PICK UP ACTRESS 恒松祐里

PICK UP ACTRESS 恒松祐里

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

高校生の青春を描く「虹色デイズ」に出演
男嫌いなのにモテ男にアプローチされて……

 
 

――「虹色デイズ」で演じたまりは男子には当たりがキツく、親友の杏奈(吉川愛)とのことなどでは涙を流すなど、起伏の大きい役でした。

「私の性格と真逆の役だったので、すごく大変でした。私は基本的に明るくて誰とでも話ができますけど、まりは孤独を感じていて、一人ぼっちになりたくなくて、でも人との関わり方が上手ではなくて……。毎日現場で必死に役と戦っていました」。

――現場でいつものように明るくはしてなかったり?

「この役を演じるための答えが自分の中で見つからない状態で、『本当にこれでいいのかな?』と思いながら演じていたので、明るくする余裕はありませんでした。共演のみんなと仲良くはしてましたけど、役的にも立場的にも、いつものように盛り上げる感じではなかったです。でも吉川愛ちゃんとは小さい頃、『ハガネの女』で共演して以来だったから、すぐ打ち解けて、休憩時間も撮影のない日も2人でワチャワチャ過ごしていました」。

――そこはまりと杏奈のように。

「そうですね。いつも一緒にいる役だったので」。


――まりは杏奈に片想いしているなっちゃん(佐野玲於)を始め、男子にはすごく攻撃的でした。

「ドスを利かせて、佐野さんには一番当たりが強かったので、『申し訳ないな』と思いながら演じてました(笑)」。

――顔も自然に怖くなった感じですか?

「役として生きようと努力はしてました。自分でも試写で観て『怖い顔をしてるな』と思いましたけど(笑)、本読みのときに飯塚(健)監督に『ただ怖いだけではなく、本人は一生懸命怒っているのに面白く見える顔を研究してほしい』と言われていたので、目を大きく開いたり、声の当て方も変えたり、表情が豊かになるように考えました」。

――声にも気を配ったんですね。

「怒ってるときの当て方を『フーン……』ではなく『ハーン!』とやったり、まりのキャラを際立たせるにはどうしたらいいか、監督と相談しながらやってました」。

――一番飯塚作品らしいキャラクターでしたね。まりのことが気になっているまっつん(中川大志)とは、ウザがりながらもテンポ良くて面白い掛け合いもあったり。

「飯塚監督の色に染まりました。本読みのとき、まりを真面目な感じで作ってきたら、監督が『もっと面白くできるよ』とおっしゃって、まずそこで『面白くするにはどうしたらいいんだろう?』と悩んでしまって……。自分の中で、まりが何者かわからなくて、ずーっと試行錯誤しながら撮影していた感じがします」。

――本当に大変だったんですね。

「私が今までやった中で一番難しくて悩みに悩んだ役で、撮影していた1カ月間、毎日暗闇の中にいてトンネルを抜け出せない状態でした。簡単なシーンでも全然うまくできない自分が嫌いになったり、難しい役だとこんなに追い込まれるんだと知った作品です」。


――家に帰ってもトンネル感が自分の中に残っていたり?

「そうですね。頭が痛かったり、親にキツく当たっちゃったり……。その期間中は反抗期みたいだったと親に言われました。『うるさい!』とか『ついてくんな!』とか、まりみたいになっていて、あまり人と関わりたくもなくて……。今までは役に引っ張られることはなかったんですけど、この作品ではかなり引っ張られました。役のモヤモヤした気持ちが私に移って、私もずっとモヤモヤした状態になって、何をやってもうまくいかなかったのが、まりの悔しさとシンクロしたのかもしれません」。

――結果的に、まりは独自の存在感を放ってましたが、祐里さんがそこまで悩んでいたとは……。特にまっつんに感情を爆発させるシーンは、撮る前に緊張があったのでは?

「そこに限らず、現場では毎日不安で仕方なかったです。でも、まっつんとのシーンは中川さんがお芝居をうまく組み立ててくださる方だったので、助けていただいた部分がたくさんありました」。

――それで涙も自然にワッと?

「あのシーンはそうでした。まりの心情でいうと、今まで自分が人から求められることがなくて、いつもみんながどんどん離れていっちゃうのに、初めて自分に関心を持って近づいてきてくれた人がまっつんなんです。最初はウザいと思っていたのが、まっつんの押しが強すぎて、たぶんまりの心のどこかにあった何かに触れちゃったんですよね。それで爆発しちゃったのかと思います」。

――なるほど。

「でも、あそこも他のシーンも、台本には”泣く”とか何も書いてないんです。『もう来ないで! 関わらないで!』みたいな気持ちで演じていたら、自然と涙が出てきて……という感じでした」。

――本当に悩んでも結果的に役とシンクロしていたんですね。

「そうですね。監督やキャストの方がうまく導いてくださいました」。


――トンネルも最後には抜けたと?

