PICK UP ACTRESS 矢作穂香
PHOTO＝小澤太一 INTERVIEW＝斉藤貴志
昨年好評を博した舞台「大きな虹のあとで～不動四兄弟～」が今年も8月3日から再演される。戦時中の物語に女学生役で出演する若手女優4人をリレー形式でインタビュー。トリを飾るのは今回ヒロインを演じる矢作穂香。
舞台「大きな虹のあとで」の再演で
役が変わってピュアなヒロインに
――去年の舞台「大きな虹のあとで～不動四兄弟～」は自分で満足のいくものになりました？
「そうですね。みんなで一致団結して『最高の夏にしよう！』と頑張って、稽古するごとに『もっともっと上を目指さなきゃ』という気持ちになって、すごく良い作品になったと思います。忘れられない夏になりました」。
――舞台のやり甲斐を改めて感じたり？
「もちろんです。ひとつの作品をお客さんに届ける責任を背負って、より良いものをお見せしたい気持ちから、稽古ではなかったものを本番で感じられました。それで舞台自体がどんどん素敵なものになっていったように思います」。
――久しぶりの生の舞台でしたが、緊張はありました？
「緊張はしましたけど、楽しみたい気持ちのほうが大きかったです。久しぶりで感覚を忘れちゃってドキドキ……というより、自分の役をまっとうしたいと思って挑みました」。
――去年は女学生の百合役でしたが、演じ方について考えたことはありましたか？
「台本を読んでイメージした百合と自分が実際やった百合は全然変わりました(笑)。コミカルで面白い役になりましたけど、台本からはそういう想像はあまりできなかったんです。稽古の中でどんどん新しい百合を見つけられました」。
――今年はヒロインの麻樹役になりました。
「まず再演することを聞いて、それから自分がまた出られると聞いて喜んでいたら、まさかの麻樹役になってビックリしました。再演ですけどメンバーも変わるので、また新しいものを作るつもりで取り組みたいです」。
――大友花恋さんが演じた麻樹については、去年、どんな印象がありました？
「花恋ちゃんはすごく純粋で『頑張って！』と応援したくなるような麻樹ちゃんを演じていましたね。良い部分は盗みつつ、私らしい麻樹ちゃんにできたらと思います」。
――新たに考えないといけないこともありそう？
「改めて去年の映像を麻樹ちゃんに注目して観ましたけど、稽古をやってみないとわからないですね。ヒロインということでプレッシャーはもちろんあります。でも去年のように、稽古をしていくうちに新しい発見がどんどんできると思います」。
――1人の女性として麻樹の良さだと思うところは？
「やっぱり純粋さです。ピュアな部分をいっぱい引き出したいですね。瀬戸利樹くんが演じる草太に恋している役で、兵隊さんへの恋心の葛藤をどう表現するかは一番のヤマなので、そこも頑張りたいです」。
――女学生4人で「誰が好き？」とか話す場面もあります。
「女子トークみたいな(笑)。キャストの4人がみんな仲良いので、その延長ではないですけど、雰囲気を舞台に持ってこられたらいいですね」。
――その辺は等身大で。
「戦争中のお話ではありますけど、そんな時代でも恋バナはする。そういう部分を私たちの関係性から見せられたらと思います」。
――今年は山賀琴子さんが新メンバーとして加わります。
「頼れるお姉さんなのは間違いないですけど、すごく面白いです。いるだけで周りが明るくなって、しゃべっていても楽しいので、一緒にいるとポジティブになれます」。
テンポが速い作品に全力を注いで
夏の思い出も作りたいと思います
――麻樹に自分と近いところはあると思いますか？
「去年花恋ちゃんが演じた麻樹のようなピュアさは、自分にはない……とは言いたくないですけど(笑)、もうちょっと増やしたいところではありますね。近い部分は……何だろう？」。
――劇中に直接は出てきませんが、台詞の中で「麻樹は料理も裁縫も得意」と言われてました。
「私は裁縫は得意ではないです。学校の家庭科の授業で習って以降、まったく活用していません(笑)。料理もたまにするくらい。でも麻樹ちゃんは家庭的な部分があるみたいで、そういうところは私もちょっと似てると思います。私は裁縫はできませんけど、掃除とか洗濯とか家事は好きなので」。
――実際いろいろやっているんですか？
「実家暮らしですが、部屋の掃除とか自分でやることは全部やってます」。
