PICK UP ACTRESS 柳ゆり菜

PICK UP ACTRESS 柳ゆり菜

PHOTO=城方雅孝 INTERVIEW=斉藤貴志
 
 

往年のアニメを実写化した映画
「破裏拳ポリマー」でヒロイン

 
 

――ゆり菜さんはグラビアで大人気を博しつつ、最近は映画・ドラマ出演も続いてますが、もともと女優を目指していたんですか?

「そうですね。女優になりたくて、この世界に入りました」。

――目指した原点というのは?

「きっかけは思い出せないんですよね。小さい頃からずーっとダンスをしてきて、ダンスでプロを目指すものだと思ってました。ただ、中3ぐらいかな? 進路のことを本気で考え出したとき、ダンスは大好きだけど『将来仕事にして生活していきたい』とは思ってないことに自分で気づいたんです」。

――好きなことと仕事にすることは違うと。

「ダンスは楽しいしストレス発散にもなるし、自分のルーツですけど、『仕事としてやっていくのは何か違うな……』とずーっと感じていました。そういう自分の気持ちも1年くらいはっきりわからなくて、高校生になって、いろいろ模索しながらダンスも続けて。高3のときにやっと、『たぶん私は女優をやりたいんだ』と思いました」。


――いきなり女優に目が向いたわけではないんでしょうけど。

「もともと家族がすごく仲良くて、みんなで映画を観るのが恒例だったんです。近くにレンタルビデオ屋さんがあって、毎日のように。それもきっかけになったんですかね? 小さい頃から、お父さんやお母さんが観るような映画を、ずっと一緒に観てきました」。

――映画館に行くより前に家で観ていたんですね。

「DVDでいろいろ観ました。だから、お芝居というものが自分のなかで身近にありました。ダンス以外で興味あるものは映画やテレビだけだったんです。とにかく表現をすることが好きで、ダンスもそういう部分に惹かれて始めたので、興味を持つ場所は一緒なんですよ。自分で何かを表現することで、何かを与えられる仕事がしたいと思いました」。

――ツイッターで「バニラ・スカイ」のことも書いてましたが、今でも映画はよく観るんですか?

「観るようにしています。最近観て一番好きなのは『トゥルー・ロマンス』ですね。トニー・スコット監督の。愛の逃亡劇で、2人がグッと上がって落ちていく姿が楽しくて仕方ない。そういう2人がうらやましくて、素敵だなと感じました。あと、アラバマというヒロインがとてもキュートでチャーミングで、『こういう役はいいな』と憧れます。女性として魅力的。奔放だけど繊細、みたいな」。


――恋愛映画を観ることが多いんですか?

「そうですね。韓国とか海外の映画で、恋愛系のヒロインに憧れる部分はすごくあります。日本の映画だと『ALWAYS 三丁目の夕日』みたいな家族モノが好きなんです」。

――「破裏拳ポリマー」の出演に当たっては、昔のアニメも観たんですか?

「出演が決まってから観ました」。

――ゆり菜さんが演じた探偵助手の南波テルは、アニメのキャラクターそのままのイメージでした。

「アニメとあまり変化がない役でしたね。事件に顔を突っ込んでいって、図々しいけどチャーミング。怖いもの知らずのキャラクターが素敵だと思ったので、そこはすごく意識しました」。

――台詞もテンポ良く言うように?

「はい。そういうところも含め、撮影が始まったらテンションはずっと上げてました。テルは本当に能天気で、事件も重く捉えてないので」。

――銀行強盗の人質になってもニコニコしてました。

「そうなんですよ。私も最初は『そんな~!?』と思ったので、監督に『これで大丈夫ですか?』と聞いたんですけど、監督は『それでいいんだよ』と。実際映像になって観ると、『こういうテルで良かった』と思いました」。


――ゆり菜さんとしては、やりやすい役でした?

「テルに関して、やりにくさはまったくなかったです。ただ、最初のほうは能天気なテルがいやすいんですけど、物語が進むに連れてシリアスになってくると、テルの居場所がなくなってくるんですよね。『ここは茶化したくないな』という場面では、テルもバカではないので、ちゃんと引ける。自分のなかで、そういうキャラクターに変えていきました」。

――クライマックスのほうで涙を流す場面もありました。

「やっぱり仲間に対する愛情がだんだん出てくるので。最後は人間らしいテルに作り上げていきました」。

――でも全体的には役を作り込むより、いい意味ノリで演じたような?

「うん、そうですね。その場にいればテルが生き出すので、特に作り込まなくていい役でもありました」。

――指で唇をいじって「ひらめいた!」と言うのはアクセントになってました。

「どんな仕草がいいかは考えていきました。やっぱりチャーミングさは存分に出していかなきゃいけないキャラクターなので。私としてはちょっと恥ずかしかったんですけど(笑)、かわいらしいテルのスパイスになったと思います。いろいろ考えたんですよ。ほっぺをつまむとか、唇をウーッと尖らすとか。研究を重ねて、あれに落ち着きました」。


 
 

役のぶっ飛んだ意識が自分のなかにあって
アクションしながらも自然に笑ってました

 
 

――それにしても、この映画、主演の溝端淳平さんらにアクションがあるのは当然として、テルも結構なアクションをしていましたね。

「はい。最初はそんなにやる役ではなかったと思います。でも、私はダンスをやっていたから体が結構動くほうですし、テルも事件の現場にいることが多かったので、必然的に巻き込まれていくじゃないですか。そこでテルが強いというアピールではなく、たまたま勝っちゃう生命力の強さがテルらしくて面白い。そんなアクションを考えてくれました。テルにとってはオイシイというか(笑)、印象に残ると思いました」。

――ゆり菜さんは運動神経もいいんですか?