「それはずっと迷い続けたままでした。でも、監督を信じて頑張りました。『OKを出してくれたんだから大丈夫だ』という気持ちです」。

 
 

自分と真逆の役でしたけど
誰にもある不安を膨らませて

 
 

――「虹色デイズ」ではキスシーンがありました。

「初だったんですよ。でも胸キュンはしませんでした。あそこは台詞の通り『死ね!』って気持ちしかなくて(笑)、寒かったのと階段でコケた印象のほうが強いです。お母さんに『お父さんがショックを受けるかもしれないから、キスシーンがあることを教えておいて』と言ったら、『ショックを受けるところを見たいから教えない』と言ってました(笑)」。

――(笑)。まりは祐里さんと真逆とのことでしたが、どこか共感するところはありませんでした?

「まりの性格で『わかるな』というところはなかったですね」。

――たとえば、なっちゃんを杏奈から引き離そうとしていたまりほどではなくても、女友だちに対して、嫉妬のような感情を持ったこともないですか?

「中学生くらいの頃は、仲いい友だちが他の子と仲良くなったり、クラスが変わったりしたら、寂しく思うところはあったので、そういう気持ちを膨らませてまり役を作ったりはしました。冷蔵庫に入れていた好きな食べ物を取られたときの感情とか、大切なものが奪われるかもしれない不安とか、人間誰にでもあるものなので、それを利用して演じました」。


――まりの目線とは別に、高校が舞台のこの映画の中で、祐里さんの高校時代にも目にした光景とか、覚えのある感情は描かれてましたか?

「男の子4人がワイワイしてるじゃないですか。そのワイワイ感は自分の高校生活でもありました。男子って早食いとかバカなことをして盛り上がって、はしゃいだりケンカしたりしますよね(笑)? それは女子にはないもので『楽しそうだな』と思いながら、この作品も観ました。そういうのはどこの高校にもある光景だと思いますし、すごくリアルに描かれてますね」。

――劇中では、最後の文化祭がクライマックスでした。

「私は文化祭にはあまり思い入れはありませんでした(笑)。でも、何かにつけて”最後の”というのは大切で、『学生時代の青春の1ページの最後をどう飾るか?』みたいなことはすごく大事なので、まりも心の中で最後の文化祭に対して何か感じていたんだと思います」。

――祐里さんの高校時代も虹色デイズでしたか?

「虹色ではなかったです。灰色デイズでした(笑)」。

――ありゃ。仕事が中心だったから?

「そうですね。勉強を頑張って、やるべきことをやるだけ……という感じで、たいしたことはしてなかったので。逆に、お仕事でこういう作品に出たときのほうが、青春をすごく感じました。高校1年のときに撮った『くちびるに歌を』が、私にとって最大の青春だったと思っています。みんなで何かに向かって頑張る時間が青春だと感じるんですけど、実際の高校生活はテストとか個人戦で、1人で頑張ることが多かったので。でも北海道での修学旅行は若干、虹色気味だった気がします」。


――そういえば以前、札幌の時計台とかで動画を撮って、ショートフィルムみたいに編集した……という話を聞きました。

「みんなであちこち回ったり、ラーメンを食べたり、楽しかった記憶があります。一眼レフのカメラを持っていったんですけど、ラーメンばかり撮って、全部茶色の写真になりました(笑)」。

――「虹色デイズ」に出てきた、浴衣で夏祭りとかは?

「高校の友だちとは行かなかったんですけど、普段仲良くしているグループで浴衣を着て浅草に行ったりは去年しました」。

――劇中のお祭りではボールすくいで10個取ってましたが、実際にやったんですか?

「はい。結構上手でしたよ(笑)。あまり破れなかった気がします。撮影前にネットで検索して、練習していきました」。

――ちょっとしたシーンのために、そこまでやっていたんですね。最近の祐里さんは映画にドラマに出演作が相次いで充実しているようですが、体はちょっとしんどかったりも?

「全然しんどくないです。普通にお休みもありますし、休日は友だちと遊んでます。この前は(葵)わかなとかき氷を食べに行きました。私、おいしいものを食べるのが好きなので、夜な夜な検索してスクショして、行けそうな人に送りつけて『ここに行こう!』とやっているので、プライベートも充実してます(笑)。10月で20歳になるから、夏は10代のうちに、やっぱり浴衣でどこかに行ってみたい気持ちはあります」。



 


 
 

恒松祐里(つねまつ・ゆり)

生年月日:1998年10月9日(19歳)
出身地:東京都
血液型:B型

 
【CHECK IT】
子役としてデビューし、2015年に映画「くちびるに歌を」に出演。他の主な出演作は映画「ハルチカ」、「サクラダリセット」前篇・後篇、「散歩する侵略者」、「咲-Saki-阿知賀編 episode of side-A」、ドラマ「まれ」(NHK)、「真田丸」(NHK)、「もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~」(日本テレビ系)など。ドラマ「覚悟はいいかそこの女子。」(MBS/日曜24:50~、TBS/火曜25:28~ ほか)に出演中。映画「虹色デイズ」は7月6日(金)より全国公開。7月23日(月)スタートのドラマ「トーキョーエイリアンブラザーズ」(日本テレビ/月曜24:59~)に出演。映画「3D彼女 リアルガール」が9月14日(金)に公開。「アイネクライネナハトムジーク」が今冬公開。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「虹色デイズ」

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(C)2018「虹色デイズ」製作委員会(C)水野美波/集英社
 
 

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