――麻樹は「子どもが好き」とも言ってます。
「私も好きです。子どもと触れ合う機会は少ないですけど、小さい子を見ると『かわいいな。一緒に遊びたいな』と思います」。
――不動家の家訓で共感するものはありましたか？
「『辛いときこそ笑いましょう』とか、ポジティブでいいなと思います。私も笑うことは大事にしています。辛くても楽しくても、どんなときも常に笑おうと、自分の中で意識してきました」。
――タイトルにある“大きな虹”は実際に見たことはありますか？
「去年の夏の稽古中の時期に、曇っていたのに雲の上に虹がかかっていて、『ちょっと神秘的だな』と思って写真を撮った覚えがあります。いつもだったら『きれいだね』で終わってましたけど、この舞台の稽古をしていたから、虹やひまわりを意識的に探すようになっていました」。
――去年は稽古中に花火が打ち上がっているのが見えて、終わった瞬間にみんなで稽古場の屋上まで駆け上がって見たりもしたそうですね。
「ありました。今年もそういうのがあったらいいなと思います。『みんなで花火したいね』とも話していて、素敵な作品を作る上で何かそういう思い出もできたらいいですね」。
――あと、劇中で四兄弟の1人の空が、みんなにおにぎりをふるまおうとするくだりがありますが、穂香さんの好きなおにぎりの具は何ですか？
「明太子です！ 辛子明太子が好きで定番です。去年の稽古にも自分で握って持っていきました。あと、劇中でお茶屋のおばちゃんが『たくあんをおにぎりに入れて』と頼んでるじゃないですか。私、もともとたくあんが好きで、そういうおにぎりも作っていたんですよ。稽古には積極的にたくあんおにぎりを持っていくようにしてました」。
――夏の舞台でしたが、体力は消耗しました？
「1日2公演だったので大変でした。すごくテンポが速い作品なので、体力的には厳しかったです」。
――終わって楽屋に戻ったらグッタリ、とか？
「公演と公演の間の休憩時間は、みんな舞台の上で休んでました。演出の秦（秀明）さんが『ステージと友だちになるのはいいことだから、触れるようにしておいて』とおっしゃっていたので、そういう意味も込めてです。1回ごとにみんな全力を注ぎ込んでいたので、終わったらドッと疲れが出て、体力温存のために目を閉じて休憩していました。たぶん今年もそうなるんじゃないかと思います」。
――じゃあ、2公演終えて帰った夜は……。
「ゆっくりお風呂に入って、『明日も頑張ろう』ってぐっすり寝ました。今年はお肉をたくさん食べて体力をつけて挑みたいです(笑)」。
――ちなみに、去年の舞台以外の夏の思い出はありますか？
「まったくないです(笑)。稽古から本番とずーっと舞台一色でしたね。今年は日程が8月始めになったので、後半に何とか海に行けたらいいなと思ってます」。
――例年もあまり「夏だ！ 海だ！」というタイプではなかったのでは？
「そうだったんですけど、今年は夏っぽいことをひとつはしたくて……。今は何だか、やったことがないことをやりたい気持ちがあるんです。現実的に日焼けはできないとしても、海を見に行くくらいはできると思うので、夏の思い出をたくさん作りたい気持ちになっています」。
矢作穂香（やはぎ・ほのか）
生年月日：1997年3月7日（21歳）
出身地：千葉県
血液型：B型
【CHECK IT】
モデル活動を経て、2010年にドラマ「夢の見つけ方教えたる!2」（フジテレビ系）で女優デビュー。主な出演作はドラマ「明日の光をつかめ2」（東海テレビ・フジテレビ系）、「イタズラなKiss～Love in TOKYO」（フジテレビTWO）、「幽かな彼女」（関西テレビ・フジテレビ系）、「貴族探偵」(フジテレビ系)、映画「マリア様がみてる」、「高速ばぁば」、「思春期ごっこ」、「クレヴァニ、愛のトンネル」、「花筐」など、8月3日(金)～8月7日(火)にシアターサンモールで上演される舞台「大きな虹のあとで～不動四兄弟～」に出演。
詳しい情報は公式HPへ
矢作穂香公式ブログへ
舞台「大きな虹のあとで～不動四兄弟～」
8月3日(金)～8月7日(火)シアターサンモール
出演：市川知宏、上杉柊平、入江甚儀、瀬戸利樹、矢作穂香、桜田ひより、喜多乃愛、山賀琴子、津枝新平、愛原実花、合田雅史
詳しい情報は舞台「大きな虹のあとで～不動四兄弟～」公式HPへ
