PICK UP ACTRESS 八木アリサ

PICK UP ACTRESS 八木アリサ

PHOTO=河野英喜 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

人気モデルから演技でも存在感を発揮
映画「キスカム!」で男勝りのカメラマン役

 
 

――「ViVi」の看板モデルの八木さんですが、ここ数年は女優業も増えていますね。

「もともとお芝居にも興味はあったんですけど、私は同時にいろいろなことができないタイプなので、モデルとしての目標を達成してから始めたいと思っていました」。

――モデルとして達成した目標とは?

「同じ雑誌で8年やってきた中で、単独で表紙を何度もやらせていただいたり、ランウェイでトップを歩いたり、自分の名前の付いた企画をやったり。モデルを始めたら、たぶんみんなが掲げる目標だと思いますけど、それらは達成してこられました。モデルでの次の目標を探すに当たっても、表現者として成長したくて、お芝居を始めさせていただきました」。

――映画やドラマは自分でもよく観ますか?

「好きですね。最近はNetflixで『殺人を無罪にする方法』という海外ドラマにハマっています。学生たちの物語でサスペンスになるのかな? 続きが気になって仕方ない系です。いろいろ展開がありすぎてグイグイ進んで、すべてを忘れて観られます」。

――好きな作品の傾向はあります?

「きれいでキラキラした物語より、人間くさい何かがあるのが好きですね」。


――「キスカム!~COME ON,KiSS ME AGAiN!~」では、主人公で内気な橋口海(葉山奨之)が出向してきた恋愛コンサル会社のカメラマン、風見カオリを演じました。強い役でハマったのでは?

「カオリはザックリ言うと男勝りで仕事に命を賭けている女性で、私自身は男勝りと言われたことはありません。でも共感できる台詞は多かったので、似てるところはあるのかなと。そういう部分からエッセンスを取り出しつつ、役に近づいていきました」。

――共感できる台詞というのは、「人生の真実は検索しても見つからない」とか?

「そういう感じの心に刺さることを言うじゃないですか。すごくしっくり来る言葉が多かったです」。

――最初に撮ったのはどのシーンでした?

「公園に100人くらいのカップルさんが集まってくださって、キスするところを『いいねいいね! ハイ、次お願いします』とか言いながら、ひたすら撮り続けるシーンでした」。


――カメラは普段から使っていたんですか?

「携帯や小さなデジカメで撮ることはありますけど、ああいう重みのあるカメラはないですね。でも、自分の前で構えてくださる姿は、たくさん見てきているので。モデルの現場で観察して、カメラを持たせていただいて『こう撮るんですか?』と教えてもらいました。カオリが仕事人なキャラクターだから、そこでぎこちなく見えないようにしないと、全部が崩れてしまうので」。

――劇中では、バーで酔っぱらって橋口に絡むシーンから登場しました。

「とんでもない人ですね(笑)。酔っぱらった演技はやったことがなくて、『本当にお酒をちょっと飲んで行ったほうがいいんだろうか? みんな実はそうしているんだろうか?』と思いつつ、普通にシラフで挑みました。酔っぱらったときはどんな感覚になっているか、改めて考えました」。

――八木さんは酔うと、どうなるんですか?

「普段からモノをハッキリ言うタイプではあるんですけど、さらに言うようになります(笑)。友だちと飲む分にはいいですけど、仕事関係の方だと熱くなって『もっとこうしたらいいんじゃないですか?』とか言いすぎるので、なるべく一緒に飲むのは控えます」。

――カオリみたいに「うっせーな!」と言ったりは(笑)?

「それは言いませんけど、台詞で言っていて楽しかったので、自分のどこかに眠っているのかもしれません(笑)」。

――カオリは酔っぱらいつつ、上司のことを愚痴っている橋口に「文句があるなら本人に言えっつーの!」とか、言ってることは正論でしたかね?

「間違ってないと思います。私もバーで愚痴っている人がいたら『ナヨナヨしているんじゃないよ』と思います。知らない人に絡んだりはしませんけど(笑)」。


――言葉づかいは普段の八木さんと変えました?

「そうですね。いつもの私は猫をかぶったしゃべり方をしがちなので(笑)、自分がピシャッと言うときのモードや口調が、普段のカオリっぽいのかなと。基本的にカラッとサバサバした女性であることを心掛けました」。

――見ていると胸がすく感じでした。

「アドリブが結構多かったりもします。さっきの酔っぱらったシーンもそうですし、葉山さんが突然ぶん投げてくださったアドリブを、私も自然に出た言葉で返したりできました。アドリブと気づかれるかわかりませんけど、注目していただけたら」。

 
 

たくさんのカップルのキスを
撮って心がポカポカしました

 
 
――キスシーンの多い映画ですが、八木さんは今までもそういうシーンはありましたっけ?

