PICK UP ACTRESS 吉本実憂

PICK UP ACTRESS 吉本実憂

PHOTO=草刈雅之 INTERVIEW=斉藤貴志

 
 

コメディ映画「レディinホワイト」に主演
常識外れで破天荒な新入社員役で新境地

 
 

――「レディinホワイト」でコメディ映画に初主演となりましたが、コメディは観るのは好きだったんですか?

「はい。『ハングオーバー!(シリーズ)』が大好きなんですよ。ああいう肩の力を抜いて観られる作品をずっとやりたかったので、『レディinホワイト』の彩花役はすごく楽しかったです」。

――でも、「自分がコメディをできるか?」とは考えませんでした?

「それはありました。監督が『罪の余白』の大塚(祐吉)さんで、私はずっと『根暗』と言われていたんですよ(笑)。明るい部分も持ってますけど、陰か陽かと言ったら陰の属性。そこを引き出してもらったのが『罪の余白』で、監督にもそのときの印象があったみたいで、『こんなに暗いオマエを明るくできるだろうか?』と言ってました(笑)」。

――「罪の余白」では、人の心を操る邪悪な女子高生の役でしたからね。

「彩花は明るくて自由奔放な役じゃないですか。すごく良く言えば(笑)」。


――悪く言えば、自分勝手で傍若無人(笑)。

「だから、私もすごく不安だったんです。今まで正統派な役が多くて、悪女はやったことがあっても、こんなに自由な役は経験なかったので。監督には『とにかく力を抜いて、一緒に遊ぼう』と言われました。『情緒不安定な役だから、つながりとかを気にせず、シーンによって全然違ってもいい』ということでした。それで毎日、現場に遊びに行く感覚でしたけど、彩花になりきるまで、すごく時間がかかって……。リハーサルが4日間あったんですが、3日目まで全然なりきれなかったんです」。

――それは焦りますよね。

「やっぱり主役ということもあったし、『芝居しなきゃ。ちゃんとやらなきゃ』みたいな気持ちでいっぱいになってました。彩花の性格とかは言葉で言えるくらい理解していたのに、自分の中に入ってこない。それで4日目のお昼ごはんを食べていたとき、監督と2人で『まあ、いいか』って諦めたんです。その瞬間、彩花がフワッと入ってきました(笑)」。

――どう変わったんですか?

「そこから夜までのリハーサルは楽しくて、いろいろな演技のアイデアが出てきました。監督は常にビデオを撮っていて、それを見ると、もう目の輝きが全然違ってましたね。前は『芝居しよう』と頑張りすぎていた目で、輝きがありませんでした。周りの方も私の芝居を受けて『あっ、違う』とわかったみたいです」。

――急にスイッチが入った感じ?

「肩の力が抜けて、やりやすくなりました。ひとつひとつのシーンに何かしらのアクションとか、ヘンな顔や言い方とかを入れようと監督と決めていて、そういうのも『ここでこういうことをやりたい』と、いろいろ出てくるようになりました」。

――劇中でタコみたいな顔をしたり、ブリッコしたりしてましたね。

「そうそう。彩花は普通の人と感情表現の仕方が違っていて、イラッときたら相手をおちょくるんです。そこを軸に持った上で、いかに遊べるかに集中して、現場で作っていきました」。


――自分発信のネタもあったんですか?

「はい。監督の演出もありましたが、終盤は『何かある?』って私の意見も聞いてくれました。予告でも使われた『私の仕事じゃないんで~』って両手で垂れ目にした顔は、リハではやってなくて、本番で出てきたんです。あと、中指を立てるところは、すっごい気持ち良かったです(笑)」。

――パワハラ上司の翔平(波岡一喜)や先輩の來未(久住小春)に指を立ててました。

「心の中で最上級にイラッとしたとき、心の中で中指を立てたくなる気持ちはあるじゃないですか。なかなか表には出せないけど。でも、彩花は出せちゃう人間なんです。そこにポヨーンって効果音を付けたりするブラックユーモアも楽しかったです」。

――本当にいろいろな表情が出ていましたが、実憂さんの美女イメージを守る気はなかったんですね(笑)。

「なかったです。この映画のために体重も5キロ増やしましたから恥じらいもなくて、『面白がってください!』って感じです。『やりすぎかな? どうまとめるんだろう?』というのは撮影のときにあったんですけど、彩花以外も個性のあるヘンな人ばかりで(笑)、皆さんがそれぞれ役をまっとうされていたので、意外にまとまっていてビックリしました」。

――実憂さんは以前「役を演じるのはその人の人生を歩むこと。バックグラウンドは自分で細かく作る」と話してました。それは今回の彩花役でも変わりませんでした?

「バックグラウンドは作りました。監督と1対1で意見交換して、言われたことをノートにいっぱい箇条書きしながら。『罪の余白』でご一緒したので、自分の意見も言いやすかったです」。

――彩花は誰とでもタメ口で、翔平に「敬語しゃべれない病か?」と言われてましたが、「どんな育ち方をしてきたからなのか?」とかも考えました?