「運動神経はまったくありません(笑)。速く走るとか球技とかは本当にダメなんですけど、アクションはダンスの振りを覚えるのと一緒だったので。マット運動とかは上手だったので、それも生きたかなと思います」。

――ソファーの上で一回転してのキックもありましたね。相手の首を両脚で挟んで投げる、プロレスでいうレッグシザーズホイップは難易度が高かったのでは?

「大変でした。『えっ? こんなことするんですか!?』と言いながら挑戦しました。でも、楽しかったです。周りの方がサポートしてくれたので。あのアクションは自分が何かするというより、周りが受けてくれました。私をクイッと持ち上げてスワーンと投げられたり、周りの方がうまくて、私はやっていただいている感じでした」。

――じゃあ、アクションでそんなに苦労した感じでもなく?

「あそこは尺が長くて、7人の男性を相手にするので、うまくいかないこともありました。何回か撮り直しはしましたけど、すごくつまづいたわけでもなく、結構スムーズにやれました」。


――テルは戦ってるときもニコニコしてるじゃないですか。つい力が入って、表情も険しくなりがちではありませんでした?

「自分がテルに感化されて、何でも笑っちゃう感じになってました。怖いのもあるけど、なんかブッ飛んだ感じの意識が自分のなかに目覚めていたので楽しくて、逆にアクション中も笑っていることが自然でした。あとから自分で映像を観ると『めっちゃ笑いながら殴ってる!』って驚きましたけど(笑)」。

――他に、この映画の撮影中に印象的な出来事はありました?

「和気あいあいとした良い現場でしたけど、すごく寒かったです(笑)。真冬の福島で撮って、テルは衣裳も薄着ですし、寒くて脚がカッチンコッチンになって感覚もない……みたいな状態になったり。廃墟でも撮影して、暖房がないんですよ。ずーっと寒くて、鼻も赤くなっちゃうから、手で暖めたりもしてました」。

――確かにテルのいでたちは肌露出も多いから、寒さは身に染みたでしょうね。

「衣裳にマイクを仕込む場所がないのも大変でした。背中や脚に付けても見えてしまうし、今まで付けたことがないような場所にも付けました。『(胸の)谷間のところに入れましょう』とか(笑)。もうカットごとにマイクの位置も変える感じで、『監督がこんな衣裳にするからだよ~(笑)』とか、グチグチ言いながらやってました」。


――試写を観て、特撮ならではのことも感じました?

「やっぱりアクションシーンは『さすがだな』と思うくらいカッコ良くて。回転とか現場でも速かったんですけど、限度はあるじゃないですか。それが完成した作品を観たら、すごいことになってました。私、アクションものは初めてで『現場で見たより、さらにカッコよくなるんだ』と思いました」。

――最近は演技の面白みをより感じるようになったりもしてます?

「楽しいと感じるようになりましたし、責任も感じるようになりました。演技は知れば知るほど奧が深くて、『果てしないな』と途方にくれることもあります。その分、やり甲斐はすごくあるので、今は本当に楽しいですね」。

――より忙しくなってきたと思いますが、息抜きで何かしてることはありますか?

「汗を流したいので、サウナや岩盤浴にひたすら何時間もいます。とにかく汚れたものを出してデトックスして、サッパリした顔で家に帰るのがストレス発散だったりします」。

――「何時間も」というのは、3時間くらい?

「6時間とか(笑)。出たり入ったりしながら、ずーっといます。考えごともできるので、自分のなかで問題をいろいろ解決して帰ったりもします。本当はボーッとするのが一番好きなんです。でも今は、考えなきゃいけないことがたくさんあるので」。


 


 
 

柳ゆり菜(やなぎ・ゆりな)

生年月日:1994年4月19日(23歳)
出身地:大阪府
血液型:O型

 

【CHECK IT】

2013年に「smart Boys&Girlfriendオーディション」で特別賞を受賞。2014年5月公開の映画「うわこい」で女優デビュー。同年10月に連続テレビ小説「まっさん」(NHK)で劇中のポスターのモデルとなって注目される。今年、ドラマ「きみはペット」(フジテレビ)、映画「恋妻家宮本」、「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」などに出演。ドラマ「SR サイタマノラッパー~マイクの細道~」(テレビ東京系/金曜24:52~)に出演中。主演映画「ヴァンパイアナイト」が公開中。映画「破裏拳ポリマー」は5月13日(土)から公開。

詳しい情報は公式HPへ

 
 

「破裏拳ポリマー」

詳しい情報は公式HPへ


 

(C)2017「破裏拳ポリマー」製作委員会
 
 

直筆サイン入り自撮りチェキ応募はコチラ⇒