「ひとつ前に公開された映画も『午前0時、キスしに来てよ』で、タイトルからキス続きで(笑)、キスシーンもありました」。

――撮るときは緊張するものですか?

「今回の冒頭とかは葉山さんと堀田(茜)さんが『角度にこだわった』とおっしゃってましたけど、私はかなりサラリだったので(笑)」。

――理想のキスのシチュエーションとか、ありますか?

「さっき言ったように初日に100人のカップルのキスをずーっと撮影して、口紅の発表会イベントのシーンでも会場の皆さんがキスするところを動画で撮って、ひたすらキス顔を見ていたんですね。『恥ずかしい……』みたいな人もいれば、熱烈にブチューッみたいな人もいて、どれも素敵だなと思いました。どんなシチュエーションでどんな感情でも、すべて理想的に感じて、心がポカポカしました」。

――劇中で「運命の出会いを信じるか?」という話になって、カオリは「そういうのはマジウザい」と言ってましたが、八木さんはどう思います?

「出会いの確率はすごいですよね。人がごまんといて、いろいろなところに住んでいる中で、出会わなかった可能性だって十分にあるじゃないですか。だから出会えたこと自体がすごいと思いますけど、それを運命と呼ぶのは、自分の中でちょっとこっ恥ずかしいところがあります(笑)」。


――ところで、華やかなオーラが漂う八木さんは、普段も高級フレンチレストランとかに行っているんですか?

「いやいやいや。そんなところは肩が凝って仕方ない(笑)。居酒屋さんが好きです」。

――フランスはお父さんの母国じゃないですか(笑)。

「フランスで行く分にはカジュアルだからいいんですけど、日本でそういうお店に行くとなったら服装にも気をつかうし、お料理も『可食部はどこ?』というものが多くないですか(笑)? 食べられるのが木の端のポチョンとしたところだけとかだと、食べた気がしなくて。やっぱり居酒屋さんで自分の好きなものをガッパガッパ頼むのが好きです(笑)」。

――どんな居酒屋めしが好きなんですか?

「山芋のスティック揚げをニンニクにディップするお店があるんですよ。それが最高なんです! あとはタコわさにタコ唐に……。タコは好きですね。それから銀杏の塩炒りにエイヒレとか、そういうものが主食です(笑)」。

――意外と庶民派ですね(笑)。飲むのはビール?

「いえ、ハイボールと日本酒が好きです(笑)」。


――自分の中にフランス人の血を感じることもないですか?

「パッションな部分はあります(笑)。仕事のことだと熱くなったり、悔し泣きしたり。現場で豪快にそういうことをするわけではないですけど」。

――家に帰って密かに涙していたり?

「密かには涙しないですね。ただ抱え込むことはしない性格で、誰かに伝えて解決しないと意味ないので、マネージャーさんにはご迷惑をおかけしています(笑)」。

――パリジェンヌみたいな、オシャレな生活はしていませんか?

「確かに今までの話だと、オシャレのかけらも出ていませんね(笑)。でも美容が趣味で、ファッションだとワンピースを収集しています。仕事柄、移動やお着替えが多い中、着ていて楽で自分の生活に合っている気がします」。

――見た目もフェミニンな感じで?

「いろいろなデザインのものが出ていますから。あと、ワンピースを着ていたら、それこそ急に『フレンチに行くよ』と言われたとしても、ある程度フォーマルでも通じるので」。

――7月には25歳の誕生日がありますが、20代後半の展望はありますか?

「5年あったら、何でもできますね。雑誌の専属は5年の間に卒業すると思うので、それまでにモデルとしてステップアップして、何かしら新しい顔をお見せできたら。お芝居では自分の気づかなかった一面を発見できたりするので、私にしか出せない表現で役を演じられたらと思います。モデルでもお芝居でも『八木にお願いしたい』と言ってもらえるような表現者になりたいです」。


 
 


 
 

八木アリサ(やぎ・ありさ)

生年月日:1995年7月31日(24歳)
出身地:北海道
血液型:A型
 
【CHECK IT】
2011年より「ViVi」(講談社)の専属モデルを務め、2014年に映画「好きっていいなよ。」で女優デビュー。主な出演作は映画「ゼニガタ」、「午前0時、キスしに来てよ」、ドラマ「ラブラブエイリアン2」(フジテレビ)、「まどろみバーメイド~屋台バーで最高の一杯を。~」(テレビ大阪)、「左ききのエレン」(MBS・TBSほか)など。映画「キスカム!~COME ON,KiSS ME AGAiN!~」は近日公開。5月15日(金)公開の映画「太陽は動かない」に出演。11月1日(日)~12月6日(日)に上演の「RENT」(日比谷シアタークリエ)でミュージカルに初出演。
詳しい情報は公式HPへ
 
 

「キスカム!~COME ON,KiSS ME AGAiN!~」

詳しい情報は 「キスカム!~COME ON,KiSS ME AGAiN!~」公式サイトへ
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