然気づいてませんでした。その辺はもっと頑張らなきゃいけないと思いました」。

 
 

雪の中のシーンで芯まで冷えて
リアルに死ぬかと思いました(笑)

 
 

――妙子は意外と凜香さんに似てるということでしたが、雰囲気はやはり全然違っていて。振る舞い方とかで意識したことはありました?

「回想シーンで春花と2人でいるときの表情の緩み方と、取り巻きのいじめグループの中でのキリッとした顔は全然違う。心を許してる人と許してない人で差をつけることは意識しました」。

――現場で役との切り替えはうまくできました?

「みんな、すごいんですよ。ちゃんと切り替えができるから直前までワイワイしていて、私はついていくのが大変でした。自分がどこにいるのか、わからなくなっちゃいそうで」。


――雪の中でナイフをふるう立ち回りは、違った意味で大変だったのでは?

「違う意味で大変でしたね~。そのシーンは大好きで、やってるときも楽しかったんですけど、すっごい寒くて! 血まみれになるから服も凍るし(笑)、映画の現場ってこんなに過酷なんだと、初めてわかりました」。

――どんな体感の寒さでした?

「雪の中にずっと横たわっていて、『私はきっとここで死ぬんだろうな』と思いました(笑)。本当に凍死しちゃいそうで、暖房に触っても全然暖かさを感じなかったし、終わったらすぐお風呂に入れたんですけど、お湯の中にいる感覚がありませんでした。芯から凍えていたので。その分、リアルな表情が出たんじゃないかと思います」。

――そのシーンは時間でいうと、どれぐらい撮っていたんですか?

「1日半かかりました。1日目は撮り切らないうちに陽が沈んじゃって、2日目にまた血まみれの衣裳を着て、半日かけて撮りました」。

――血のりも初体験ですよね?

「ハロウィンで友だちとふざけてやったくらいで、本格的な特殊メイクは初めてでした。目が腫れて傷ができていたりするので、本当に目が開けにくいし、実際に自分がそうなっていると錯覚して、感情移入できました」。

――ナイフで刺されて叫んだりもしてました。

「痛がるシーンが一番難しかったかもしれません。どんな叫び方をするのか、監督に教えてもらいました。刺されたら絶対、おばけ屋敷に入ったときのような『キャーッ!』なんて声は出ないじゃないですか。声にならないような低い声ですかね? 本当に痛かったら声も出ない。そのときの息づかいとか、すごく勉強になりました」。

――教室で妙子がグループの流美の手の甲にシャーペンを突き刺すシーンもありました。

「あそこは殺気立った感じで、無心でバンと(笑)」。

――流美の髪をジョキジョキ切るところは?

「自分の感情が入っていたら、人にあんなことはできないので(笑)、妙子になり切って感情は捨てて、思い切ってやりました」。


――試写で金髪の妙子があれこれしている姿を自分で見て、どう思いました?

「すべてが自分ではないですね(笑)。あんな髪色にはめったなことがなければしないし、ナイフをずっと持ってることもこの先ないし、言葉遣いとかも含め、役でないとできないことをたくさんさせてもらいました。それがお芝居の仕事の面白みなんだと思います」。

――「ミスミソウ」は中学卒業前の話でしたが、凜香さんは3月で高校を卒業しました。

「通っていた頃はテスト期間に仕事が入って追試になったり、行事に行きたくても行けなかったり、いろいろあったんですけど、みんな私が仕事をしているのを気にしないでいてくれて、先生も普通に接してくれました。芸能コースの高校には行かず、本当に普通の高校生活が送れたのは、今振り返ると幸せだったと思います」。

――3年間でどんな思い出がありますか?

「高校3年の文化祭に初めて準備から参加できたんですよ。中学からずっと、仕事で準備に加われなかったり、最後の後夜祭まで出られなかったので、買い出しとか『こんなに楽しいんだ!』と思いました(笑)」。

――文化祭で何をやったんですか?

「電球ソーダです。電球の中にカラフルなソーダを入れて、もともと韓国の女の子たちの間で流行っていたのが、去年の夏祭りシーズンに日本でも人気が出て、みんなで『やろう』となりました。30分くらいで売り切れちゃいましたけど、女子高生の気分でした。というか女子高生だったんですけど(笑)、世に言うJKって感じになれました」。


――高校時代に仕事以外で熱中したことはあります?

「部活ですかね? 野球部のマネージャーだったんです」。

――マネージャーをやっていたんですか。

「幼稚園から空手をやっていて、中学では自分が野球部でセカンドを守っていて、途中からマネージャーになりました。やっぱり仕事で大会には行けなかったんですけど、練習試合でスコアを付けたりするのは楽しかったです」。

――卒業してから、上京したんですよね。

「はい。今まで仕事で東京に来たときはホテル暮らしだったのが、ガラッと変わりました。4月から大学生になって、友だちと放課後に東京で遊ぶのが楽しみです。仙台での放課後と、どんなに違うものなんだろう? お仕事も終電を気にしないでよくなって、すごくやりやすくなるので、いろいろなことを存分にやりたいと思います」。

 


 
 

大谷凜香(おおたに・りんか)

生年月日:1999年12月24日(18歳)
出身地:宮城県
血液型:A型

 
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2012年に二コラモデルオーディションでグランプリを受賞。「nicola」(新潮社)のモデルとして2016年3月まで活動。「ポケモンの家あつまる?」(テレビ東京系/日曜8:00~ ほか)に出演中。女優デビュー作の映画「ミスミソウ」が4月7日(土)より新宿バルト9ほか全国順次公開。
詳しい情報は公式HP
 
 

「ミスミソウ」

「ミスミソウ」公式HP
 

 

 

(C)押切蓮介/双葉社 (C)2017「ミスミソウ」製作委員会
 

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