「はい。観ていただくとわかると思いますけど、『あの両親なら、こういう子になるな』というのはすごくありました。彩花が押されるくらいで、『会社が倒産した』って笑ってましたからね(笑)。生きるか死ぬかの一大事なのに、あれだけ笑えるのはすごいなと思いました」。

――彩花は入社初日から先輩の來未に「イエーイ!」と言ってきましたが、実憂さんが後輩にああいう態度で来られたら、どうします?

「いやー、困りますね(笑)。たぶん(彩花の教育係を命じられた)猪瀬くん(矢本悠馬)みたいになります。私も実際、人に怒ったりできないので、『あっ、はい……』と言ってるうちに、何かしでかしちゃいそうな気がします」。

――そんな高飛車な彩花ですが、どこか憎めないキャラクターにすることにも気を配ったんですか?

「意識はしてませんけど、そう見えたらうれしいです。たぶん彩花が言ってることは全部本心で、相手によって態度を変えたりしないじゃないですか。それが良いのか悪いのかわかりませんけど、完全に嫌いにはなれない要素なのかなと思います。それに、仕事の上では正しいことを意外と言ってる気がします」。


――自分のことを「大好き」と言ってるのは、実憂さんにも通じるところだったり?

「いえ。私は自分のことは大嫌い……と言っちゃうくらい、好きではないです」。

――えーっ! 「国民的美少女コンテスト」のグランプリになった実憂さんは、人から見たらうらやましいところだらけかと……。

「いやいやいや。私、だいぶ明るくはなりましたけど、家のベッドの端っこで体育座りをしているのが一番落ち着くくらい(笑)、1人が好きなんです。自分に『もっと社交的になれ!』と思っていても、なかなか一歩が踏み出せません。性格もあまり好きじゃなくて……。もっと純粋になりたいです(笑)」。

――純粋ではないんですか(笑)?

「ハハハ(笑)。やっぱりいろいろなものを見てきて、『人間、真っ白なわけじゃない……』という部分が自分の中にもあると思います。それも経験のひとつで、このお仕事だから成立する個性になると思いますけど、彩花みたいに自分のことを『だーい好きです』とは言えません(笑)」。

 
 

完成した映画を観るまで
あんなに泣いてたとは思いませんでした

 
 

――彩花は白に対するこだわりもすごいですよね。「魂は売れない」とか。

「私は逆に黒が、彩花の白と同じくらい好きです。いろいろな人に『黒以外も着なよ』と言われて、色味があるものもちょっとは着ますけど、どこかに黒を身に付けてないと落ち着きません」。

――子どもの頃から黒が好きだったんですか?

「そうでしたね。落ち着くし、カッコイイし……。この前も西村まさ彦さんに『色があるものを着たほうがいいよ』って、20分くらいずっと言われました(笑)。やさしいし面白いから『絶対聞いてないでしょう?』と言われながら聞いてましたけど、それでも家に帰ったら『やっぱり黒が好きだな』と思いました(笑)」。

――じゃあ、彩花の白スーツを着ていたときは落ち着かなかったり?

「衣裳なら全然大丈夫です。ただ、休憩中やごはんを食べるときは、汚さないようにすごく気をつかいました。真っ白だと汚れが目立ちますからね。彩花的にはそこも好きなのかもしれません」。


――一方で、彩花がネイルサロンの経営者にパチンコの話を聞きながら、涙が止めどなく溢れる場面もありました。

「あそこは泣いちゃいました。あんなに泣く予定はなかったんですけど、感動しちゃって……。あれは見るとおかしいくらいですよね(笑)」。

――何がそこまで胸に響いたんでしょう?

「『それくらい賭けているものはある?』という彩花への言葉に、自分の人生を見透かされた気がしたんでしょうね。言葉のひとつひとつが説得力の塊で、それをずっとぶつけられているようでした。それで、あれだけ涙が出たんだと思います。現場で泣いていたのは自分でわかりましたけど、あんなにポタポタ涙が落ちているとは思わなかったので、完成した映画を観てビックリしました。あれほどの涙は、今までの作品で見せたことがあったかな? 間にいる矢本くんが『えっ? そんなに泣く?』くらいの反応だったので面白かったです(笑)」。

――普段も涙もろいほうではなくて?

「まず人前では泣きたくないです。クランクアップとか舞台あいさつとか、泣きそうになるときもありますけど、昔からのクセで人目を気にして、こらえちゃうんですよ。でも、話が逸れちゃいますけど、この前、初めて舞台を観て涙が出ました。富田靖子さんと松下洸平さんの『母と暮せば』という作品で、それで初めて人前で泣いたくらいです」。

――心に来るものがあったんですか?

「二人芝居で、説得力みたいなものがすごくありました。私は母になったことはもちろんないですけど、富田さんの演じた母の気持ちが私でも感動するくらいグッときちゃって……。会場のあちこちから鼻をすする音も聞こえました」。

――ところでで、実憂さんは会社勤めはできそうですか?

「いやー、じっとすることができないので厳しいですね(笑)。パソコンはすごく好きでやりたいけど、机でじっとしていられないのと、上下関係がちょっと怖い感じがあります。だから、務まらない気がします」。

――翔平のような上司がいたら?

「『好きじゃないです』と言っちゃいそう(笑)。顔にも出ちゃうと思うんですよね。だから、会社で我慢している方は本当にすごいなって尊敬します」。


――友だち3人で飲んでるシーンも面白かったです。

「あれはすごく楽しくやっていました。友だちといる感覚というより、もっとラフな感じでしたね。3人ともお互いを見下しているんですよ(笑)。あんな関係は存在しないと思いますけど、あったらすごく楽だろうし、素敵ですよね」。

――普通に友だちと飲んだりは、実憂さんもしてます?

「そうですね。グチを聞いたり、聞いてもらったりはあります。友だちって、そこじゃないですか。何でも話せることが本当の友だちの線引きだと私は思っているので、すごくしゃべります。この前も6時間くらいずっと、友だちとしゃべっていました(笑)」。

――何時からの6時間ですか?

「夜の7時半くらいから。それでも完全燃焼できませんでした(笑)。グチがあったわけじゃなくて、その子としゃべることがすごく楽しいので。ラフにスッピンでも会える。そこは結構基準になっていて、そういう友だちはすごく大事だと思います」。

――この映画が公開されると、今年もあと1カ月とちょっとになりますが、12月は何か盛り上がることはありますか?

「何だろう? 今年の下半期はジムとか習いごととか、自分からいろいろ挑戦するようになって、この2カ月くらいは毎日1本、映画か舞台かドラマを観るようにしています。それが最近すごく楽しいですね。冬は恋愛モノが盛り上がるじゃないですか。面白い作品を観られたらうれしいし、そういう作品に出られるのもうれしいです」。

――忙しい中で、毎日2時間とかかけて観られるものですか?

「寝る間を惜しんで、移動中や休憩時間にもiPadにダウンロードして観てます。でも、やっぱり映画は映画館で観るのが一番なので、時間があったら映画館に行くようにしてます」。

――演じる立場として刺激を受けた作品はありますか?

「最近観たのだと、ちょっと前の作品ですけど、『ヒミズ』の染谷(将太)さんが『ハンパない!』というくらいすごかったです。二階堂(ふみ)さんを叩き続けるシーンとか、狂気を通り越してましたね。枕か何かを叩いているかのようで、今まで見たことない冷たさみたいなものを感じました。あの表現はなかなかできないなと、衝撃を受けました」。

――12月28日には22歳の誕生日がありますね。

「何かプレゼントを待っちゃいますよね(笑)」。


――年が押し迫っての誕生日って、どんな感じなんですか?

「小さい頃は学校が休みで、プレゼントも親にもらうだけでしたけど、最近は現場に入っていたりすると、みんながお祝いしてくれます。『私なんかの誕生日で……』と思いつつも、うれしいです。お酒を飲めるようになったので、みんなで乾杯もします。私は他の人をお祝いするほうが好きですけど、喜びを分かち合えるのはいいですね」。

――新しい1年と22歳の1年が始まるわけですが、どう過ごしていきますか?

「今年はお仕事もプライベートもすごく自由に過ごせて楽しかったんですけど、目標は『自分の分岐点は運命だけに任せず自分で作る』だったんですよ。でも、分岐点の土台くらいは作ったにしても、1年では難しい部分もありました。それが悔しかったので、来年もあえて同じ目標にして臨みたいと思います」。

――来年、大きな分岐点があるかもしれないわけですね。

「はい。作れるように頑張ります!」。

 
 


 
 

吉本実憂(よしもと・みゆ)

生年月日:1996年12月28日(21歳)
出身地:福岡県
血液型:AB型

 
【CHECK IT】
2012年に「第13回全日本国民的美少女コンテスト」でグランプリを受賞。2014年7月にドラマ「獣医さん、事件ですよ」(日本テレビ系)で女優デビュー。主な出演作は映画「ゆめはるか」、「罪の余白」、「紅い襷~富岡製糸場物語~」、ドラマ「表参道高校合唱部!」(TBS系)、「とと姉ちゃん」(NHK)、「クズの本懐」(フジテレビ)、「さくらの親子丼」(東海テレビ・フジテレビ系)、舞台「三文オペラ」など。主演映画「レディinホワイト」は11月23日(金)より全国順次公開。2019年1月18日(金)に公開の映画「めんたいぴりり」に出演。
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「レディinホワイト」

詳しい情報は「レディinホワイト」公式HPへ
 

 

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